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<経産大臣指定伝統的工芸品> 東京 江戸硝子

2021-03-08 07:43:11 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「江戸硝子」

 江戸硝子とは
 江戸に花開いた和硝子の歴史と現在

 涼しげな江戸硝子。

 どこか素朴な味わいは、すべての工程を職人の手で作ることから生まれます。

 今日は江戸硝子の魅力、歴史に迫ってみましょう。

 江戸硝子とは。
 「江戸硝子」とは、江戸時代からの伝統を継承し、東京をはじめ千葉の一部で手作りされているガラス製品をいう。

 すべての工程が職人の手によるその製品は、ひとつとして同じものが存在しない。色やデザインも様々あるが、どれも手作りらしい温かみが感じられる。2014年に国の伝統的工芸品に指定。

 「江戸硝子」づくりは、ガラスを1400度の高温で溶かして水飴のような状態 (硝子種) を作ることからはじまる。成形には現在、大きく分けて「宙吹き(ちゅうぶき)」「型吹き (かたぶき)」「押型」の3つの手法がある。

 ・宙吹き (ちゅうぶき)

 吹き棹に種を巻き取り、息を吹き込んで硝子に空気を送り、成形する。

 ・型吹き (かたぶき)

 ガラス生地を棹に巻き取り、金型に の中で棹に息を吹き込んで成形する方法。

 ・押型

 上下セットになった押し型にガラス生地を型に流し込み、プレスして成形する。

 これらの製造における主要部分はどれも職人の手作業だ。

 ここに注目。江戸硝子と江戸切子の違いは?
 切子の文様が施されたグラス
 どちらも江戸で発祥したガラス製品である「江戸硝子」と「江戸切子」。では、それぞれの違いはどこにあるのだろうか。

 実は「江戸硝子」に切子文様 (カット加工) を施したもののことを、「江戸切子」という。つまり「江戸切子」は、「江戸硝子」をもとに作られているので、大きくわければ「江戸切子」も「江戸硝子」のひとつだといえる。

 江戸硝子の歴史
 日本のガラス作りの歴史は、弥生時代までさかのぼる。大陸から伝わった技法により、当時は勾玉や管玉などを作っていたが、その技法は中世以降一度途絶えてしまう。その後、再び日本の歴史に登場するのは、江戸時代に入ってからのことだった。

 ポルトガルやオランダなどからガラス製品が長崎に伝わり、国内でも「ビイドロ」という名で作られるようになった。その技法は、ヨーロッパ由来でなく中国の技法に似ていることから、技法そのものは中国から伝わったのではないかと考えられている。製法はやがて大阪や京都、江戸へも伝わった。

 記録によると、江戸ではじめてガラスが作られたのは1711年頃のこと。源之丞という職人がガラスを吹いたと『嬉遊笑覧』という随筆集に記されている。また、江戸の地理誌『武江年表』(1751年〜1764年) にも、ガラスが作られていたという記述が残っている。

 ◯眼鏡にかんざし、風鈴。江戸の町のガラスづくり

 「江戸硝子」の風鈴は涼やかな外見と音が特徴
 ガラスの製造を江戸に広く普及させたのが、日本橋のガラス問屋・加賀屋久兵衛 (かがや・きゅうべえ) と浅草のガラス職人・上総屋留三郎 (かずさや・とめさぶろう)の2人だ。

 加賀屋久兵衛は1834年、金剛砂を使ってガラス面に彫刻を施した。これが「江戸切子」のカット技法の始まりであるとされている。その後、加賀屋のもとで切子の皿や重箱、食籠、盃、眼鏡などが作られるようになった。

 一方、上総屋留三郎はガラス製品のかんざしや風鈴、万華鏡、金魚鉢などを販売。江戸の下町を彩るアイテムとして、これらは爆発的な人気を集め、ガラスは庶民にも身近なものとなった。

 幕末になると、切子の技術は薩摩へも伝わり、藩主・島津斉興が江戸から加賀屋の優秀なガラス職人を招聘するようになる。こうして次の薩摩藩主・斉彬のもとで、「薩摩切子」の文化が花開いた。

 ◯夜を明るく照らす石油ランプの登場

 ガラスの製造技術は、幕末から明治維新にかけて西洋文明の輸入とともに発展した。1859年、日米修好通商条約が結ばれ、横浜港が開港。これにより、石油ランプが輸入し急速に普及されるようになった。初期は外国製のランプのみだったが、加賀屋や上総屋といったガラス業者は新しくランプのガラス部分の製造に取り組み始めた。

