いいもの見ぃ~つけた!

「いいもの」は探せばいっぱいあります。独断と偏見による個人的「いいもの」情報発信所です。

<ぶどう> 甲斐のくろまる

2021-10-27 07:32:36 | 食品

 「甲斐のくろまる」

●甲斐のくろまるとは
◆甲斐のくろまるの来歴
 「甲斐のくろまる」は2005(平成17)年に山梨県果樹試験場において「ピオーネ」に「山梨46号(「巨峰」×「巨峰」)」を交配し、得られた実生から選抜育成された果皮色が紫黒に着色しやすい四倍体ブドウ品種です。

 
 2009(平成21)年に”生食ブドウ山梨 2 号”という系統名がつけられ2010(平成22)年12月に山梨県によって品種登録申請出願、2013(平成25)年に品種登録されています。

「甲斐のくろまる」という名称の由来は、『甲斐の国,山梨で生まれたオリジナル品種で あり,果皮は着色性に優れ真っ黒になり、果粒 の形がまん丸であることに由来する』とのことです。

◆甲斐のくろまるの特徴
 「甲斐のくろまる」は手を加えず結実させると果房の形は有岐円錐で着粒は粗いのですが、2回のジベレリン処理(満開期にジベレリン 25 ppm 加用ホルクロルフェニュロン液剤 5 ppm、満開 2 週間後にジベレリン 25 ppm の 2 回の浸漬処理)と適した摘粒を行うことで種無しになり、果粒が円形で、果粒重は14g程度になり、房に蜜に着粒した状態になる。

 果皮色は紫黒色に着色しやすく、皮の厚みは中くらいでむきやすい。

 糖度は18%程で酸度は0.6%程とやや少なめなので甘く食味が良いぶどうとなっています。

 また、色が濃くアントシアニンを巨峰やブラックビートなどよりも多く含んでいる野も特徴です。

(※山梨果試研報第 13 号:15-20.2014より)

 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

 果房の大きさは大、果房の着粒密度は粗、穂梗の長さは長、穂梗の色は淡緑、

 果粒の大きさは大、果粒の形1は球形、果皮の色は青黒、果粉の多少は多、果皮の厚さは中、果皮と果肉の分離性は中、

 肉質は中間、果汁の甘味は中、果汁の多少は多、果実の香りはフォクシー、熟しょうの色は暗褐、花振るいの多少は多である。  

 出願品種「甲斐のくろまる」は、対照品種「巨峰」と比較して、果粒の形1が球形であること、果粉の多少が多であること、果皮の厚さが中であること等で区別性が認められる。

 対照品種「ピオーネ」と比較して、幼しょうの先端の綿毛の密度が密であること、若葉裏面の葉脈間の綿毛の密度が中であること、果粒の形1が球形であること、果粉の多少が多であること等で区別性が認められる。

-----』 以上、抜粋。

◆実際に食べてみた甲斐のくろまるの食味
 今回入手したものは9月末JAグループ山梨の甲斐のくろまる専用紙に包まれたものです。

 全体に色が濃く、ほとんど真っ黒という印象でした。まさに名前の通りです。

 皮は手で綺麗に剥く事が出来ました。皮はそこそこ厚みがあり、食べるられません。

 果肉はしっかりとしていますが食べた時に固さや繊維感は感じません。種はなく、糖度の高さが感じられる強い甘みと強すぎない酸味のバランスがイイ感じで美味しいぶどうでした。ピオーネと巨峰にフォクシー香があるように、それを受け継いでこの「甲斐のくろまる」にもしっかりとありました。

●甲斐のくろまるの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
 「甲斐のくろまる」は山梨県が生み出したオリジナル品種として、現在は山梨県内でのみ栽培されています。

◆甲斐のくろまるの収穫時期と旬
 「甲斐のくろまる」の成熟期は山梨県において8月上旬となっています。

「巨峰」よりも10日ほど早い8月上旬に収穫出来る品種とされ、収穫は早いものは7月下旬ごろから始まり9月下旬ごろまでとなります。

*https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/fruit/budou-Kaikuro.htm より

