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イッピンNHK 「魔法の土で おいしく 快適に~石川 珪藻土(けいそうど)製品

2023-09-11 08:26:55 | イッピンNHK

 第141回 2016年10月25日 「魔法の土で おいしく 快適に~石川 珪藻土(けいそうど)製品」リサーチャー: 安座間美優

 番組内容
 能登半島の“魔法の土”珪藻土(けいそうど)を使ったさまざまな製品が、今、大人気だ。コンパクトでスタイリッシュな七輪でパンをこんがり焼くのがひそやかなブーム。石川県珠洲市で作られる、この七輪の驚くべき製法とは?また金沢市で作られる吸水性が高いバスマットは、ぬれた足をのせてもサラサラ感を味わえると大評判。なんと左官の技術を駆使したものだが、そのワザとは?珪藻土の驚異のパワーを安座間美優が徹底リサーチ。

*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201610251930001301000 より

 1.ウラニワカフェ コカチ

 石川県小松市の山里にある、ユニークなスタイルが評判のカフェ「ウラニワカフェ コカチ」(Uraniwa Coffee cocachi)。
 営業するのは日曜だけ。
 有るのはテーブルと椅子だけの完全オープンエアカフェです。
 こちらでは、金沢市内の人気のパン屋「こくう」の食パンを七輪で焼いた炭火トーストが人気です。
(現在「穀雨」は、小松に移転しているそうです。)
 
 この七輪は、能登半島最北端の珠洲市で職人がノミを用いて珪藻土(けいそうど)を切り出し、成形、焼成、仕上げまでを手作りで生み出されたものです。
 
 ウラニワカフェ コカチ 石川県小松市1321

 

 2.切り出し七輪(能登燃焼器工業・舟場慎一さん)

 「天然岩切り出し七輪」は、日本でも能登半島の突端にある石川県珠洲市の「能登燃焼器工業」「丸和工業」「能登ダイヤ工業」の3社です。

 そのうちのひとつ「能登燃焼器工業」は、前記の「ウラニワカフェ コカチ」が使っていた七輪「長角型七輪バンドなし」を作ったメーカーです。
 
 「能登燃焼器工業」の4代目の舟場慎一さんが紹介してくれました。
 
 「珪藻土」は焼かれることにより、多孔性の素材に変化し、この無数に開いている微細な穴が断熱性を高めます。
 そのため、「切り出し七輪」は熱が逃げにくく、炭が発する遠赤外線をより効率的に食材に加える事が出来、早く食材の中心まで熱を加えることが出来ます。
 
 「切り出し七輪」は、慎一さんの工場の近くにある山から珪藻土を直接その形に削り出すことで、調達しています。
 
 石川県珠洲市は珪藻土の推定埋蔵量が日本一と言われています。
 珠洲市辺りは、1200万年前は海の底でした。
 「珪藻土」は藻の一種のプランクトンが堆積して出来た土が長い年月をかけて隆起し、地上に現れたものです。
 
 山の中にはトンネルが彫られていて、アリの巣のように枝分かれしています。
 トンネルの長さは総延長は5km。
 温度は1年を通して15℃程だそうです。
 
 トンネル内を15分程歩くと、若手職人の古川和樹さんが珪藻土の壁から塊を切り出す作業をしていていました。
 凸凹な壁を平らにする「ならし」を行った後、切り出す大きさに合わせて線を引き、テッポウノミを使って縁取りをし、その溝に杭を差し込んでハンマーで叩きます。
 1000年以上続いている方法です。
 珪藻土の穴を潰さないために、塊で取り出すのだそうです。

 慎一さんのお父様、和夫さんが「切り出し七輪」の、まず、奥行き数百mの坑道の奥で、珪藻土の壁を七輪のサイズに合わせて切り込みを入れて、”打ち剥がして”いきます。
 その剥がした固まりを、まだ水分が残る柔らかいうちに製品サイズに削り、成形してきます。
 
 続いて、職人の重國嘉平次さんが内側を削っていく作業を見せてくれました。
 
 重國さんは、まず粗く穴を開け、ノミを使って整えていきます。
 場所によって硬さが異なるため、土の感触を確かめながら、手作業で行わなければなりません。
 炭の熱を滞留させるために、底にいくほど狭くなるように削っていきました。
 
