デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



『ヨゼフとその兄弟たち』の「ヤコブの物語」まで読了。ヤコブの若い頃から彼の正妻の第二子ベニヤミンが誕生するまでの因果応報のエピソードの「実態」を、豊かな想像力でもって描き出している物語である。
長子権を大いなる茶番劇で詐取し、狡猾なぺてんにかけられ長い繋縛にあえぎ、自分の神に対し自家撞着を犯し、過去の苦渋から得た教訓により湧いて出たはずの良心がうずいても息子たちの手による殺戮・強奪を黙認し、神の祝福を守るためならばプライドを投げ捨ててお追従・阿諛を駆使するのをいとわず、瞞着と気づきつつもそれが「神のために賢明に立回ったこと」としてほくそ笑み、偏愛が不幸をもたらすことを自覚しつつもそれに悖った子育てを行なうという不遜ですらある精神の威力のまま、一族を牽引していくヤコブ。
こんなにひどいことばかりが描かれているにもかかわらず、とても面白く、目頭も熱くさせる本当に不思議な物語だ。
次回から「若きヨゼフ」だが、「ヤコブの物語」でも既にレアの息子たちがヨゼフに対して抱いている嫉妬について触れられている。ヨゼフの高慢で自惚れた性格によって、彼らの嫉妬心が臨界に達するのは今しばらくかかるが、それまでの過程を丁寧に読んでいきたい。

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