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

<日本酒> 人気一 あわ酒スパークリング 純米大吟醸 BRUT NATURE

2021-10-27 07:23:22 | 日本酒

 ワイングラスでおいしい日本酒アワード プレミアムスパークリングSAKE部門

 <最高金賞> 1/2 「人気一 あわ酒スパークリング 純米大吟醸 BRUT NATURE」

アルコール度:14度

精米歩合:50%

このスパークリング純米大吟醸は、awa酒協会の認定基準により、通常の日本酒に比べると倍以上の時間と手間をかけた新しい日本酒です。 一次発酵は長期の低温発酵を木桶で行い、二次発酵は瓶詰め後さらに長期の発酵、その後瓶を逆さまにして瓶口にオリ下げ、瓶口のオリを凍らせて抜き、低温殺菌の後、さらに数ヶ月の熟成期間を経て完成しました。 濁りの無い透明感、キメ細かい泡とエレガントな酸味、甘さを抑え日本酒らしさにこだわりました。日本酒を超えた新しいお酒をお楽しみください。グラスに注ぎ冷やしてお召し上がり頂くのがお薦めです。 BRUT NATURE(ブリュット ナチュール)とはシャンパン用語で糖類添加を全くしない辛口を意味しています。

 人気酒造株式会社 福島県二本松市山田470番地

 人気酒造のラインナップ

 「人気一」純米大吟醸・大吟醸 など

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

<伝統野菜> 栃木 鹿沼菜

2021-10-27 07:07:28 | 伝統野菜

 「鹿沼菜」

 【生産地】鹿沼市

 【特徴】緑色が濃く、光沢が特徴の漬け菜

 【食味】豊かな甘味とほろ苦さがほどよく調和した独特の味わい。アクがほとんどなく、お浸しや煮物が美味しい。

 【来歴】古くから栽培されていたが、栽培しやすいアブラナ科野菜の栽培が多くなり、現在では、ほとんど作られなくなっていた。2010年から「伝統野菜の鹿沼菜復活プロジェクト」として、JAかみつが、鹿沼市、宇都宮大学、鹿沼南高校、上都賀農業振興事務所により、鹿沼菜の形態的特性と染色体数などを調査し優良系統を選抜し種子を確保。現在は12戸の農家が栽培し、直場所等で販売している。

 【時期】10月頃~4月頃

*https://tradveggie.or.jp/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e4%bc%9d%e7%b5%b1%e9%87%8e%e8%8f%9c%e2%80%9509-%e6%a0%83%e6%9c%a8/#i-6 より

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

<慣用句・諺> いざさせ給え など

2021-10-27 06:52:59 | 慣用句・諺

 「いざさせ給え」

 《「させ給え」は、その上に来るはずの動詞を略したもの。「給え」は尊敬の補助動詞「給う」の命令形》

 1 さあ、やってごらんなさい。

 2 さあ、いらっしゃい。

 

 「いざさらば」

 1 別れるときに言う語。それでは、さようなら。

 2 思い立って事をしようとするときや人を誘うときに言う語。さあ、それでは。

 

 「いざ知らず」

 《「いさ知らず」の「いさ」と感動詞「いざ」との混同によってできたもの》…についてはよくわからないが。…はともかくとして。

 

 「いざ給え」

 《「給え」は尊敬の補助動詞「給う」の命令形。この上に来るはずの「行く」「来る」の意の動詞を略したもの》さあ、いらっしゃい。さあ、どうぞ。

 

 「いざという時」

 非常事態の起こった場合。一大事発生の時。

 

*goo辞書 より

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

<The Wonder 500> ものづくり 058 ヒダスキ カップ&ソーサー

2021-10-27 06:39:20 | The Wonder 500

 「058 ヒダスキ カップ&ソーサー」

*https://www.amazon.co.jp/DAIKURA-sh-cup023-h-%E3%83%92%E3%83%80%E3%82%B9%E3%82%AD-%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97-%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%BC/dp/B06XK1F3S2 より

 備前焼のお店DAIKURA 岡山県備前市伊部715

DAIKURAについて
DAIKURAは2011年12月に、
備前焼作家「小川秀蔵」「小川弘蔵」、窯元「趣工房」の作品を通信販売する為に創設いたしました。
しかし、これからの「備前」を販売する為には「新しい備前」が必要となりました。

