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<経産大臣指定伝統的工芸品> 富山 高岡漆器

2021-04-01 07:29:05 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「高岡漆器」

 Description / 特徴・産地

 高岡漆器とは?
 高岡漆器(たかおかしっき)は、富山県高岡市で作られている漆器です。高岡漆器の特徴は、「青貝塗」「勇助塗」「彫刻塗」の3つの技法に代表される幅広い作風を楽しめることです。
 「青貝塗」は、貝がらの光沢がある部分を薄く削った「青貝」という材料を使い、菱形や三角形の細片を作り、細片を組み合わせて花鳥や山水などを表現する技法です。
 貝を細工した装飾技法を総称して「螺鈿(らでん)」といい、一般には約0.3mmの厚さの貝が使われますが、高岡漆器では約0.1mmの厚さの貝も使われます。薄い貝を使うと、下地の漆の色が透けて映り貝が青く光って見えます。これは高岡漆器独自の技法です。
 「勇助塗」は、江戸時代末期、石井勇助が中国の明時代の漆器に憧れ、研究を重ねて生み出した技法です。唐風の意匠に花鳥・山水・人物などを錆漆(さびうるし)で描き、青貝・箔絵・玉石などを施す、塗りの総合的な技法です。
 「彫刻塗」は、木彫に朱・黒などの漆を塗り重ね、雷文や亀甲の地紋の上に、草花・鳥獣・牡丹・孔雀・青海波などを彫り出したもので、立体感と独特な艶が特徴です。
 そのほか、プラスチックやガラスなどさまざまな素材を使った変り塗が登場しています。

 History / 歴史
 高岡漆器 - 歴史

 高岡漆器の歴史は、江戸時代初期の1609年(慶長14年)、加賀藩初代藩主・前田利長が高岡城を築城し、武具や箪笥、膳などの生活用品を作らせたのが始まりとされています。わずか、5年後に高岡城は廃城となりますが、廃城後、高岡は商工業の町に転換しました。
 中国から、朱や黒の漆を何層も重ね塗りし、彫刻をほどこす堆朱(ついしゅ)や堆黒(ついこく)の技法が伝えられ、現在に続く技術が考案されました。彫刻彫、螺鈿、錆絵(さびえ)などの技術がそうです。
 江戸時代中期の1764年~1772年(明和年間)に活躍した辻丹甫(つじたんぽ)の技法を元祖として「彫刻塗」が考案されました。辻丹甫の作品は高岡御車山祭で練り歩く高岡御車山(みくるまやま)にも使われています。その後も、19世紀前半に板屋小右衛門らの名工が出て「彫刻塗」が盛んになります。また、江戸時代末期の1850年(嘉永3年)には、石井勇助が中国・明代の漆器を研究し「勇助塗」を創始し、明治時代に盛んになりました。
 最近では、さまざまな素材に塗りを施した「変り塗」が、インテリア関係者などに注目されています。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/takaokashikki/ より

 貝の美しさを極限まで引き出す 高岡漆器
 高岡漆器には彫刻された木地に色漆を塗る「彫刻塗」、玉石象嵌(ぞうがん)や錆絵など多彩な技法をこらした「勇助塗」、華やかな色の貝で絵を描く「青貝塗」の3種があるが、今回は青貝塗の職人に話を聞いた。

 
 守ることと変えること
 青貝塗の作業は分業化されており、木地師・青貝師・塗師がそれぞれ連携を取りながら製品を作っている。木地師が木で箱や器などを作り、青貝師が貝を貼り付け、塗師が下塗りと上塗りを行う。今回取材した武蔵川義則さんはその中では青貝師にあたる。図柄を考え、薄く削られた貝を鳥や花の形に切り抜き、木地に貼り付けるのが主な仕事だ。「一目見て高岡の漆器だとわかる伝統的な図柄を大切にしたいです。」と語る一方で「現代の生活に溶け込むようなデザインを考えています。」とも言う。守るべきことな何なのか、新たに変えるべき所はないか、といつも意識している。手がけている製品はお盆や文箱、コンパクトな箱など実用品が多い。


