アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

経団連のせいにせずにペンギンのDVDを

2009年10月28日 | Weblog
 
 毎晩のように、DVDを観る。GEOとTSUTAYAで競争して値下げ合戦。現在どちらも旧作7泊8日で、100円。ついでに、新作も100円にしてくれると、褒めてあげるのに。

 アクションばかり観ているんだろうって?イエイエ、高尚かつ勉強になるものばかり観ています。で、以前にも観て感動したDVDをまた借りてきて、しっかり復習し、感動させていただきました。
 何というタイトルのDVDか?ドキュメンタリー映画「皇帝ペンギン」です。「変だ」って?確かに、一生懸命メモをとりながら皇帝ペンギンを観ている61歳のオヤジの姿は異様かも。メモをとるのはすっかりクセになってしまって、映画館の暗がりでも、メモをとりますから。

 ドキュメンタリー映画「皇帝ペンギン」は、日本国民なら観なければなりません。理由は、日本人が忘れようとしているものを思い出させてくれるからです。だれが思い出させてくれるかって?皇帝ペンギンがです!

 一口に言うと、「愛」です。「親子愛」「夫婦愛」「家族愛」「仲間との血の結束(これも愛)」「種の保存」
 
 南極大陸に住む皇帝ペンギンは、初冬のある日海から上がり、大陸内部へ向かって行進を開始する。申し合わせなどあるはずもないのに、行進の列はどんどんふくらみ数万羽の大行進となる。どうしてそのようなことが出来るのか?月と星と磁気で行進開始日時が分かり、目的地までの経路も分かるのだという。これについては、日本人が分からなくてもいいです。

 食料などあるはずもない。雪を食べて水分補給しながら、氷雪の中を歩くこと2か月ほどで目的地に到着。日本人もマネしよう!などとは言いません。
 ここで言いたいのは、日本人は空腹経験がないから我慢できないだろうなあ…です。ビュッフェスタイルの食事で、皿にとった料理をぐちゃぐちゃにして放置する輩。寿司のネタだけ食べる輩。飽食、食に対する無礼者。こういう人たちに、「皇帝ペンギンは…」などと言おうものなら、「シッシッ、あっちへ行け。貧乏人」と、追い払われるんでしょうねえ。

 皇帝ペンギンは、内陸の「その場所」で伴侶を見つけ産卵する。産卵の後メスは、食料を求め再び海へ向かって行進をはじめる。メスが戻ってくるまでの4か月間、オスが卵を守る。その間もちろん食料なし。断食と言おうか絶食と言おうか…。両足の上に卵を載せ、抱卵嚢(ほうらんのう)と呼ばれる足の甲まで垂れ下がった下腹部の皮の部分で覆い隠す。そのままだと卵が転げ落ち、瞬間冷凍で死んでしまう。そのため、つま先を上げて、転がり落ちるのを防いでいる。歩行の際は、かかとで歩くこととなる。親子愛です。タツノオトシゴの父親とも似てますね。日本の父親…少しではありますが、育児する人が出現しはじめたようです(是非はともかくです)。最近の日本の大臣は、日本の殺人の過半数を占める尊属殺人は、経団連が悪いからだと…。頭のいい人の思考にはついて行けませんなあ。

 そして本格的な冬の到来。オスたちは、誰言うとなく一塊の群れになる。群れの中は温かい。しかしBUT!群れの外側のペンギンたちは極寒にさらされている。ここで驚異の世界が繰り広げられるのです。巨大な群れが少しずつ移動し、外側にいたペンギンを群れの中へ入れる。中で暖まったペンギンは外側へ行く。ローティーションが行われるのです。「自分さえ良ければいい」というペンギンさんはいない。これです。私が最も感動する行為!「共存共栄」とか「共生」とか、軽々しく平気で並べ立てる人もおります。軽々しく遣う言葉ではないですよ。皇帝ペンギンの許可を得てから遣ってほしい。

 海へ餌を捕りに行ったメスは、アザラシなどの餌食になることがある。皇帝ペンギンのメスを殺したアザラシは、同時に2つの命を奪ったことになる。一つは、そのメスペンギン。もう一つは、メスが持ち帰る餌をまっている孵化したヒナ。アザラシだって生きなければならないので、悪者ということにはなりません。

 誕生したヒナが餓死する前にメスが戻ってくるかどうか…。極限まで頑張っていたオスは、餌を求めて海へ行かなければ自分が死ぬ。
 メスの帰りが遅いと、ヒナとオスの両方が餓死する。その不幸を回避するためオスは、ヒナを放棄して海への行進をはじめる…。ここは、ロミオとジュリエットのフィナーレの要素と、トロッコ問題の要素が…。この部分だけでも、「道徳の時間の道徳」で使えます。

 再会できた夫婦のオスとメス。歩き始めたヒナ。ここで別れの時がきます。夫婦は、夫婦関係を解消します。それが、「はい、どーも!サヨウナラー」ではありません。死ぬか生きるかの行進をそれぞれ三度行った。お互いを労い(ねぎら-い:「労を労う」では、「馬から落馬する」と同じ)、生きてこの日を迎える幸運を喜び、ヒナを育てた達成感を分かち合う。ヒナも親と別れ、海を目指します。そして四年後成鳥になり、行進して結婚して…。

 「種の保存本能だべ」だけで済ましては、あまりにも皇帝ペンギンに申し訳ない。日本人としては、「学んで、生活化」しなければ。