そこで、外部の方々のご意見も多数参考にさせていただき
今現在、通信販売だけではなく「DAIKURA」ブランドとしての新商品の開発に取り組んでおります。

先人たちが長い時をかけて築き上げた「備前ブランド」に恥じぬよう、
陶暦45年の伝統工芸士 小川秀蔵の指導を受けつつ、互いの技をぶつけ合い、
「DAIKURAブランド」が今後50年100年と愛用されるように、尽力してまいります。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

伊勢丹FOODIEが選ぶ「愛される食品100」 018 三岳〈鹿児島/三岳酒造〉

2021-10-26 07:09:13 | 食品

 「018  三岳〈鹿児島/三岳酒造〉」

鹿児島県産さつま芋を原料とし、原生林に濾過された名水で仕込む本格焼酎は、
すっきりしていて、味わい深く旨味がひろがります。

 三岳酒造株式会社 鹿児島県熊毛郡屋久島町安房2625-19

 昭和33年栗野酒造㈱買収 屋久島に移転 三岳酒造株式会社に商号変更
 「焼酎が島の特産品・農業の振興につながれば」という思いで、昭和33年に創業し、離島というハンディキャップを乗り越え、現在に至っています。
 「人・物・焼酎づくりに誠を尽くす」を経営理念に、社員一丸となり、品質の安定・向上を第一に、皆さまに愛され続ける製品製造を目指しています。
 地元では、約半量のお湯で割る「お湯割り」がおすすめですが、水割り・原酒のソーダ割り・ ストレート・オンザロックなどでお召し上がりください。地元の料理で飛び魚のつき揚げ・フライ・さばの刺身など、どんな料理でもあいます。

プレミア人気の芋焼酎

厳選されたさつまいも「黄金千貫」を原料に、屋久島の天然水と白麹で仕込んだ芋焼酎。口あたりが軽く、澄んだ味わいは、芋焼酎初心者にもおすすめです。その人気からプレミア焼酎の別名も。

1,800ml 2,274円 約90本/月
※20歳未満の方の飲酒は法律で禁止されています。
[粋の座・和酒]

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

<言 葉> 秋の言葉 夜半の秋

2021-10-26 06:57:11 | 言葉

 「夜半の秋-よわのあき」

 とっぷりと更けた秋の夜

*https://ouchidehaiku.com/contents/342894 より

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

<ぶどう> オリエンタルスター

2021-10-26 06:51:16 | 食品

 「オリエンタルスター」

 ■オリエンタルスターとは?
●「安芸津21号」に「ルビーオクヤマ」
オリエンタルスターは1989(平成元)年に広島県安芸津町にある農林水産省果樹試験場(現 農研機構)において、「安芸津21号」に「ルビーオクヤマ」を交配し生まれた実生から選抜育成されたぶどう品種で、「巨峰」よりやや遅く、「ネオ・マスカット」とほぼ同時期に成熟する紫赤色の大粒の二倍体ぶどうとなっています。2004(平成16)年に登録出願され2007(平成19)年に品種登録されたまだ新しい品種です。

●品種登録データベース
農林水産省の品種登録データベースによると、オリエンタルスターの特徴は下記のように記されています。

『果房の形は有岐円錐、大きさは極大、長さは中、着粒の粗密はやや粗、果梗の太さは中、長さは短、色は黄緑である。果粒の形は短楕円、大きさは大、果皮の色は紫赤、果粉の多少はやや多、果皮の厚さは中、果皮と果肉の分離性はやや難、果肉の色は不着色、肉質はやや崩壊性、甘味はやや高、酸味はかなり少、渋味は無~極少、香気は無、果汁の多少、種子の数及び形は中、大きさは大である。発芽期、開花期及び成熟期は中で育成地においては8月下旬である。果実の着色の難易は中間、花振いの多少は中、無核果粒の混入及び裂果の多少は無~極少、果梗の強さ及び果梗と果粒の分離は中である。「巨峰」と比較して、果粒が小さいこと、酸味が少ないこと等で、「ルビーオクヤマ」と比較して、渋味が少ないこと、成熟期が早いこと等で区別性が認められる。』

