かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

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迷った自宅

2012-07-09 | 事例
「此の家って、本当に必要かしら。
 私はお父さんと一緒にマンションに移ってもよいし、専務ももっと住み易いところに移ってもいいじゃあない。
 主婦の立場から言っても、唯、だだっ広く、掃除にしても光熱費にしても大変だわ。
 此の家には未練は無いけれど。」

社長の彼の頭には無い発言でした。
専務と云うのは息子です。
彼は自宅を撤退する時は全てが終わりと思って居ました。

今は本町何丁目と変わって居ますが町名変更が有るまでは、此の1帯を石屋町と云っていました。
彼の本家の祖先は此の地方特産の石の切り出しをやって居たのです。それが町名にまでなったのです。
石切り場が有りますから、此の1帯には石屋は多いですが、此の町内は彼の所だけです。
かっての勢いを町名で知ることが出来ます。

300坪の土地に昭和になってから建て変えた家が有ります。家は古くなっても、その存在を固守し続けて居りました。
今は町のど真ん中ですし、工場も積み出し場も石切り場の近くに移ってここは住まいだけです。
しかし、今でも仲間の寄り合いなどでは石屋町の旦那と1目置かれて居ります。

早くして父は他界しました。
後を継いだ彼は、若さに任せて人が欲するがままに会社や組合を作って不動産などに手を出しました。
之が平成10年くらいから、皆、負の付けとなって戻ってきたのです。
同時に本業にも大きな陰りが見えてきました。

考えもしなかった石の輸入が始まったのです。
当初はブラジルから、やがて中国からも始まりました。
中国の場合は現地で製品に仕立てての輸入も始まりました。
墓石など、どんなに力んでも、価格では太刀打ちが出来ません。
彼のところは卸が専門ですが、販路はぐんぐん小さくなったのです。

祖先伝来の不動産を手放し始めました。
それで返済や赤字を補ったのっです。

彼は此の悩みを打ち明けたたり愚痴ったりしました。聞いた皆が言いました。
「時節柄、手放しはいたし方無いでしょう。何処を手放しても良いが自宅だけは手放しては駄目ですよ。
 あれは此の町のシンボルになって居ますよ。」

元々自宅に愛着の深い彼でしたが、益々自宅は事業にも必用な物だと思うようになったのです。

「担保から外したい。そして守りきれば、人は付いてくる。我が家も安泰だ。」
ほかの担保はぐんぐん減っていきます。
工場すら、任売で親戚に買い戻した格好を取って居ます。
まともな担保は後自宅しか有りません。

自宅の担保解除額は銀行に其れと無く聞いても高くて手が出ません。
相変わらず、落ち込みの様子は変わりません。
このままずるずると、野垂れ死も目に浮かびます。
ひそかに覚悟して居ました。

息子が彼が止めるのも利かず手伝うと会社に入ったのはその頃でした。
予想して居たより遥かに出来る息子でした。
売り上げは相当盛り返したのです。
しかも息子は同じ石材で新しいものを作り始めました。
家庭小物に進出し始めたのです。

最初は床の間や窓際におくインテリアの置き台からでした。
珍しさが受けてテレビ紹介されぐんと延びました。

此処で息子は父親に云いました。
「今のままならば親父の代どころか、俺の代にも銀行の借金は返せません。今や不動産は自宅を
 除いて全部取られました。自宅も時間の問題です。それで借金が返せないとは余りにも面白く有りません。
 思い切って別会社でやりましょう。
 自宅は、勿論買い戻したいが、出来ないときは諦めてもいいじゃあ有りませんか。」

彼に取っては、自宅は何物にも変えれません。その自宅が手から離れる事は死ねと云うのと同じです。
意見が合わずよく息子と口論になりました。
息子は「もう直ぐ取られるものならば、手をこまねいていると、相手の思うようになるだけだから、
むしろ、此方から先手を打っていきましょう。自宅も買い戻しに失敗すれば諦めましょう。」

息子が「名誉を守るのは自宅を守ることでは有りません。むしろ我々が盛んに事業をする事です。」
と云うのも頭に有ります。

今朝も妻の前で此の話が出ました。全く自分と同じ考えと思って居た妻が自宅不要論を唱え
彼の考えは相当修整されたのです。

「若し健全の時に、住み難い自宅を変えても自分は何にも思わないだろう。
 自宅に固執して居るのはあまりにも肝っ玉が小さいな。」

生きるためには、自宅だけが本命ではない。先ず、゛借金を打ち切って、健全な事業にやり変えよう。
その結果自宅がなくなっても良しとしよう。」
彼に気持ちは固まった様です。


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