 続いて、網を載せる部分を削り出す「角とり」をしたら、ドリルで側面に空気を通す穴を開けるのですが、空気が緩やかな弧を描くように通るように、斜めに穴を開けていきます。
 この空気の流れが、パンが美味しく焼ける熱の流れを作るのだそうです。
 これを窯で2日間焼成して、着色や金具を取り付けたら、完成です。
 焼成した七輪は、土に含まれる鉄分が作用して、淡いピンク色をしています。
 
 能登燃焼器工業 石川県珠洲市上戸町寺社26-2

 

 3.soil(「城崎デザイン」城崎隆司さん)

 珠洲市では七輪以外にも様々な製品が生まれています。

 「城崎デザイン」の城崎隆司(しろさき たかし)さんは、「環境問題や地域産業の課題、資源の有効活用」などをテーマに「珪藻土」を用いた自社オリジナル製品の開発・製造・販売を行っています。

 城崎さんは、珪藻土を約10年研究してきた結果、「珪藻土」などの多孔質素材にニガリを加えると多孔質の特性をコントロール出来る事を発見しました。

 空気が乾燥する太平洋側の地域では、「珪藻土加湿器」が人気です。
 「珪藻土ハンガー」は、スーツや学生服の汗のニオイを消臭し、湿気も吸収してくれるため、湿気の多い梅雨時や冬に活躍する商品です。

 4.soil

 「soil」( ソイル)は、吸水性・調湿性に優れた呼吸する土「珪藻土」の力を最大限に引き出したプロダクトシリーズです。

 元々は、200年の歴史を持つ「イスルギ」の新規事業として生まれた珪藻土ブランドです。日本の伝統技術「左官」によって
 
 「イスルギ」は、江戸時代より富山城出入りの左官業「石動屋」を営んでいた四代目の石動半七(いするぎはんひち)によって大正6(1917)年に金沢で創立されました。
 創業者の半七は「コテの天才」と呼ばれる左官の名工として活躍、優秀な左官職人が多く集い、礎を築きました。
 国から「優秀技能賞」の表彰を受ける職人を数多く輩出しています。
 大阪万博、国宝瑞龍寺(富山県高岡市)の再建事業、大阪城天守閣の「平成の大改修」、金沢城の復元工事など、歴史的建造物のプロジェクトに携わった他、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンや大阪ドーム、京都駅ビル等にも参加しています。

 5代目社長の石動博一は、左官の技術を使ってものを作りたいと思い、平成16(2004)年にアート事業部が立ち上げ、平成21(2009)年に珪藻土ブランド「soil」( ソイル)をスタートさせました。

 「soil」( ソイル)は、「珪藻土」の保湿性や吸水性に優れ、呼吸するという特性をそのままに、自然の恵みを凝縮させたナチュラルで心地のよいデザインが特徴の製品です。
 皮膚の弱い方にも安心して使うことが出来、リサイクル性にも富んでいます。

 ほとんどの製品が機械に頼らず職人の手作りです。
 左官の梶昌一さんにバスマットを作っている所を見せていただきました。
 梶さんは、能登の「珪藻土」を水に溶かしたものをシリコンの枠の中に流し込み、壁を塗る要領で「コテ」でならしていきます。
 ならしが終わったら、枠を背面から叩いて、「珪藻土」をシリコン枠に流し込んだ際に出来た気泡を抜いて、後に乾燥させた際に大きな気泡の穴が開いてしまうことを防ぎます。

 続いて、シリコンに珪藻土を足して厚みを持たせていきます。
 この時にも、空気が入らないように、剣山のような形の左官道具で空気を抜くことも併せて行います。
 その後、表面をキレイにならして一時間程乾かし、シリコンの枠を外して、1週間自然乾燥させれば完成です。

 soil 1-31-1 Kanda Kanazawa, Ishikawa

*https://omotedana.hatenablog.com/entry/Ippin/Ishikawa/DiatomaceousEarth より


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