また、農研機構のホームページには下記のように記されています。

『果粒重は10g程度である。肉質は崩壊性で硬く、「マスカット・オブ・アレキサンドリア」に近い。糖度は高く19%程度になり、酸含量は低く、0.4g/100ml 程度である。香りは無い。「巨峰」より少しはく皮しにくい。裂果性は「巨峰」と同様に無い。縮果病は発生しない。「巨峰」より脱粒しにくい。日持ち性は「巨峰」より長い。』

●実際に食べてみたオリエンタルスターの食味
2014年に入手した滋賀県産のものは種無し処理はされておらず、一粒一粒にいくつも種が入っていました。上記の解説通り、粒がしっかりと果梗に付いており、粒を外そうとすると果梗ごと取れるものもあるくらいです。

粒の大きさは巨峰よりも少し小さめで、楕円形をしています。皮はむきにくいですが、比較的薄く、また渋みも少ないので、剥かずに皮ごと食べられなくはない感じです。果肉はしっかりとしていて少し歯触りがありますがとてもジューシーで甘く、酸味はあまり感じられません。

2017年に入手したものは山梨県産で、種なし処理され、房も大きくしっかりとしたもので、果皮の色も濃く色付いていました。果肉はしっかりとした歯触りがあり、甘く果汁もたっぷりでした。皮ごと食べると強い渋みが加わり、むいて食べた方が美味しく感じました。

■オリエンタルスターの主な産地と旬
●主な産地
まだ新しい品種という事もあって、政府の統計にはまだ記録されていませんが、各地で栽培が始まっているものと思われます。特徴から巨峰よりも優れた面も持ち合わせているので今後増えてくるのではないでしょうか。

●オリエンタルスターの収穫時期と旬
成熟期は広島においては8月下旬頃とされており、収穫時期は栽培地によってずれてきますが8月下旬頃から10月上旬辺りまでとなります。

*https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/fruit/budou-OrientalS.htm より

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

<日本酒> Haiku

2021-10-26 06:45:56 | 日本酒

 ワイングラスでおいしい日本酒アワード プレミアム純米部門

 <最高金賞> 16/16 「Gekkeikan Haiku」

精米歩合60%

特別純米酒

アルコール度 15%

 Gekkeikan Sake (USA), Inc. 1136 Sibley Street, Folsom, CA 95630, USA 

 Gekkeikan Sakeのラインナップ

 「Traditional」

 「Black & Gold」

 「Silver」

 「Draft Sake」 など

 SAKEの未来は現地醸造にある──アメリカ市場を切り開く、米国月桂冠の挑戦 2017.08.09

 2016年、日本酒の海外輸出金額が7年連続で過去最高を記録し、大きな話題になりました。

 日本酒の輸出先第1位であるアメリカへの輸出量は、現在5,108kl(およそ2.8万石)。しかし実は、それをはるかに上回る、16,256kl(およそ9万石)以上がアメリカ国内で醸造されているんです。

 その現地醸造に取り組む企業のひとつが、カリフォルニア州フォルサム市にある米国月桂冠。日本の清酒シェアでトップ3の一角を占める月桂冠が設立した現地企業で、30年近くも前からこの地で清酒を醸してきました。

 日本酒の海外輸出が現在ほど伸びていなかった当時、どうして月桂冠は莫大な設備投資が必要になる現地醸造に踏み切ったのでしょうか?

 "メーカーが工場機能を海外に設ける"というと、関税や輸送費をはじめとするコストの削減が主な目的と思われるかもしれません。しかし月桂冠が現地醸造を始めた背景には、まったく違った理由がありました。

 豊かな水源と歴史のある町「フォルサム」
 米国月桂冠が位置するフォルサム市は、サンフランシスコから北東へ約190km向かったところにある、人口7.7万人の町。"ゴールドラッシュが始まった地"としても知られ、当時の面影を残した旧市街は観光地になっています。

 市内のアメリカンリバーやフォルサムレイクにはシエラネバダ山脈の雪解け水が流れ、カヌーやウォータースキー、バーベキューを楽しむ家族連れでにぎわっているそう。2016年には、カリフォルニア州の「家族生活に適した街」第1位(調査会社ウォレットハブ)にも選ばれています。

