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大阪の東南部に位置する人口10万ちょっとのごく普通の町、富田林。その魅力を、市民の手で発見していきます。

石川足跡化石 オ-1

2014年09月16日 | 石川化石木・足跡化石

ここの石川足跡化石 オ-1ポイントは、地図の一番右上側 オ群のなかで、左岸のポイントにあたります。

 

石川ゾウ・シカ足跡化石(オ群)の中で、現在地図の通り3カ所で化石が発見されています。今回はそのオ-1についてご紹介します。

金剛大橋下流150mの石川左岸河川敷にあり、近鉄富田林駅からも寺内町を抜けて10分位の距離ですので、お立ち寄りください。現地まで運動靴で問題なく行けます。河岸すぐ近くの砂礫層の間から大阪層群がのぞいており、現在下の写真のとおりの状態で保全されています。

 オ-2、オ-3ポイントについては後日改めて紹介させていただきます。

 

 実は上の表のとおり、富田林市では25年前から100万年を前後する自然史の遺跡が3.5kmの範囲で6カ所も見つかっています。ここ1年余りで新たにFとGが見つかり話題になっています。台風の増水により表土が流され出てきたこの足跡化石群のほか、増水のため一時的に下流部の井堰が故障し水位低下により発見された化石林(富田林市錦織東二丁目)など、台風が影響しているようです。

 

 2014.7.25.ゾウの足跡化石と思われます。100万年~80万年前のアケボノゾウという種類の体長2m位のやや小型のゾウやそうです。(今のゾウより小さい。)蹄(ひづめ)の跡や蹴り返しでできたと思われるような形状が見られます。上部がゾウの進んだ方向。

 

 2014.7.25. 2~3個所の偶蹄目と思われるような足跡が見えます。カズサシカという今のニホンシカくらいの小型のシカやそうです。

 

 2014.7.25. ゾウと思われる足跡化石、2カ所(左上が進む方向)

 

 2014.7.25. はっきりしないが円形に掘れています。川の流れに後で洗われ、表面が浸食されたようです。

 

 2014.7.25. チョキマーク 偶蹄目(シカ)の蹄の足跡です。

 

 2014.7.25.波形がよく解ります。私は化石漣痕と思っていましたが、専門家の調査でどうも化石漣痕でないという説が有力になってきました。付近の別の場所で、地層をまたぐ形で同じ波形が見つかり、2年ほど前に河川整備のためここの場所に河床までブルドーザーが入った経緯から、そのブルドーザー痕の可能性があるということです。

確かに、化石漣痕にしてはきれいすぎる波形かもしれませんね。ということは、「現代判ブルドーザーの足跡化石?」かもしれません。皆さんも現地で確かめてみてください。

 

 2014.7.25. ここも微妙に波打っていますが、ブルドーザーの痕なのでしょうか?

 

 2014.7.25. 地層の傾斜は北北東方向(下流部)に上向いており、1989年の化石調査団の地点や2014年の化石林の地層(南南東に15度上向いている。)と異なっています。なお、この地層の見えている部分の上半分と下半分の土質が異なっています(上;粘土層、下;砂層)。

 

 2014.7.25. この付近にはあちらこちらに、地層より剥離した40~50cmの大阪層群粘土塊があります。

木片や種子を抱合していることがあります。これは、淡水成粘土塊ですが、独特の細かくひび割れる海成粘土塊のこともあります。

 

 2014.7.30.調査中の森山氏(左)と樽野氏。

河床より70cm高い位置に分布します。奥左側に、金剛大橋がみえます。

 *森山 義博氏: 四天王寺大学 講師、元富田林高校教師

*樽野(たるの) 博幸氏:大阪市立自然史博物館 地史研究室 外来研究員、元大阪市立自然史博物館 学芸課長

 

2014.7.30. 8月 5日の夏休み学習会をひかえ、その直前に新たにゾウ・シカの足跡化石が発見されました。その報告も内容に加えようと、調査中の二人。

 

