2024年12月5日 14:48 富田林市富田林町 旧杉山家住宅 紅葉したもみじの庭園
前々から少し気になっていたのですが、旧杉山家住宅の「忍び返し」について知らべてみました。
塀の上を取り囲む「忍び返し」。
旧杉山家・田守家・杉田家住宅など富田林じないまちの民家の塀には「忍び返し」がいくつか見られます。比較的大きな敷地の民家で、塀に囲まれた部分があるところに設置されているようですが、設置していない民家も見られます。
旧杉山家住宅
つまり、泥棒・不審者などの侵入を防ぐために、塀に梯子を掛けて乗り越えられそうな所に、あらかじめ侵入するのがイヤになる位の五寸釘やとんがった木の柵を取り付けてあります。
旧杉山家住宅
そして手前に引っ張ると倒れやすいように固定されていると聞いたことがあります。
杉田家旧宅
泥棒・不審者が侵入するのがイヤになる位の「忍び返し」ですが、それでも侵入しようと梯子をかけて塀によじ登り、越えようと「忍び返し」に手を掛けた途端、「忍び返し」が手前に倒れてきて真っ逆さまに泥棒・不審者が下に落ちることになります。
古い町に時として見られますが、その形はいろいろで、その町において、また個々の住居で独特の意匠が見られます。
奥谷家住宅 *現在は撤去されています。
そんなに古い時代からあったとは思えませんが、富田林の場合は一区画が広いお家(うち)が多く、侵入を防ぐために塀を築き、侵入されるようなところには「忍返し」を取りつけたと思われます。
おそらく「忍び返し」自体は明治以降に作られたのではないでしょうか?
田守家住宅
現在、「忍び返し」は建築業界の業界用語になっており、いろんなタイプの金属製の「忍び返し」が出回っています。「忍び返し」って、「泥棒除け」って言うよりなんか言いまわしがやわらかでいいですよね。
奥谷家住宅 *現在は撤去されています。
この「忍び返し」はどうしてここにあるのでしょうか?すこしそのことについて、見て行きたいと思います。
昭和60年(1985)1月 修理工事前の写真にも同じように写っています。
出典「旧杉山家住宅修理工事報告書 S62.9 富田林市」
旧杉山家住宅
どのような取り付けがされているのか、内側から見ました。瓦と「忍び返し」とを止めているものはないようです。つまり上に乗っかっているだけ。
塀と「忍び返し」は鉄の金具で、まず一番下の横の材木に釘2本で固定されています。そして力の掛かる方向に固定されていて、抜けやすい方向に打ちつけられています。釘の深さはわかりませんが、すでに材木の打ちつけたところがひび割れています。
そして縦の材木も鉄の金具で釘2本で固定されています。これも力の掛かる方向に固定されているので、抜けやすい方向に打ちつけられています。ここも材木の打ちつけたところがひび割れています。
つまり、泥棒・不審者が塀によじ登り越えようと「忍び返し」に手を掛け引っ張った途端、「忍び返し」が外側に倒れしまう構造になっているようです。
「忍び返し」と屋根を留める部分。
屋根と板に隙間が空いていて、きちんと止められていないように見えます。
泥棒・不審者が中に侵入するのがイヤになる位の「忍び返し」は、あくまで犯行を事前に防止するためのものです。
万一それでも乗り越えようとする者がいれば、わざと「やわ」に固定してあり、泥棒・不審者が「忍び返し」に手を掛けた途端手前に倒れるようにしてあるようです。
旧杉山家住宅の庭園のもみじが色付きました。
田守家
上下2本の釘が打たれています。釘は旧杉山家住宅のものより少し短いです。
田守家
横の木も尖がっています。
杉田家
ここも上下2本の釘で、長さは短い目です。それぞれの民家によっても少しずつ違うようです。
2018年の台風21号では、暴風で大きな被害を受けました。
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写真撮影:2024年12月5日
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