プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

大羽進・山本一義

2016-09-19 09:26:30 | 日記
1965年

「どうしてなんだろう。いつも聞かれることなんだけど・・・」巨人に強い理由を聞かれて大羽は首をかしげた。「巨人だから勝てるとか、投げやすいとか、少しも思ったことがない。一時一時息を抜かないで投げているだけなんだ」困ったような表情をした。納得できないような顔をする報道陣をみてまたすまなさそうな顔をした。「対巨人七回戦(六日)のときとまったく同じコンビネーションで投げただけなんだ。カーブ、シュート、フォークボール、それに二、三球スライダーをまぜた。でも、完封できるなんて・・・。結局ツイているだけなんです。五回無死一、二塁で三重殺ですからね。あの場面では当然送りバントをしてくると思って気を抜いて投げたフォークボールでした。最後までヒヤヒヤの連続です」青白い顔を何度もごしごしタオルでぬぐった。その下からまたうれしそうな顔がのぞく。「九回は長島さんにてっきりやられたと思った。半分観念していたんですよ」長島の大きな左飛がでる前に長谷川コーチがこわい顔でこんなアドバイスをしたそうだ。「高めは絶対ダメ。長島をだしたらすぐ安仁屋と交代させる」その長谷川コーチが笑って大羽に声をかけた。「ナイス・ピッチング」「巨人の打者は全体に低めの変化球に弱いんですよ。とくにフォークボールが効果的だった」という。一方ロッカーでは「このあたりで打たないとね」山本のごきげんな声がひびいていた。「産経戦3連敗の責任はみんなオレにあったんだから、ここで打たないと申しわけなくてみんなに顔向けができないところなんだよ」ユニホームを着がえようともせず、ロッカーの中をいったりきたりしている。「真っすぐだった。手ごたえが十分だったのでホームランだとばかり思っていた。二塁打とはね」記録は単打だ、と聞いてまたしきりにくやしがった。「ボールがかえってくる前に二塁へ走っていたぜ。ひどいよ」そういいながらも笑顔はくずさない。そして相手の投手をほめることも忘れないでこうつけ加えた。「高橋明はこの間のとき(七日・後楽園)よりよかった。チェンジアップなどいれてコンビネーションが最高だった」フロからあがった大羽に「ありがとう」と肩をたたかれ、あわててユニホームの着がえをはじめた。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 並木輝男 | トップ | 佐藤進 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事