アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

日本の学力…北欧を越えたが油断せずに

2014年01月09日 | Weblog
 PISAの読解力の国別順位(平均得点)の推移は・・・
 順位の順番は、2003年-2006年-2009年-2012年の順です。
 フィンランド 1位-2位-3位-6位(524点)…アララ!
 スウェーデン 8位-10位-19位-36位(483点)…ドッヒャー!
 日    本 14位-15位-8位-4位(538点)…いいんじゃないの!

 フィンランドが落ちてきています。スウェーデンは、8位だったのが落ちて落ちて36位。点数も、OECDの平均点以下でした。どうしちゃったの?
 一方日本は、2003年に、14位という屈辱的な順位。2006年には、さらに下がって15位。ここから何かが起きて上昇に転じ、2012年には4位。

 なぜ北欧勢が凋落傾向にあるのか?特に教育先進国と讃えられていたスウェーデンで何が起こったのか?また、日本では2007年以降何が起こったのか?

 まず、北欧諸国は、国家の教育予算を削減しています。どんな削減の仕方をしているかというと、「教育の地方分権化」と「フリースクール改革」という方法です。
 「教育の地方分権化」は、教育への国家の関与を薄め、地域と学校の裁量権を拡大する。「教育は、地域と学校でやりなさい。このことこそが個性重視の国家でしょ!その代わり予算はあまり付けられないから、そこんとこよろしく」。
 「フリースクール改革」というのは、民間も参入しての学校選択制(フリースクール)を積極的に導入した。こうすると、国家予算を教育にまわすのを抑えられます。

 で、その結果…裕福な自治体もあれば、貧乏自治体もある。自治体によって予算も政策も異なるため、学力の地域間格差や学校間格差が急速に拡大した。この、教育環境の悪化は、早期に対処しなければならないのに、「お金」が回らないからどうすることもできなかった。…当然、学力は下がる一方…。

 あと、仇になったのが、「移民政策」。「ゆりかごから墓場まで」高福祉国家のスウェーデンは、高齢化による労働力不足を補うため、積極的に移民を受け入れてきました。現在、スウェーデンに住む外国生まれの人の割合は、15%前後を占めるという。当然スウェーデン語を話せない。親が話せないから、子どもも話せない。学校内にスウェーデン語が話せない児童生徒が増加。こ、これじゃあ、「読解力」の調査の点数が上がるはずがない。10年前に8位だったのが36位に落ちるのは当然ということになります。
 結論としまして、スウェーデンの学力低下の根底にあるのは、「予算」と「高齢化」ということになります。

 なぜ日本が得点を上げてきたか?
 「学力が急激に低下したため脱ゆとり路線に方針転換した。そうしていなければ、学力低下に歯止めがかからなかっただろう」
 この主張、悔しいが半分は認めなければなりません。なぜ悔しいかって?「学力低下の犯人=ゆとり教育」ではないと思っているものですから。だったら、本当はどうだと思っているかといいますと…
 日本が得点を上げてきたのは、「学校と家庭が、危機感を持ったから」です。「日本の学力は世界一」と、油断していた所へ、14位、15位という氷入りの冷水を風呂桶ごとかけられた。だから、「ゆとり」で学力が落ちたから危機感を持ったんでしょうって?だ・か・らぁ…ゆとりが悪者じゃないって!

 誰かを悪者にしたいんですよ。そうして結束を固める…。「ゆとり」を悪者にすれば、現場の教育関係者に火の粉が降り掛からない。そうして自分たちを安全圏に入れて、学力向上に乗り出した。だから学力が上がったのです。PISAの学力テストがなければ、知らぬが仏のおの大将のままでしたね。もっとも、このOECDのテストの前から本気で一生懸命学力アップに努力していた学校もたくさんあります。
 家庭は、危機感を持って子どもを学習塾に通わせた。当然学力は上がります。今や、赤ちゃんだって「しまじろう」で、お勉強していますから。
 
 10数年前までの日本の学力停滞の真犯人は、「ゆとり」ではありません。「偏差値なんてとんでもない」「競争はおそろしいもの」「頭でっかちの人間をつくるな」…などなどと言って「学力をつけることをおろそかにしてきた一部の教育関係者」こそが、真犯人だったのです。偏差値を、「競争させて勉強させ、いい点をとらせること」という、とんでもない誤解をしている輩。今でもいるんじゃないか?偏差値を上げることは、いじめをなくすこととも密接に繋がっているというのに。

 北欧…民度が高いです。貧相な東洋人をどうやっておもてなししようかと、満面の笑みで迎えてくれます。みんな優しい。ただ…予算不足と高齢化…。