 2014.8.19.産経新聞 「古代ゾウの足跡化石」発見の記事

現地見学会(同 8.20.) 開催の案内も掲載されました。

 

 2014.8.19. 読売新聞

「ゾウとシカの足跡化石」「推定100万年前 富田林であす見学会」とあります。 

 

 2014.8.20. 石川ゾウ・シカ足跡化石現地見学会

 

2014.8.20. 見学会会場

樽野氏の解説に聞き入る参加者。 3班3回に分けて解説がありました。当日の参加者は約100名でした。

足跡の主であるアケボノゾウの生い立ちのお話があって、 「100万年前に日本で生息していた古代ゾウで体高2mあまり、小型のゾウで今のアフリカゾウ・アジアゾウより小さいこと。今は絶滅してしまっていること。当時の環境に順応して小ぶりに進化したこと。」などを詳しく語られました。

同じくチョキマークの カズサシカについては、 「チョキは中指と薬指であること。シカの仲間は親指が退化して、人差し指と小指が小さく上の方についており、歩行には役立っていない事。今の奈良公園のシカ(ニホンシカ)と大体同じ大きさの小型のシカであるが、直系の先祖ではないこと。」など興味深く語られ、みなさん真剣に聞いておられました。

 

 2014.8.20.現地見学会の会場風景

いよいよ自分の番!順番が来るまで別の日陰のある場所(金剛大橋の下)でおもに森山氏の解説を聞きました。とても暑い日で、解説者も参加者も大変でしたが、みなさん熱心に解説を聞かれ、質問をされていました。

 

 2014.8.20.現地見学会の会場風景

解説は樽野氏と富田林市教育委員会の中辻氏。どちらも解り易い解説で好評でした。

向こうに見えるのは金剛大橋です。川原で子供たちが泳いでいたり、大きな鯉を狙って釣りを楽しむ方もいて、この辺は自然がいっぱいです。この前、ナマズを見ました。昔は鮎もいたんですよ。

この付近には、コチドリ・カルガモ・サギ類・カワセミ・キジもいます。5月初めのコチドリ夫婦の子育て、なかよしカワセミカップル、初夏にカルガモさんの子育て、早朝のキジくんのお散歩、ケリの警戒警報など観察するといろんなことがみえてきます。

 

 2014.8.20. クリーニングされたゾウの足跡化石。説明版のとおり、右足と解ります。前足と後足の歩幅が同じなので、同じところに前足と後足の足跡が着くということです。

 

 2014.8.20. ゾウの足跡化石 直径は約30cm

100万年前、人類がまだここに住んでいなかった頃、アケボノゾウがここにいたという証拠です。 

 

 2014.8.20. ちょっと解りにくいですが、チョキマークです。

この偶蹄目の足跡化石は、樽野氏のお話でもあったように、小型のカズサシカと思われます。

先日の8月10日の増水で水に浸かり、クリーニングしないとわかりにくい状態になっていました。

 

 2014.8.20. 現地学習会(足跡化石)にて

現場に向かう前の基本情報を森山氏が説明しているところ。(右端)その隣、富田林足跡化石と化石林実行委員会の代表 辰 義孝氏です。

 

 2014.8.20.

とても暑い日でしたが、当日100名を超える方が参加されました。前日の産経・読売新聞の掲載も相まって盛況でした。化石林の現地学習会が前日に錦織東二丁目石川河川敷、高橋の下手250mでありました。

 

 

 講演会と現地学習会(化石林・足跡化石)のパンフです。

 

関連記事もみてください。

 2014.9.3. これなんですか?

2014.9.5. みつけたよ~!石川のゾウ・シカ足跡化石

2014.9.8. 石川化石木 A 

2014.9.12 石川化石木 B

2014.9.13.石川化石木 C群

2014.9月16日 ( HN:アブラコウモリH )


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