 夏は気温が40℃になることもあるものの、カラっと乾燥しているため不快感はありません。豊かな自然や心地良い風とともに、のんびりと過ごすことができる町です。

 世界最高品質を、安定供給し続けるために
 米国月桂冠は、1989(平成元)年に設立されました。設立当時の、日本から海外への日本酒輸出量は6,783kl(約3.7万石)。現在のおよそ3分の1程度でした。

 まだ日本酒の海外市場が小さかった時代になぜ、資金や人員を大きく割かなければならない現地醸造を選択したのでしょうか。米国月桂冠の浪瀬政宏社長に話をうかがいました。

 「当時、品質を保ったままアメリカの市場に日本酒を輸出することは困難でした。ストライキが起きて港での荷下ろしに時間がかかってしまったり、輸送中の商品管理に不安があったり。クール便で港に商品を届けても、5日間荷下ろしできず、船の中に入れられたままだったこともありました。そこで、高い品質の商品を安定して市場に届けるためには、現地醸造が必要だと判断したのです」

 もちろん、関税や輸送費などのコストを削減する意図もあったでしょう。しかし、単なる工場機能の移転ではなく、「世界最高品質の酒を、手に取りやすい価格で消費者に安定供給したい」という月桂冠のこだわりが背景にありました。

 とはいえ、設立当初は思うような酒造りができず、かなり苦労をされたのだとか。一年を通して暑い日が続くフォルサムでも酒造りができるように四季醸造システムを導入し、醸造経験の豊富な日本の技術者を連れて行きましたが、なかなか期待通りの味わいにはなりませんでした。

 「水、米、気候...何もかもが初めての土地で、ゼロから酒造りを始めるのは大変でした。フォルサムの環境に合うような新しい醸造技術を日本から持ち込むなど、何度も試行錯誤を繰り返し、やっと思った通りの味わいを造れるようになりました」

 「今後、米国月桂冠が取り組んでいく挑戦のひとつは、アメリカ人の感じる"おいしさ"を理解すること」と、浪瀬社長は言います。分析によって数値化できる部分もありますが、最終的な"おいしさ"は数値では測れません。日本人である自分たちでは判断が難しいことも多いのだとか。

 「それでも、さらにおいしい酒を造れるように社員一丸となって試作品を造り続けています。今まで確立してきた方法から脱却するためには勇気が必要。苦労して築き上げてきた、『こう造ったらおいしい』という間違いのないやり方ですから。しかし、あえてそれを脱してさらなる高品質を目指さなければ、進化できません」

 アメリカにおける清酒の売り上げは年々上昇していますが、認知度はまだまだというのが実情です。2013年に世界一のワイン消費国となったアメリカでは、ワインの月間消費量が国民一人あたりで750mlのボトル1~2本にもなるそう。対して清酒は、720mlを数年に1本飲むかどうか。

 清酒を飲んだことのないアメリカ人にそのおいしさを知ってもらいたい、という浪瀬社長の強い思いをひしひしと感じました。

 純アメリカ産の地酒を目指して
 アメリカでの醸造にあたり、原料はどうやって入手しているのでしょうか?また、仕上がった酒はどんな味わいになるのでしょうか?米国月桂冠で醸造責任者を務める河瀬陽亮さんに、現地醸造の実態について詳しくうかがいました。

 「現地醸造の場所を検討するにあたって、もっとも大きな決め手となったのは『水』。土地を選定するにあたり、30箇所以上から水を採取し試験醸造を行いました。フォルサムには、シエラネバダ山脈の雪解け水が豊富にあり、この水が酒造りに適していることがわかったのです。日本の月桂冠がある京都・伏見の水よりもさらに軟水でした。発酵が緩やかになるため辛口になりにくく、やわらかな味わいの酒に仕上がるんですよ。純米酒だけを醸造している米国月桂冠に適した水質でした。

 米はフォルサムからほど近い穀倉地帯・サクラメントバレーでつくられているカルローズ米を使用しています。山田錦の祖父にあたる渡船と長粒米を掛け合わせてできた中粒米で、酒造りに適したバランスの良い米ですね」

