まっすぐ延びた単線の先には小さな駅舎
駅のむこうは鉄橋が...
ここは大和川。むこうに二上山が見えます。
ガタンゴトンと2両の電車...
ホーム有効長、なんと2両!
大和川堤防と同じ高さの、この駅どこでしょう?
〈解答は画面をクリックしてください〉
ここは近鉄で一番古い路線、柏原線。何と121年前、明治31年(1898)3月24日、河陽鉄道が柏原~古市間を開業しました。国道25号線を跨ぐ鉄橋の橋梁は煉瓦造りです。
そして、縁(へり)が花崗岩の算木積みにイギリス積みの煉瓦造り。当時の最強の和洋折衷の技術です。今もひび割れ一つありません。
この工法は大和川を渡る鉄橋にも使われています。道明寺側の橋梁にも煉瓦造りと算木積みが今も使われています。算木積みは近世日本の城郭の石積み(角石)に使われている技術です。
この橋、近鉄最古の鉄橋なんですよ!
しかも、橋脚は明治31年開業当初は珍しい鋳鉄管柱(鋳物製)でした、しかもイギリス製。なんでイギリス製かというと、この当時まだ日本ではこんな大きな鋳鉄管が造れなかったから。日本で2番目の近代的な官営の八幡製鉄所ができたのはこれより後の明治34年〈第1号は明治20年(1887)の釜石鉱山田中製鉄所〉でした。
ところで開業当時の橋脚の鋳鉄管柱が今も使われているといったらビックリするでしょう。2m弱の鋳鉄管柱を2本ボルトでつないで作られていました。
上の松永白洲記念館所蔵する写真を見てください。この鋳物の橋脚を昭和12年(1937)にコンクリートで覆ったのが現在の橋脚になります。
ただし、先ほどの現在の橋脚の左から2つ目の橋脚の形が違っているでしょう。これは平成11年(1999)6月25日、梅雨の大雨による大和川の増水で橋脚の根元がえぐられ、数本が 上流に傾くという事態が発生し、ここの橋脚のみ新たに作り変えられたためです。
柏原南口駅より柏原側の柏原2号溝橋
こちらは珍しいフランス積みの煉瓦構造物。近鉄 柏原~河内長野間でフランス積みは2つだけ。昔は汽車が走っていました。
高度が低くなって柏原駅に近づきました。これもフランス積みの柏原1号溝橋。
まだまだすごいことがあります。柏原線は近鉄の単独営業路線で一番短い2.2kmの路線です。(連絡線としては難波線2.0km)この路線は、中間駅が柏原南口駅しかありません。
さらにすごいのは、無人駅で自動改札がない駅です。山中の駅ならともかく平野部の住宅地域では珍しいのではないでしょうか? 乗降客971人(2018.11.13.)
大和川を付け替えた、中甚兵衛も忘れないで...近くの280m東側の堤防にあります。
撮影日:2019年5月10日、8月6日ほか
事前に写真を撮って、館内学習で作りました。
2019年8月27日 ( 2019年度富田林百景+ 板谷 武史&林 保夫 )