富田林百景+ 「とんだばやし」とその周辺の魅力を発信!「ええとこ富田林」

大阪の東南部に位置する人口10万ちょっとのごく普通の町、富田林。その魅力を、市民の手で発見していきます。

石川化石林・石川足跡化石 学習会

2014年09月27日 | 石川化石木・足跡化石

 

 石川化石林 足跡化石学習会は、2013.6.5.石川化石林(錦織東2丁目)と2014.7.25.石川足跡化石(新堂地区)の発見に伴い、その報告会として行われました。

富田林市には、100万年前の自然史遺跡が錦織東3丁目から新堂地区まで6カ所に渡り、数多く存在しています。

既存の4遺跡と今回新たに見つかった2か所の遺跡の紹介を含めて 、講演会が行われました。

 

 今回発見された化石林の見取り図

 図の中の調査日は、林の調査によるものです。上の図も含めて、林が作成したもので公的なものではありません。

 

 今回発見された足跡化石の見取り図

林が作成したもので、公的なものではありません。

 

 2014.8.5.13:37 オープン前

2014.8.5.午後2時より すばるホール小ホールで学習会が行われました。

 

2014.8.5.16:03

 隣室でアケボノゾウの骨格標本、牙・臼歯、足跡化石標本で説明をする樽野 博幸氏(元大阪市立自然史博物館学芸課長)

 

 2014.8.5.14:11

発見された100万年前の地層の成り立ちを説明する森山 義博氏 (四天王寺大学 講師)

 

 2014.8.5.14:22

同じく発見されたゾウの足跡化石について説明する樽野 博幸氏

 

 アケボノゾウの骨格標本(頭部)

 

 アケボノゾウの骨格標本(全体)

 富田林教育委員会の中辻 亘氏によれば、100万年前のアケボノゾウがまさに一歩を踏み出そうとした瞬間の骨格標本やそうです。そういや、動きがありますね。

体高2m程度の今のゾウより小さい象ですが、牙は大きく立派です。

 

 2014.8.5.13:16 講演会場の準備をする関係諸氏 

かつて発掘された遺跡の紹介やゾウが闊歩していた自然環境などをパネルで紹介しました。

 

 2014.8.5. 13:21 会場前に準備に忙しい諸氏

 

 2013年6月5日に、初めて発見された化石木の紹介です。

実は発見者は私( 林 保夫、ハンドルネーム:アブラコウモリH)です。当時、水位はもっと高く水面から20cmほど顔を出しているだけでした。直径120cmもある大きな立木の化石木ですが、ほとんど水面下に隠れていたということです。発見された植物化石は5~6個ありますが、当時は2個しか顔を出していませんでした。

 

 講習会の10日あまり前の直前に発見された足跡化石(金剛大橋下流部左岸150m地点)

これも発見者は私で、発見当時の写真です。ゾウやシカの足跡ということがクリーニングしなくてもよくわかると思います。人間がまだここに住み着いていない100万年前の姿がここに現れていると思いますと感動します。

 

 発見当時の足跡化石 

現在は、8月10日の台風11号の増水で表面が洗われ、かなりわかりにくい状態になっています。

「どうやって見つけたの?」よくと聞かれますが、偶然見つかったというのが本音です。 97.5%の偶然と2%の基礎知識(このあたりは100万年前の大阪層群の露頭で、25年前に足跡化石と化石木が発見されていたのを本で知っていた。)と、0.5%の行動力が発見の要因といってよいかもしれません。

さらに言うなら、数年前から金剛大橋下流部の大阪層群の露頭で小さな木片が混じっているのを確認していたのが基礎知識の中にあります。

ここの石川河川敷3.5kmの範囲では、どこでも化石が出てくる可能性がありますので、ひょっとして鳥類の足跡化石や植物化石、さらに動物の骨格が出てくればえらいことになりますので、みなさんも探してみてください。

散歩するなら石川河川敷で、何か落ちていないか下を見て歩きましょう。(^-^)/

 なお、堅くて細かい粘土質のところを中心に歩いてください。*(^^)

 

 展示パネルより

このように新たな化石木をていねいにパネル展示されています。

現在、現地で直接現物を見れるのは、ここだけです。(冒頭の地図を参照してください。)

 

 アケボノゾウ牙 出土現場 

1981年に美山台の工事現場より出土しました。

 

 100万年前の環境

1992年の錦織東1丁目 深溝(ふこうど)井堰下流部の「石川化石発掘調査団」の発掘成果より、作成されたアケボノゾウ生息当時の自然環境を表現しています。

金剛山はまだあまり高くなく、針葉樹と広葉樹が混じる森林の中で、ゾウやシカ、鳥類が生息していました。気候は「温暖」な時代と「冷涼」な時代があります。

 

