1969年
一塁ベース上で、ウイニングボールを手にした藤原は、両手を上げ大きくはねた。巨人の最終打者森永の打球は、一塁ロバーツからベースカバーの藤原へ。全身で現わす若々しい勝利の喜びー。別所監督の巨体が、その若いヒーローめがけてすっ飛んでいく。ムリもない。大敵巨人を相手のプロ入り初勝利。しかも新人で開幕ゲームに勝ち星をあげたのは三十六年の大崎(大洋)いらい、実に八年ぶりだ。「コントロールがよかった。真っすぐがいま一つだったので、カーブとスライダーを多く使いました。やはり緊張しましたが、勝ててほんとうにうれしい」-。藤原はまったく物おじせず真っ向からON以下の強打者に立ち向かった。圧巻は1点リードの八回裏、無死内野安打の土井を一塁に置いて、王を「スライダー」(藤原)で右飛、長島を「カーブ」で併殺打に打ち取ったピッチング。「予定のリリーフは石岡だったが、藤原の度胸を買った。巨人で通用したのだから、あとはどこでもOKだ」と別所監督は言う。期待を物語るように同監督の選んだ藤原の背番号は、故沢村栄治投手(巨人)と同じ14である。
一塁ベース上で、ウイニングボールを手にした藤原は、両手を上げ大きくはねた。巨人の最終打者森永の打球は、一塁ロバーツからベースカバーの藤原へ。全身で現わす若々しい勝利の喜びー。別所監督の巨体が、その若いヒーローめがけてすっ飛んでいく。ムリもない。大敵巨人を相手のプロ入り初勝利。しかも新人で開幕ゲームに勝ち星をあげたのは三十六年の大崎(大洋)いらい、実に八年ぶりだ。「コントロールがよかった。真っすぐがいま一つだったので、カーブとスライダーを多く使いました。やはり緊張しましたが、勝ててほんとうにうれしい」-。藤原はまったく物おじせず真っ向からON以下の強打者に立ち向かった。圧巻は1点リードの八回裏、無死内野安打の土井を一塁に置いて、王を「スライダー」(藤原)で右飛、長島を「カーブ」で併殺打に打ち取ったピッチング。「予定のリリーフは石岡だったが、藤原の度胸を買った。巨人で通用したのだから、あとはどこでもOKだ」と別所監督は言う。期待を物語るように同監督の選んだ藤原の背番号は、故沢村栄治投手(巨人)と同じ14である。