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石川足跡化石 調査

2014年11月06日 | 石川化石木・足跡化石

 <地図をクリックすると画像が大きくなります。>

 

【2014年10月10日の調査】 オ-3ポイント

 2014.10.10 13:13 石川右岸のオ-3ポイント

10月に2度、たて続けに台風が上陸しましたが、18号の時に、ここオ-3ポイントが流れに洗われたようです。

 

 2014.10.10. 30cm前後のゾウの足跡化石らしい跡。

 

 2014.10.10. ここも同じような痕跡がありますが、調査しないとわかりません。

 

 2014.10.10. 法面が川の浸食で崩れています。表面の粘土層は硬いのですが、その下の層が粗い砂が混じっていて、浸食を受けやすくなっています。 

 

 2014.10.10. 横から見ると、こんな感じになります。表面は青緑色の酸化第一鉄(FeO)の含まれる還元鉄型粘土層、20cmほどの下部は赤茶色の酸化第二鉄(Fe2O3)の含まれる酸化鉄型粘土層で粗い砂が混じっています。

 

2014.10.10. 足跡化石と思われる断面を少し削ってみたところ。白い部分がゾウが踏んでへこんだ部分に、後に土砂が流入したと思われます。上部はすでに浸食されているようです。 

 

 2014.10.10. オ-3地点の足跡化石 クリーニング作業

足跡化石の中に埋まっている砂を取り除く作業を「クリーニング作業」と言っています。地層表面(露頭)に30cm位の円形の痕跡があると、足跡化石かポットホール(甌穴)かが想定されます。その全体的な並び具合で、ある程度どちらであるかは想定できるのですが、確定はできません。

よって、長鼻目の足跡化石は、クリーニングして、蹄の跡を確認し、立体的に見て着地痕・支持痕・離脱痕が解ればほぼ確定的となります。外観だけでは「足跡らしい」ということまでしか確認できません。単なる穴だけでは甌穴なのか長鼻目足跡化石なのか解らないのです。

そこで、痕跡のなかで、確認しやすそうなものからクリーニング作業をすることになります。あわせて、測量・現場写真・ビニールスケッチも行います。

 この調査については富田林教育委員会と連絡をとり、富田林の石川化石林・足跡化石実行委員会のメンバーがその保全と調査をしています。

メンバーは25年前の1989年8月富田林高校理化部の生徒による最初の発見とその後の本格的な3年間にわたる富田林市石川化石発掘調査団による錦織東一丁目の深溝(ふこうど)井堰下の調査に携わった森山氏(写真右)と樽野氏(左)を中心に活動しています。

 

 2014.10.10. オ-3地点 クリーニングした足跡化石 

離脱痕がわかります。

 

 2014.10.10. オ-3地点 クリーニングした足跡化石 

 離脱痕と蹄の跡のような痕跡(右斜め上が進行方向)

 

 2014.10.10. オ-3地点 足跡化石の可能性

すこし色の濃いところが境界です。基盤の灰色の粘土層の中に、赤茶系を含むすこし質の違った粘土が入っています。100万年経過し、上部が浸食されていることもあるのでなかなか判定はむつかしいです。 

 

 2014.10.10. オ-3地点 クリーニングした足跡化石 

蹄跡や離脱痕がうまく出ませんでした。

 

 2014.10.10. 浸食された地層の法面

地層の法面が川の流れにより崩れ、ちょうど足跡化石の断面と思われる箇所が確認できます。黄色い砂が入りこんでいるのがわかると思います。

 

【2014年10月10日の調査】 オ-2ポイント

 2014.10.10.オ-2ポイント

長鼻目の足跡化石と思われます。10月6日の台風18号の時の増水で水に浸かりすっかり堆積していた砂が取り除かれた状態です。

 

 2014.10.10.オ-2ポイント

オ-2ポイントから、下流(東北東)部を写す。

 

 2014.10.10.オ-2ポイント

 偶蹄目の足跡化石と思われます。

 

 2014.10.10.オ-2ポイント

 長鼻目(ゾウ)の足跡化石と思われます。離脱痕がわかると思います。自然の浸食でこのようになりました。

 

 2014.10.10.オ-2ポイント

かなり密度の濃い足跡化石です。 ひょっとすると一匹のゾウが歩いた跡が含まれているかもしれません。

 

 2014.10.10.オ-2ポイント

これは以前河床の工事に入った重機のショベルの爪の痕です。

 

 2014.10.10.オ-2ポイント

 測量しているのは森山氏。上流(西南西)部の金剛大橋と下天溝井堰が見えます。

オ-2ポイントの一番化石の密度が高い場所です。

 

【2014年10月10日の調査】 オ-1ポイント

2014.10.10. オ-1ポイント

重機のショベルの爪跡です。化石漣痕のようにもみえますが、爪跡が2つの地層をまたいでいるので、違うようです。

 

 2014.10.10. オ-1ポイント 同じく偶蹄目と思われる足跡化石

 

 2014.10.10. オ-1ポイント 偶蹄目と思われる足跡化石

 

2014.10.10. オ-1ポイント

 足跡化石を含む地層が川の浸食作用により、法面が崩されています。

 

 【2014年10月17日の調査】 オ-3ポイント

2014年10月17日の調査 オ-3ポイント

今回はビニールスケッチを森山氏と樽野氏が行いました。

 

 2014年10月17日の調査 オ-3ポイント

 ビニールスケッチは足跡化石の上に透明のビニールシートをかぶせて、それを写し取ろうとするものです。実測の測量図ですね。

乾燥しているようでも、日射が強いと地表から水蒸気が出て結露し、ビニールシートが曇りうまく写し取れないので、地表に接する裏面に、曇り止めスプレーをかけます。

写し取ることにより、足跡化石を配置でゾウがどの方向に歩いて行ったかがわかることもあります。

 

 2014年10月17日の調査 オ-3ポイント 足跡化石の一部をクリーニングしたところ

遺跡全体はこんな感じです。露頭部分は狭いですが、南側(手前)の砂が堆積している部分の下に大阪層群が連続し、足跡化石がある可能性が大きいと思われます。

 

 2014年10月17日の調査 オ-3ポイント クリーニング途中の足跡化石

離脱痕がはっきりしています。酸化鉄の赤茶色の砂が入りこんでいるので比較的解り易い。

 

 2014年10月17日の調査 オ-3ポイント

大阪層群の法面がその下部の粗い砂質の浸食により崩れ、露頭の足跡化石部分が沈んでいるようです。(矢印)

きちんと調査しないと確定はできませんが。

 

【2014年10月17日の調査 】オ-1ポイント

 2014.10.17.オ-1ポイント

 また増水で遺跡が劣化するといけないので、クリーニングした足跡化石を一旦樹脂で固定しているところ。

 

 2014.10.17.オ-1ポイント

 この足跡化石も樹脂で固定しました。

 

 2014.10.17.オ-1ポイント

かなり深いですね。左方向に進んだようです。

 

 2014.10.17.オ-1ポイント

上と同じ足跡化石 別の方向から写しました。

 

 

 2014.10.17.オ-1ポイント 上と同じ足跡化石 別の方向から写しました。

蹄跡らしい痕跡もあります。

 

  

 2014.10.17.オ-1ポイント 上と同じ足跡化石

この地点は他より標高が高く台風にによる増水にも無事でした。

 

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石川化石木・足跡化石 (13)

2014.11月10日 (HN:アブラコウモリH )

 


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