 「貝がきれいに見えるように作りなさい」
 貝は夜行貝、白蝶貝、黒蝶貝、メキシコアワビ貝(耀貝)、アワビ貝を使う。貝を研ぎ出す(薄くする)職人は大阪にいて、そこで厚み約0.1ミリに仕上げてもらう。磨き上げられた貝をよく見ると一枚一枚色や模様が異なる。その違いをうまく活かすのが武蔵川さんの仕事である。「今でも昔教わった師匠に『貝がきれいに見えるように作りなさい』と言われます。表現の仕方についてはいつも悩んでいます。」貝の目(木目のように筋がある)を縦にするのか横にするのか、どの貝をどこにどのように使うのか。花の時は?鳥の場合は?と考えなければならないことは多い。「素材の良さをいかに引き出すかは一生の課題です。」と武蔵川さんは語る。


 「使う味」が出てくるもの
 漆器は使えば使うほど味が出てくる。「子どもがいつまでも古いぬいぐるみを手放さないのは、いつも遊んで愛着があるからです。同じように漆器も使っているうちに傷が付き、『使う味』が出てくるものなのです。」漆は非常に丈夫な塗料で基本的に修復可能だ。その意味でいつまでも使い続けることができる。時と共に深い愛着がわいてくるのだ。高岡市の小学校は給食のトレーに一部高岡漆器を使っている。小さい頃から漆器に親しんでもらいたいという作り手達の思いが叶ったものだ。「今の人は漆器にあまり接していないから知らないだけで、実際に手にとって使っていけば、その価値がわかると思います」と武蔵川さん。“本物”を作っているという自負があるのでその言葉には説得力がある。


 暮らしの中に漆器を
 いわゆる伝統的な青貝塗の卓(しょく)を前にして「職人は概してやりすぎる傾向がありますね」と武蔵川さんは目を細めて言った。買った人は気にもしないちょっとした違いを生むために手を抜かないということだろう。ところが、そのちょっとした違いを生むためには相当の努力と技術が必要になるのである。今後は買い手もそのことがわかるぐらいの知識と目を養った方がいいかもしれない。また「一人でも多くの人に漆の良さ、貝の良さ、素材の良さを知ってもらいたいですね。まずは直接見て触ってもらうことが必要です。そしてとにかく普段の暮らしの中で漆器を使ってもらいたいです。」と武蔵川さんは言う。「そのために値段の安いものから高いものまで色々な漆器を提供していきたいですね。」と漆器制作に新たな意欲を見せていた。


 こぼれ話

 一般に貝を貼り付けた漆器のことを螺鈿(らでん)と言いますが、高岡漆器では青貝塗と呼ぶのはなぜでしょうか。それは青貝塗の特徴の薄い貝に由来します。
 青貝塗に用いる貝は一般的な螺鈿と同じ約0.3ミリ厚のものと、青貝塗特有の約0.1ミリ厚のものと2種類です。この薄い貝を貼り付けたときに、下地の黒い漆が透けて貝が青く見えることから「青貝塗」と呼ぶようになったのです。
ところでこの貝には色々な種類があります。最もよく使われるのがアワビ貝。特殊な青色とピンクが交互に輝くのが特徴です。夜行貝はヤク貝とも言われ、屋久島近海で採れるものを使います。光沢に落ち着きがあり、優雅な味わいの輝きをしています。その他フィリピンやニューギニア沖で採れる蝶貝や、メキシコ産のメキシコアワビ(耀貝)なども使われます。
それぞれ特徴を持っており、比べてみると面白いものです。青貝塗を見るときには是非、じっくりと貝を見て自分好みの品を見つけてみてはいかがでしょうか。

*https://kougeihin.jp/craft/0512/ より


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