 1866年、加賀屋庄兵衛 (かがや・しょうべえ) らがランプを作るようになり、続いて加賀屋や上総屋共に火を覆うホヤの製造に成功。こうして日本生まれのガラスが、夜道を照らす灯となっていった。

 ◯日本初の西洋式ガラス製造工場が東京ではじまる

 日本では明治維新まで、日用品やランプなど小さなガラス製品の製造がメインだったが、近代化にともない板ガラスや航海灯などの大型のガラスの需要が増した。そんな中、1873年には民間のガラス工場「興業社」が設立。1876年になるとその重要性から政府が買収し官営の「品川硝子製作所」が誕生した。

 さらに1877年には、第1回内国勧業博覧会に「江戸硝子」が出品される。

 2年後の1879年には、硝子の製造者組合である「東京はり製造人組合」が設立。集結した「江戸硝子」のガラス職人たちや招聘したイギリス人技術者らにより、板ガラスの製造が試みられたが、採算が取れず官営「品川硝子製作所」はほどなく民間へ売却された。

 民間となった工場は、その後生産性を上げることに成功。陸軍用の水瓶、薬用瓶、食器などのほかビール瓶などのさまざまなガラスの製造を行った。しかし、1892年には恐慌などの影響を受け解散。

 結果として日本初の大規模ガラス工場は20年あまりで幕を閉じたものの、この工場が日本のガラス技術を向上させ、東京を日本有数のガラスの産地へと押し上げたのは間違いない。

 その後、関東大震災や第二次世界大戦の東京大空襲があり、町なかの工場は被災。大きな被害をうけたものの、のちに多くの工場が復興を遂げ、「江戸硝子」の伝統が今日まで受け継がれてきた。

 <参考>

 NHK 「美の壷」制作班『NHK 美の壷 切子』日本放送出版協会 (2007年)

 遠藤元男、竹内淳子著『日本史小百科11 工芸』近藤出版社 (1980年)

 博物館明治村

 https://www.meijimura.com/enjoy/sight/building/4-45.html

 一般社団法人東部硝子工業会

 http://www.tobu-glass.or.jp/

 品川区立歴史博物館

https://www.city.shinagawa.tokyo.jp/jigyo/06/historyhp/pdf/pub/kaisetsu/cs16l.pdf

( サイトアクセス日 : 2020年4月17日 )

 <協力>
 一般社団法人東部硝子工業会

 http://www.tobu-glass.or.jp/

 *https://story.nakagawa-masashichi.jp/craft_post/118161 より

*https://kougeihin.jp/craft/1406/ より

 Description / 特徴・産地

 江戸硝子とは?
 江戸硝子(えどがらす)は、東京都江戸川区や墨田区、江東区周辺で作られているガラス製品です。現在は千葉県の一部でも製造されていますが、東京の地場産業として認知されてきました。
江戸硝子の特徴は、江戸時代より伝わる材料や伝統的な技法を引き継いだガラス製法です。手作業による感触や使い心地、見るものを深く楽しませる粋な技が施されています。
 工場での大量生産品と比べそれぞれが一品ものとして存在する江戸硝子は、幅広い世代や海外でも親しまれておりお土産品や贈答用としても重宝されています。各工程には熟練の職人が携わり、今でも伝統は絶えることなく続いています。実際に現代においても、江戸硝子の伝統や今後の普及を図る目的として職人展が定期的に開催されています。

 History / 歴史
 硝子製造の歴史は、弥生時代と推定される最古の硝子工芸品の発見が始まりです。
 当時の製法は現代の硝子製法とは異なっていました。硝子は戦国時代ではごく限られたものの間で交わされる珍品で、江戸時代に入って本格的に硝子が製造されたと伝えられています。
 江戸における硝子の製造は、加賀屋久兵衛(かがやきゅうべえ)と上総屋留三郎(かずさやとめさぶろう)の手により広がっていきました。すでに江戸時代の江戸では人口100万人ほどが住む日本の最大消費都市で、18世紀の初めに日本橋通塩町で加賀屋久兵衛が鏡や眼鏡など大衆向けの硝子製品を製造しました。また浅草では上総屋留三郎がかんざしや風鈴、万華鏡などを製作し、江戸の町で爆発的な人気を呼んだとされています。
 1877年(明治10年)の第1回内国勧業博覧会の出品目録には、加賀屋久兵衛と久兵衛の息子である熊崎安太郎の名前が記録に残っています。1879年(明治12年)に社団法人東部硝子工業会の前身である「東京はり製造人組合」が設立され、硝子製造者組合が結成されました。
 伝統的な技は代々受け継がれ2014年(平成26年)には伝統工芸品に指定されています。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/edogarasu/ より


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