アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

不合格者だって独裁政権を執れる 勉強すれば…

2013年02月15日 | Weblog
 ここしばらくは、合格した喜びと不合格の悲しみが日本中で交錯します。生まれてこの方、不合格続きという人はまずいないでしょう。誰しもが一度や二度は、合格の喜びがあったはず。赤ちゃんはどうなんだって?あ、赤ちゃんは…この世に出ることに合格した喜びがあるじゃないですか!本人の記憶にはないでしょうけどね。

 合格したときは、天下を取ったような気持ちになる。古代中国の四大「会心事」の一つにも掲げられています。
 1 長い日照りの後の湿り雨
 2 遠い異国で旧知に会ったとき
 3 新婚が部屋で差し向かいになったとき
 4 進士に見事及第したとき
 進士への及第というのは、科挙に合格したということ。「蒼穹の昴(浅田次郎)」に詳しいが、科挙は、すさまじいまでの努力をしても合格するのは至難の業だったという。「艱難汝を玉にす(かんなんなんじをぎょくにす)」玉になってしまえば、もう怖いものなし。生死をかけて勉強したわけ。

 今の日本の若者に、「生死をかけて勉強しなさい」と、言ったらどんな反応をするだろうか?寝食を惜しんで勉強するのは、せいぜい1%…?「艱難汝を玉にす」と、諭したら、「玉(タマ)になんかなりたくない!」と、おっしゃる方が99%かと。
 「蛍の光窓の雪」などと言おうものなら、「ありえへんやろ!」と、たしなめられそう。

 科挙に挑んだ若者達以上に勉強したと思われる人が…あの悪名高き、アドルフ・ヒトラー。ヒトラーに興味のある人は、「中等学校さえも、出ていない。ウィーン美術アカデミーの入試も、2度挑戦して2度不合格。そのヒトラーの、どこが、科挙試験以上に勉強したというのか!」となるでしょう。

 ヒトラーは、 放浪生活→ドイツ帝国の兵隊→政界進出→独裁政権という生涯をたどったのですが、大きな問題を抱えておりました。それは、中等学校も満足に卒業していない…つまり、知識に欠けていた。特に、独裁者になってからは、権力維持=勉強(読書)だった。そこで、毎晩1~2冊の本を読むことを自身に義務づけ、実践したという。その蔵書、およそ1万6千冊!
 ヒトラーは、「何に合格したか?」。「ドイツ国家社会主義労働者党(NSDAP、早い話が、ナチス)」の指導者になったのが合格でしょうか?

 (不合格の若者に)「スマホをいじくっていないで、勉強しなさい。ヒトラーは、毎晩1~2冊の本を読んだんだよ」と、言ったら…嘲笑されますかねえ。
 嘲笑されたら言ってやりたい。「だから、不合格なんだぁーっ!」
 えっ?ヒトラー自体を知らないんじゃないかって?

 ヒトラーに学ぶべきこととして、ウィーン美術アカデミー(中等学校を卒業していなくても受験できた)に不合格だったが、結果的に独裁者へまで登りつめたというところ。独裁者を目指せということではもちろんなく、一度や二度の不合格に落胆することはない。別の世界が広がるよということ。もちろん、必死で勉強しての話ですがね。
 
 そして、今日も、合否の悲喜こもごもが日本中で…。