今でもあまり好きではないが、
子どもの頃は特に注射が嫌いだった。
小学生のときいろいろな予防接種の注射をされた。
なかでももっともイヤだったのが、
ツベルクリンの注射だった。
この注射はそれほど痛くはないのだが、
その結果として打つBCGが痛かった。
ツベルクリン注射をして
何日目に結果を見るか忘れてしまったが、
私はいつも赤くならずかならずBCGを打たれた。
ツベルクリン反応の結果を見られる前に、
みんなはそれぞれ
注射を打ったところが赤くなるように“努力”をした。
口で吸って赤くしたり、
指でシッペをして赤くしたり、
しかしそれらは無駄だった。
私の左腕はいつも白かった。
よほど結核菌に嫌われたのだろう。
なかには少し分けてもらいたいほど、
腕全体が赤くなる子がいた。
女房に訊いたら、
「私はそうよ。もうこれ以上いいというほど赤くなって、
BCGは一度も打ったことない」という。
そういうひとがあの頃羨ましかった。
女房がいうには、
BCGが注射だったのは低学年の頃だけで、
その後、「はんこ」みたいのになったそうだ。
ああ、ここでBCG“文化”が途切れてた。
あのBCG注射の痛さがあってこそ、
ツベルクリン反応の結果に一喜一憂するのだ。
小学4年まで私は分校に通っていた。
ツベルクリン反応が陰性の子は分校でBCGを打つ。
陽性の子は、6、7キロ離れた本校まで歩いて行って、
レントゲンを撮らなければならなかった。
BCGを打つのも痛くてイヤだが、
レントゲンを撮るために、
本校まで歩いて行くのもみんないやがった。
4年生のときだったかな、
私は中途半端に赤くなり、
痛いBCGも打ち、
本校まで歩いて行ってレントゲンも撮ったことがあった。
私は子ども心に、
(ああ…、なんておれは不幸なんだ)
と嘆いたものだ。
今日の asahi.com の「社会」に、
「BCGの接種は1回だけ、WHOが「日本向け」に勧告」
という記事があった。
> BCGは子どもの重い結核を防ぐ効果があり、
> 日本では大半の子どもが2回以上受けているが、
> 複数回接種すれば効果が高まるのか疑問視されていた。
ええーッ、そうなの。
> 会議では、BCGを乳幼児期の1回接種だけにした
> 韓国とシンガポールがそれぞれ
> 「患者数が増えたという統計は出ていない」と報告した。
そんなのありかよ。
小学校のすべての学年でBCGを打ってきた
私の“苦痛”はどうしてくれる。