1988年
ベンチを出る上田監督が「立派なもんや、山内は」と最大限のほめことば。そのときルーキー山内(近大出)は、十年選手のような風格を漂わせて同僚とがっちり握手。Bクラスに低迷する阪急に残された役割は上位チームを食ってリーグをおもしろくすることしかなく、その意味で新ストッパーの存在は大きい。ピンチはいきなりきた。八回、辻にカーブを中前安打されて無死一塁。「セーフティーバントをされそうなので変化球から入ったが、真ん中へ行った」そうだ。二死二塁までもっていったが、仕留めたと思った秋山の三ゴロが悪送球で一、三塁に。ここで清原。差は1点。最大の見せ場だった。度胸満点だった。「フォーク狙いはわかっていたが、打てるものなら打ってみろと思って」初球、その沈む球を低めに投げると、予想通り手を出してくれて遊ゴロに料理した。「えっ、セーブでなくて勝ち投手ですって」とすっとんきょうな声。とぼけたわけではなく、本当にセーブと思っていたらしい。「どっちかといえば、セーブのほうがいいな」とまた笑わせる。上田監督は「あいつの心臓は特別もんやで」
ベンチを出る上田監督が「立派なもんや、山内は」と最大限のほめことば。そのときルーキー山内(近大出)は、十年選手のような風格を漂わせて同僚とがっちり握手。Bクラスに低迷する阪急に残された役割は上位チームを食ってリーグをおもしろくすることしかなく、その意味で新ストッパーの存在は大きい。ピンチはいきなりきた。八回、辻にカーブを中前安打されて無死一塁。「セーフティーバントをされそうなので変化球から入ったが、真ん中へ行った」そうだ。二死二塁までもっていったが、仕留めたと思った秋山の三ゴロが悪送球で一、三塁に。ここで清原。差は1点。最大の見せ場だった。度胸満点だった。「フォーク狙いはわかっていたが、打てるものなら打ってみろと思って」初球、その沈む球を低めに投げると、予想通り手を出してくれて遊ゴロに料理した。「えっ、セーブでなくて勝ち投手ですって」とすっとんきょうな声。とぼけたわけではなく、本当にセーブと思っていたらしい。「どっちかといえば、セーブのほうがいいな」とまた笑わせる。上田監督は「あいつの心臓は特別もんやで」