以前に鳴き方の下手なうぐいすも、「蓼食う虫も好き好き」で彼女が出来るだろうと書きましたが、それは人間界の話で、自然界ではとても厳しいようです。(人間で良かったですね~)
うぐいす
某金融機関が出している今月号の小冊子に同表題で掲載されていました。
ちょっと笑えましたので、そのまま載せます。
相手がいないと、鳴き方が散漫になるくだりなどは決して鳥頭でないことがうかがえます。
池内 了(天体物理学、宇宙論)
オスの鳥が美しい声で鳴くのは、何も美声を自慢しているわけではありません。伴侶(メス)の気を惹くため、自分の縄張りを宣言するため、そしてつがいが互いにコミュニケーションをとるため、などが主な目的です。それぞれの目的に応じて特有の旋律やリズムを使い分けているのだと思われます。
うぐいすが鳴き始めの頃は実にへたくそであったのに、やがて上手にさえずるようになったことに気づかれたことはありませんか?普通、幼鳥は生後25日から50日の間に父親の歌を記憶し、30日頃から父親の真似をして自分で歌い始め、70日くらいになると巧く歌えるようになるそうです。だから、まだ上手に歌えない鳥は生後30日から70日くらいしか経っていないことがわかります。
もし父鳥と早く死に別れたり、むりやり父鳥から隔離してしまうと、幼鳥は歌を覚えなかったり、覚えても巧く修正できず下手なままで終わってしまいます。そんな鳥は伴侶がみつからない(メスが魅力を感じてくれない)ので子孫が残せません。つまり、美しく鳴ける鳥だけが子孫を残すのです。鳥の間の自然淘汰も厳しいと言えるでしょう。
おもしろい実験があります。鳥が歌っているときの発声や歌の制御を司る脳中枢の神経細胞の働きを調べてみたのです。すると、さえずるときには神経細胞の電位が上がって微かに発火するのですが、オスが一羽のときとメスを目の前にしたときでは発火の数が異なっていました。
メスと向かい合うと、周りのことは眼中に入らなくなって愛の歌に集中し、きちんとした歌を同じパターンで歌おうとするためか、発火の回数が少なくなります。オスはメスの前では緊張して端正に歌おうと努めているのでしょう。ところが、一羽だけいるときは、周囲に気が散り、いい加減に歌っているためか、発火の数が2倍にも増えるのです。快感に関わるドーパミンの放出に関連する神経細胞の活動も異なっているそうです。
鳴き声を聞いているだけでは私たちには区別がつきませんが、鳥の脳は緊張したり弛緩したりしており、微妙な歌声の変化になっているのかもしれません。
鳥もやはり異性を前にすると緊張すると聞くと、なんだかホッとします。お見合いの席で緊張しっぱなしであった若い頃の自分が思い出されるからです。
今日から三月、昨夕帰宅時の風に春の近さを感じました。
テンプレートも「冬のこたつ猫」から元の「桜くるり」へ戻します。
写真は「うぐいす」ならぬ「うぐいす餅」…