 アケボノゾウの実物大の展示

 かつて、富田林市立喜志小学校6年生 99人で造り上げた実物大のアケボノゾウ

全体像と骨格が2重写しになっていて、精密に作られています。

 

 2014.8.05.14:18 公演中の森山氏

この時はまだ、ニュース・新聞で報道されていなかったので、まだ知名度低く、参加者は50名程度でした。

 

 大阪層群の地層の中に、火山灰の堆積した層が見られます。ピンク火山灰層は100万年前に堆積した火山灰層(文字通り淡いピンク色をしている。)で、その層の近くで25年前に足跡化石が見つかっています。また、今回化石木が発見された場所も、25年前の発見の場所に近く100万年前と考えられます。 

 

 2014.8.5. 14:29 ゾウの進化を解説するスライド

日本にもかつて8種類のゾウがいました。(500万年~2万年前) しかし、すべて絶滅しています。

 

 ゾウの系統図

多くのゾウは2万年前に絶滅しました。ちょうどヒトの生活圏が拡がる時期と一致します。大阪府でいうと、羽曳野市のサヌカイト石器工房跡である翠鳥園遺跡、藤井寺市では国府遺跡など、ヒトに関係する文化の芽生えが感じられる時代です。

人が食べたのかあるいは追いやったのか、環境の変化によって絶滅したのかはよく解りませんが、ヒトが影響しているのは確かみたいです。

たとえば、シベリアやヨーロッパの後期旧石器時代(4~1万年前)の遺跡からは、マンモスの骨や牙がたくさん見つかっており、 骨・牙で作った装飾品や骨で作った家の跡まで確認されています。 この時代の人はマンモス・ハンターとも呼ばれていました。

この時代にナウマンゾウが絶滅しています。また北海道に生息していたマンモス(11点化石が北海道で発見されている。ケナガマンモスという種類)もこの時期に絶滅しています。「はじめ人間 ギャートルズ」の時代です。

2万年前というのは、人にとっても、ゾウにとっても転換期であったのでしょう。

 

 牙の前で説明する樽野氏

今回の講演で、ゾウの系統や進化について詳しい解説をされた樽野氏。現在も大阪市立自然史博物館の地史研究室 外来研究員として活動されています。今回の講演も解り易い説明で好評でした。

樽野氏・森山氏の両氏は25年前の富田林高校の理化部の生徒さんが最初に発見した「石川化石発掘調査団」の発掘にも活躍されています。

 

アケボノゾウの牙の標本(レプリカ)

こんな大きな牙が1981年美山台のマンション建設現場から見つかりました。100万年前の富田林市の自然史遺跡の魁となったトピックスでした。その後今回まで、5つの自然史遺跡が見つかっています。

周りの市町村にはないオンリーワンの貴重な自然史遺跡と言えます。先に発見された4つの遺跡は現在埋め戻されたりしていて市民には見ることはできません。今回の化石林・足跡化石は、現在そのままの状態で見ることができます。いつまで見ることができるかわかりませんが、そういう意味では貴重な遺跡であると言えますね。

昨年・今年と台風に絡む2度の大増水で遺跡もかなり劣化しておりますので、今の機会のぜひ現地見学をお勧めします。現在、見るにあたっての現地での制限はありません。

 

 アケボノゾウの足の骨格

前足は5本あるみたいですね。親指の付き方から右足か左足かが解ります。足裏はべた足で、人間でいえば偏平足のような足跡になります。

 

 2014.8.5.16:01 足跡化石の標本を見せる樽野氏

 足跡化石の標本で、アケボノゾウの足跡を説明する樽野氏。

前足と後足の歩幅が同じなので、足跡化石も前足の足跡の上に、後足の足跡が残ります。

 

 2014.8.5.16:04 アケボノゾウの骨格標本の前で

 アケボノゾウは大陸と日本列島が陸続きの時にやって来て、日本で進化したゾウです。日本での進化で小型化したようで体高2m程度ですので、今のアフリカゾウ・アジアゾウのほうがずっと大きい。

でも、牙は大きいです。すばるホールの骨格標本のように牙がとても目立ちます。進化過程で、牙がそのままで体が小さくなったか、あるいは牙が大きくなるような進化をしたのかはわかりませんが、興味をそそるところですね。

 

よかったら、関連ブログも見てくださいね。

 石川化石木・足跡化石 (10)

2014.9月27日 ( HN:アブラコウモリH )

 


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