1957年
南海、毎日と競り合って芝野を獲得したとき、大洋球団木下代表は「芝野は大洋の中西になるんじゃないか」と。この新人に寄せる期待をあからさまに語った。鎌倉高の三塁手として一昨年は4割2分、昨年は4割1分をマーク、本塁打6本をたたきだした神奈川県下高校きっての強打者、身長1㍍78、体重76㌔というのも高校ばなれしている。鴨池球場の大洋キャンプに加わった八日「卒業試験でろくろく練習もできなかった」といいながら松井、豊田らが投げる重い球を苦もなく中堅へふかぶかと持っていった。ことに内角ベルトあたりにきた球は百発百中、白い孤をえがいて三百フィートラインを越えていく。「シーズン半ばに代打に出せる」と迫畑監督がほおをほころばせるのもムリはない。今シーズンの大洋のホット・コーナーを守るのはいうまでもなく老巧児玉だ。しかし児玉は年令的にみて全試合出場はムリ。したがって守備のよい山村で逃げる試合が多くなろう。キャンプでは児玉、山村、芝野の三人が三塁を守っているが、肩は芝野が随一。しかし守備はまだまだ難が多い。宮崎二軍監督がいみじくもいった「芝野の一打で勝つか、かれのエラーで負けるかだ」と。当然キャンプでは猛烈なノック攻めにあっている。「プロは高校野球とちがうので、第一歩から勉強しなおします。ライバルといえば、みんながライバルです」と静かに語ったが、リキがあってしかも鋭いスイングといい、打球にドライブがかかっている点といい、身体のわりに柔軟なところなど大洋の中西の素質は十分。白面の好青年であることもつけ加えておこう。
南海、毎日と競り合って芝野を獲得したとき、大洋球団木下代表は「芝野は大洋の中西になるんじゃないか」と。この新人に寄せる期待をあからさまに語った。鎌倉高の三塁手として一昨年は4割2分、昨年は4割1分をマーク、本塁打6本をたたきだした神奈川県下高校きっての強打者、身長1㍍78、体重76㌔というのも高校ばなれしている。鴨池球場の大洋キャンプに加わった八日「卒業試験でろくろく練習もできなかった」といいながら松井、豊田らが投げる重い球を苦もなく中堅へふかぶかと持っていった。ことに内角ベルトあたりにきた球は百発百中、白い孤をえがいて三百フィートラインを越えていく。「シーズン半ばに代打に出せる」と迫畑監督がほおをほころばせるのもムリはない。今シーズンの大洋のホット・コーナーを守るのはいうまでもなく老巧児玉だ。しかし児玉は年令的にみて全試合出場はムリ。したがって守備のよい山村で逃げる試合が多くなろう。キャンプでは児玉、山村、芝野の三人が三塁を守っているが、肩は芝野が随一。しかし守備はまだまだ難が多い。宮崎二軍監督がいみじくもいった「芝野の一打で勝つか、かれのエラーで負けるかだ」と。当然キャンプでは猛烈なノック攻めにあっている。「プロは高校野球とちがうので、第一歩から勉強しなおします。ライバルといえば、みんながライバルです」と静かに語ったが、リキがあってしかも鋭いスイングといい、打球にドライブがかかっている点といい、身体のわりに柔軟なところなど大洋の中西の素質は十分。白面の好青年であることもつけ加えておこう。