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イッピンNHK 「切れる!だけでは物足りない~福井 越前打刃物~」

2023-08-01 07:20:01 | イッピンNHK

 第100回 2015年8月18日 「切れる!だけでは物足りない~福井 越前打刃物~」リサーチャー: 黒谷友香

 番組内容
 神秘的なまでに美しい刃紋を持ち、しかも切れ味が抜群。さらに安全性にも心を配ったステーキナイフが今、大人気だ。そして、丈夫で刃こぼれしにくいキッチンナイフは30年以上のロングセラーだ。これらは、福井県の「越前打刃物(うちはもの)」のイッピンだ。700年の伝統を受け継ぎつつ、スタイリッシュな製品を生み出し続ける産地の、驚くべきワザと職人の熱いおもいとは?女優・黒谷友香が徹底リサーチする。

*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201508181930001301000 より

 

 700年続く打刃物のまち福井県越前市。
 「越前打刃物」には、約700年の歴史があります。
 1337年、京都から千代鶴国安(ちよづる くにやす)という刀匠が、刀鍛冶に欠かせない美しい水が出る地を探し求め、府中(現・越前市) に来住し、越前市の打刃物業者に刀鍛冶の高度な技術を教えたことが「越前打刃物」の始まりと言われています。
 
 江戸時代に入ると、福井藩の保護を受けて鍛冶株仲間が組織され、「越前鎌」の販路は全国に広まりました。

 全国で刃物の産地は多数ありますが、大量生産も多い中、「越前打刃物」では伝統の製法を守り続けています。
 最先端の機械に頼らず、手作業により鋼(はがね)を火で熱して柔らかくし、槌(つち)で叩くことで金属を丈夫にし、形作る「火づくり鍛造」、また「研磨作業」もひとつひとつ手仕事で行っています。
 
 昭和54(1979)年、「越前打刃物」は刃物産地としては全国で最初に国指定の「伝統的工芸品」に指定されました。

 そして今、デザイン性に優れた「カスタムナイフ」や「洋食系シェフ専用包丁」なども造られ、世界的にも評価され、愛用者も多いです。
 
 
 1.世界が注目するステーキナイフ(龍泉刃物・増谷浩司さん)

 昭和28(1953)年創業の「龍泉刃物」(りゅうせんはもの)は、700年以上もの歴史を持つ「越前打刃物」の伝統を受け継ぎ、“手技”にこだわった製品を生み出し続けています。
 そんな「龍泉刃物」の代名詞とも言えるのが、「ステーキナイフ」です。
 
 平成25(2013)年に、仏リヨンで開催された世界最高峰の仏料理コンクール「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」で「龍泉刃物」が3位に入賞した日本チームのために作成したステーキナイフ「アシンメトリー SK01」のあまりの切れ味の良さに感動した審査員の多くがポケットに忍ばせて持ち帰ったというエピソードをきっかけに、「龍泉刃物」の名は世界に轟かせることとなりました。


  「ステーキナイフ アシンメトリー SK01」は、平成20(2008)年に三代目に就任した現社長の増谷浩司さんが、会社の生き残りをかけて、2年の歳月をかけて開発した「龍泉刃物」初のステーキナイフです。
 
 増谷さんが「ステーキナイフ」を作ったきっかけは安全に使えるナイフを作って欲しいという日本人シェフからの依頼を受けたことでした。

 ステーキナイフの全長は230mmで、刀身は90×20mm(長さ×幅)。
 手にして驚くのは、50gという軽さ。
 柄は手にしっくりと馴染み、ステンレス製の刀身は薄く、持った時のバランスがとても良いです。

 「ステーキナイフ アシンメトリー SK01」は、越前打刃物の日本の伝統技術を受け継ぐ職人さん達が、38の工程を施して一本一本丁寧に仕上げた手作りのものです。

 刀身に浮かぶ波紋模様は「龍泉輪」と呼ばれ、硬質材と軟質材とを交互に70層に積み重ねたダマスカス鋼を独自技術で鍛造し、表面を磨き上げる特殊な技から生まれたものです。

 この繊細な「龍泉輪」は単なる装飾ではなく、肉の組織より小さい200μの微細な凹凸が肉の組織を崩さず美しい断面にカットする抜群の切れ味をもたらします。
 一方、ナイフの先端と持ち手に近いところは切れずに、その間は鋭くなるように研ぎ分けています。
 更に刃先は丸くなっていて、お皿を傷つけないよう工夫がされています。