 安定品質・安定供給を実現するためには現地の原料を使うことが必須だったと語る河瀬さん。輸入原料に頼ると、港でのストライキや輸送の遅延によって、予定通りに入手できないケースが多いのだそうです。また、清酒を地元に根付かせるために、酒造りの工程はほとんどの部分を現地採用の社員が担当しているとのこと。

 米国月桂冠は清酒を地域に根付かせることを目指して、原料にこだわるだけでなく、現地の人を積極的に採用したり、地元住民や旅行者向けに酒蔵見学やテイスティングツアーを行なったりと地域活動にも力を入れてきました。

 こうした取り組みもあって、米国月桂冠の醸造量は設立当初の900kl(約4,900石)から、2015年には6,160kl(約3.4万石)まで増加。これは、日本国内の酒蔵と比較してみてもトップ15社に入るほどの醸造量だそう。地域に受け入れられてきたからこそ、地元企業として成長することができたのでしょう。

 最高品質へのこだわりと吟醸酒への挑戦
 米国月桂冠では現在、6種類の酒を醸造しています。そのなかでも、流通の6割を占めるのが「Traditional(トラディショナル)」という銘柄の純米酒。燗に適した酒で、軟水由来のやわらかさをもっています。

 また、地元の日本食レストランで人気なのが「HAIKU(俳句)」。精米歩合60%の特別純米酒です。

 日本国内の基準に合わせれば、純米吟醸酒を名乗れるスペックですが、日本の月桂冠から"純米吟醸酒を名乗る許可"が得られていないそう。品質にこだわり、妥協を許さない月桂冠の思想がここにも表れていますね。

 それでも、月桂冠で貿易部長を務める野田幸雅さんは「『HAIKU』は純米吟醸酒を名乗っても良いレベルになってきました。アメリカで純米吟醸酒を打ち出すことを検討する段階にきたのかもしれません」と、米国月桂冠の新しい歩みを進める準備が整ったことを示唆していました。

 前進し続ける月桂冠の大局観
 米国月桂冠が設立された30年前は、日本酒の海外輸出がまだ低調で、清酒業界の今後が懸念されていた時代。そんなときに、資金面、事業の成長面でリスクのある海外法人を持つことは、大きな決断だったと思います。

 月桂冠はこれまで、科学技術の導入や四季醸造システムの確立、海外展開など、大きなリスクを背負いながらも好機を逃さずに飛躍を続け、日本酒の歴史を発展させてきました。

 今回取材した米国月桂冠も同じでしょう。海外で最高品質の商品を安定供給するためには現地醸造が不可欠と考え、海外法人の設立に踏み切った月桂冠。「HAIKU」が純米吟醸酒を名乗らないのも、長期的な視点をもっているからこそ。まずはベーシックな純米酒に注力し、30年もの時間をかけて地元の認知を得てきました。380年という歴史を持つからこそ、時間をかけて誠実に消費者と向かい合うことができるのも月桂冠の強みなのでしょう。そしてようやく次のフェーズへ挑戦をしていくその姿に、日本とアメリカで積み上げた、380年と30年の厚みから生まれた大局観を感じました。日本酒の未来を、月桂冠は切り拓いているのです。

(取材・文/古川理恵)

*https://jp.sake-times.com/special/project/pr_gekkeikan2_01 より

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

<伝統野菜> 茨城 里川かぼちゃ

2021-10-26 06:39:54 | 伝統野菜

 「里川かぼちゃ-さとがわかぼちゃ」

 【生産地】常陸太田市美里地区

 【特徴】表皮が鮮やかなピンク色をしているのが特徴。果肉はオレンジ色で、キメの細かい粉質。

 【食味】糖度は12度前後でやさしい甘み。加熱すると最初はホクホクとした食感だが、口溶けは絹のようになめらか。

 【来歴】昭和30年頃から栽培されてきた地域伝統野菜。長年にわたり自家採種を繰り返したことにより交雑し、原種が失われつつある時期もあったが、2007年に独自性を見直そうと研究会が発足し、苗の一括生産を行い品種の固定化を図っている。

 【時期】9月~12月下旬

*https://tradveggie.or.jp/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e4%bc%9d%e7%b5%b1%e9%87%8e%e8%8f%9c%e3%83%bc08-%e8%8c%a8%e5%9f%8e/#i-9 より

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする