
私が初めてオカリナに出会ったのは高校生の時。同級生で仲良くしていたFちゃんが「オカリナを買おう」と誘ってくれたことでした。今はもう無い小さな楽器店のガラスケースの中に、他の楽器と並んで緑色と粘土色のオカリナが二つ、お小遣いで買える値段でした。緑色のがほしかったけれど、Fちゃんもそんな感じだったので誘ってくれた彼女に譲りました。C管で穴が大きく、私の指では余裕がなかったけれど、なんともいえない土の素朴な音色に満足でした。
卒業後、私は大手総合商社に就職し、なかなか慣れない環境の中で仕事を覚え、こなしていくクタクタの毎日で、札幌の短大へ進学したFちゃんから4月にバースデイカードが届いても、返事を書こうと思いながら、延ばし延ばしになり、ついには夏休みに帰省したら、会えるからいいかという気持ちになっていました。
ところが7月に入って突然の訃報。卒業以来の再会、18歳のFちゃんは棺の中でした。綺麗にお化粧された、その口紅の鮮やかだったこと… ずっと後になって、急性白血病だったと聞かされました。
何十年の時を経て、音楽会やホスピスで今、私の拙いオカリナ演奏が活かされています。
私がオカリナを吹くとき、Fちゃんが側に来て応援しているような気がします。
写真は現在使っているF管で私の小さい手には丁度良く、音色がとても良い。
本当に良い。(焼き物なので、一つ一つ音色や吹き心地が違うのです)
フルートは故障しても直せるけれど、オカリナは割れたらおしまい、私の宝物。