 龍泉刃物 ファクトリー&ストア 福井県越前市池ノ上92-5-6

 

 2.柾置法(「岡田打刃物製作所」3代目・岡田政信さん)
 
 「越前打刃物」の歴史は「鎌作り」から始まったと言われています。
 鎌には、ワカメを刈るための鎌や、漆かき用の鎌、柔らかい草を刈るための薄鎌もあります。
 
 「岡田打刃物製作所」の3代目で鍛治職人の岡田政信さんは、越前刃物の伝統技法である「柾置法まさおきほう」(別名「廻し鋼付け」)による
鋼の沸かし付けの技法の唯一、ただ一人の伝承者です。
 また、「舞小槌」の技術も修得されていて、「火造鍛造」による各種特殊刃物、特に高品位の鎌や刈込鋏などは、全国から注文が殺到しています。
 
 岡田さんに、鎌を作る工程を見させていただきました。
 「柾置法まさおきほう」は別名「廻し鋼付け」とも言い、「越前打刃物」の開祖・千代鶴が考案したと伝えられています。
 地鉄と鋼を鍛接した後、刃先の片隅から全体を菱形に潰していく方法です。
 この方法だと、刃がより薄くなって研ぎやすく、丈夫な質の良い製品へと仕上がります。
 
 刈り込み鋏の鋼付けにはこの方法が最適ですが、越前でもこのような鋼付けをしているのは岡田さんだけになってしまいました。
 そのため岡田さんは「最後の刈り込み鋏鍛冶」と言われ、伝統的工芸作品展や全国総合技能展、瑞宝単光章など、数々の賞や勲章を受賞(章)しています。

 岡田打刃物製作所 福井県越前市池ノ上町45-1-6

 

 3.タケフナイフビレッジ「加茂刃物製作所」加茂勝康さん)

 福井・敦賀市の料理が美味しいと評判の旅館で厨房を仕切る三好良二さんは越前打刃物のキッチンナイフを20年以上前から使用しています。
鋼が強いため、長年使っていても1回も刃こぼれしていないとおっしゃいます。
 
 三好さんが使っていたのは、「加茂刃物製作所」(かもはものせいさくしょ)の越前打刃物の伝統工芸士・加茂 勝康(かも かつやす)さんが作った包丁です。

 加茂さんは両刃包丁の鍛造技術に優れた技能を有し、「菜切包丁及び収穫包丁」の製造技術に独特の技術力を発揮してきました。

 特に昭和50(1975)年に長野県の高原野菜農家と共同開発した「野菜収穫包丁」は、レタス・キャベツ・白菜など葉物野菜の収穫用として、信州、北関東、愛知など全国の野菜農家で使用されて、昭和50(1975)年に「野菜収穫包丁」を農家と開発。
 以降も地域の野菜に合わせた刃物を手掛け、全国で使われています。
 平成28(2016)年には「瑞宝単光章」を受賞しています。

 昭和40年代、越前打刃物産地においても、ステンレスの普及や大量生産の安価な型抜き刃物の台頭などにより、手打ちの刃物業界を取り巻く環境は厳しくなっていき、家族経営で細々と経営していた工場は、次々と廃業を余儀なくされていました。
 
 越前打刃物の行く先を憂いていた加茂さんや岡田政信さんら(当時の)後継の若手職人達は、昭和48(1973)年に「武生刃物工業研究会」を結成。
 
 昭和57(1982)年の春からは、福井県出身の世界的なインダストリアルデザイナー・川崎和男さんが加わり、8月には、統一ブランドを「タケフナイフビレッジ」と決定し、クレウス、アルタスシリーズのステンレス包丁などの新商品の開発を推進しました。

 平成3(1991)年9月には産地の若手後継者を結集して「タケフナイフビレッジ協同組合」を設立、初代理事長として、艱難期に組合の運営を軌道に乗せるべく、関係機関との調整や資金の調達など東奔西走の活躍を果たしています。
 また、自身の経験をもとに、高校・大学などで特別講義を行うなど、「継承」事業にも力を入れています。
 
 加茂刃物製作所 福井県越前市余川町22-91 タケフナイフビレッジ協同組合内

*https://omotedana.hatenablog.com/entry/Ippin/Fukui/Echizenuchihamono より


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