〈リバイバル・アーカイブス〉2021.11.22.~12.6.
原本:2017年11月29日
2017.10.18. 山本源太夫社中の神楽舞い 富田林市本町 個人のお宅に毎年この時期に来られます。
10月の秋祭りの頃、早朝より笛と太鼓の音が聞こえてくる。神楽舞いの道具一式をリヤカーに積んで、今年も伊勢大神楽が富田林市にやって来た。
この神楽は伊勢大神楽講社の中心的な組、山本源太夫組のものである。山本源太夫組は三重県桑名市太夫(たゆう)を本拠とする組で、毎年12月24日にこの地区にある増田神社で伊勢大神楽講社に属する組とともに盛大に「総舞」を奉納する。
そして、大晦日に桑名市を出発し、檀那場である滋賀県、福井県、そして大阪府などの地域へ、「神楽宿」と言われる決められた宿に泊まりながら、ほとんど1年を通して旅を続ける。
9月中頃に、藤井寺市の道明寺天満宮で、「河内国入りの神事」の初舞をしてから、藤井寺市、松原市、堺市、羽曳野市、そして富田林市へと秋祭りに合わせてやってくる。その後、大阪狭山市へとまわり、最後に道明寺天満宮にて奉納し、河内での回檀は終わる。
2017.10.25. 山本源太夫社中の道具入れ 台風で予定が大幅に遅れているようでした。
当地で「かまど祓い(お祓い)」による獅子舞をするときには、「はがき」であらかじめ、回る家に訪れる日を知らせて来る。そして当日の朝より、笛や太鼓によって訪問が近づいたことを知らせるのである。かまど祓いのとき、獅子に頭をかんでもらうと頭がよくなるとか、何かいいことがあるとかいわれているが、子供心にはとても怖かった。お祓いのあと、お布施を渡し、伊勢大神楽講社 山本源太夫の神札をいただいて、獅子舞は終わる。1981年1月21日に、伊勢大神楽講社が国指定 重要無形民俗文化財に指定された。
2017.10.31.錦織神社 渋谷章社中による総舞
このように、富田林では伊勢大神楽が伊勢の桑名市より毎年秋にやってくる。なお、別に、西板持地区などに、渋谷章社中により伊勢大神楽が回檀している。
参考文献:「神と旅する太夫さん―国指定重要無形民俗文化財―「伊勢大神楽」 北川 央 2008年12月刊
伊勢大神楽ー発祥の地は三重県桑名市太夫の増田神社。いまから約600年前の室町時代にここを本拠として、伊勢神宮に参詣できない村衆に伊勢神宮の神札(現在は、伊勢大神楽講社の神札)を持って1年に1度、近畿や北陸、西日本の各地を回ったのが、その始まりといわれています。代わりに伊勢神宮に参詣することになるため(代参)、代神楽と呼ばれていたこともあったようです。つまり、伊勢大神楽は伊勢神宮のお使いであるともいえるわけです。
現代は近鉄特急で簡単に日帰りできる時代ですが、江戸中期、参詣には1週間以上の時間と多くの路銀を掛けて伊勢参りをしました。村衆が「一生に一度の夢をかなえる」ため伊勢講をつくりお金を貯めて代表者が代参していた時代に、伊勢大神楽は毎年同じ時期に伊勢の国よりやって来て、伊勢神宮の神札とその舞により、一軒一軒の家を回檀して無病息災、家内安全を祈りました。
撮影:2017年10月18日、25日 山本源太夫社中 1~5
玉城 幸男、林 保夫
10月31 渋谷章社中 6~8 池田 三郎
文:玉城 幸男(富田林百景メンバー)
2017年11月29日(HN:アブラコウモリH )
実際に拝見すれば、迫力があるでしょうね!