おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

遊藝黒白 第4巻 #3「静寂の中に、音楽があふれる」

2019年11月15日 | 書籍紹介
ピアニストたちの言葉をいくつか。

伝統や楽派について

メルニコフ
「伝統や楽派があるかと問われたら『ない』と答えます。自分がこの楽派を代表している人物だと標榜している人ほど、その楽派について何もわかっていないものです。伝統や楽派は絶え間なく変化していて、明確に定義するのは難しいのです。自ら標榜したり、それについて語ったりするのはやめた方がいいと思います」

アヴデーエワ
「誰がどの楽派を代表するとか、真の継承者は誰かなどと言うのは時代遅れですし、危険なことだと思うのですが、ルプーの音色、表現を聴いていると彼こそロシア・ピアニズムのネイガウス派の継承者だと感じます。」

多くのピアニストが楽派は既に存在しないと話しています。ツィメルマンはそんな分類に意味があるのかと。
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音色について

コンスタンチン・シチェルバコフ
「音色は聴覚と関係があります。音色の色彩を聴き分ける耳を持っていれば色彩感のある音色で弾くことができるでしょう。こういう音が出したいという気持ちがあれば、イメージした音色を出すことができるでしょう。逆に頭の中に何もなければどうしようもありません」

比べてはいけませんが、そして自分もどれだけのもんだと思いますが、音色がわからない生徒は必ずいます。1年7カ月かかって本当にあきらめた生徒がいます。
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テクニックについて

横山幸雄
「私は基本的に鍵盤にぶら下がっているという感覚で弾いています。脱力して重力を自然に使い、音楽とともに呼吸しもっとも無駄のない動きで、手を移動させたり、ジャンプしたり、回転させる。無駄なエネルギーを使わず、自分の頭の中にある音楽をより的確に表現できるのがよいテクニックだと思います。」

生意気ですが、心強い言葉です。レッスンでよくぶら下がる感じと私も表現しているので。ただこの感覚がなかなか伝わらないのです。力を抜くことを知らなければわからないと思います。力を抜きすぎても弾けません、指先の支えと腕を持ち上げる力まで抜かれるとどう対処して良いかわからなくなります。
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コンクールを受ける子供たちについて

小山実稚恵
「難しいテクニックを必要とする作品を無理やり練習しているように感じ、心配になることがあります。もちろん才能のある子は弾けるようになるでしょう。でも、心と身体のバランスを考えなければ続かない気がするのです。他人より何年か早く弾けるようになることに、いったい何の意味があるのかと思います。音楽は一生をかけて追及するものです。やはりその人の人生と共に発展していくものだと思うのです。長い目で子供たちの成長を見守ってほしいなと思います」

この言葉、多くのかたに知っていただきたいです。

久し振りに、本というものは多くのことを学ぶことができて良いものだと思いました。


コメント
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