「璃の香-りのか」
最初に「璃の香」に会ったのは、日本果樹種苗協会研修会の試食会。試食会での感想は、交雑親であるリスボンレモンと日向夏の掛け合わせの通りの香りと味。淡いレモン味にほのかに甘いフレーバーをのせた感じ。あのきりりとしたレモンフレーバーとは違い、やさしい感じだった。その後説明があったのだが、あくまでも加工用として取り扱ってほしいということで非常に納得。
上記した特性より、植栽可能な地域は非常に広いはず、寒くてレモンの生産が出来なった地域から、気温は十分だが、台風など強風が吹くので、かいよう病に弱い従来のレモン品種は植栽出来なかった地域まで。大ブームとなった「塩レモン」などの加工にはもってこいだ。この品種の特性の一番はその収量だ。興津試験場での調査結果では、年間1樹当収量が2011年リスボン39.0kgに対し、璃の香59.0g、2012年は、32.0kgに89.5kg、2013年も、45.5kgに対し95.5kg。
早くも「璃の香」の生果を販売されてるサイトを発見。品種の発表、苗木屋への穂木の配布が2015年春、つまり初接木、苗木は2016年春に1年生が販売された計算になる。それが、2017年には果実が販売された計算になる。少々計算が合わないような気もするが、880円/kgの販売であった。
そのサイトにあった文章を転写させていただくと、『「リスボンレモン」と「日向夏」の子供なので酸味はレモンよりまろやか。果皮も非常に薄いので果肉割合が多く、果汁もたっぷり搾れます。ユーレカレモンやリスボンレモンほどの香りは強くありませんが、柚子やスダチなどの香酸柑橘同様、ポン酢として、またから揚げや焼き魚に絞りかけてお召し上がりください。まだまだ利用方法は未知数です。カクテルなどのお酒類やジュースとしての飲み方などレシピも募集中です。』とある。幣社も何度か試食したが、的確な判断と同意する。これからのレモン品種、生かすも殺すも栽培者次第というところか。
このように書くと、無責任と思われるかもしれないが、以下の内容は農研機構から発表されているので、栽培、果実内容に関しては言うこと無しだと思う。また、農研機構からはレシピまで発表されるほどの力の入れようだ。「簡単レモンすし」、「鮭のレモンあんかけ」、「手羽先とごぼうのしょうがレモン味噌煮」、「豚肉とサツマイモのから揚げレモン塩風味」、「レモンタマネギしょう油だれ」などのレシピが紹介されている。
これからのレモン品種。収量はリスボンレモンの約2倍、かいよう病に強く、樹体は寒に強く、果皮、種も無核に近い。言うこと無しのレモン。
*http://www.ykken.jp/lemon_rinoka より
レモンはカンキツの中でもかいよう病に弱く、国内の生産地を制限する要因の一つとなっています。そこで、農研機構は、かいよう病に強く、豊産性のレモン新品種「璃の香(りのか)」を育成しました。「璃の香」の果実は従来のレモン品種に比べ、200g程度と大きく、約1ヶ月早い11月下旬頃から成熟果実が収穫できます。また、果皮が薄く、まろやかな酸味が特徴です。
果肉の割合や搾汁率が高く、加工適性に優れ、まろやかな酸味を生かした多様な加工製品の開発と、国産レモンの生産拡大が期待されます。「璃」は「宝」あるいは「ガラス」「水晶」という意味で、「璃の香」はこの品種のもつ透明感やすっきり感のある香りを表しています。
主要特性
育成地(果樹研究所カンキツ研究興津拠点:静岡市)および全国のカンキツ生産地での試作試験における通常の防除のもとでは、一般のレモンに比較して、かいよう病の発生程度は明らかに低く、強い抵抗性を示します。
樹勢は強く、枝は直立性で、トゲの発生は少ない品種です。そうか病の発生もほとんど見られません。着花数は多く、隔年結果性が低く、豊産性で安定した生産が期待されます。成熟果実の収穫期は11月下旬であり、既存品種のリスボンレモンやマイヤーレモンより1ヶ月程度早く熟します。
果皮色は緑黄~橙黄で、果面は滑らかです(表3、図2)。剥皮のしやすさは、リスボンレモンより優れており、手で剥くことができます。果皮の厚さは3mmとリスボンレモンやマイヤーレモンより薄く、香りはやや少ない品種です。果実の大きさは200g程度と既存の品種より一回り大果です。また、果肉歩合は79%、搾汁率は50%とともに高く、既存の品種より歩留まりが高く、加工適性に優れると考えられます。果汁の糖度は9.2%で、酸含量は5.6%程度と、リスボンレモンと比べてまろやかな酸味が特徴です。種子はリスボンレモンやマイヤーレモンに比べ少なく、種なし果も結実します。
*農研機構HP より
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