言葉の少ない歯医者

2002年02月06日 | 健康・病気

私は30代のはじめ、
歯ぐきから血が出るようになった。
歯磨きするたびに出血し、つらかった。

あの頃は、歯槽膿漏といってたけど、
今は、歯周病というんですね。
(しかし、asahi.comの大辞林で引いたら、
 歯周病という言葉がなかった。
 歯周炎というのはあったけど。
 広辞苑第四版にもなかったな)
その頃、「暮らしの手帖」を読むと、
歯磨きで歯槽膿漏は治ると書いてあった。
それから私は、毎食後歯磨きをした。
歯ぐきから血が出ても我慢してブラッシングをした。
するとそのうち出血しなくなった。
しかし、ちょっと歯磨きをおろそかにすると、
歯ぐきがぶよぶよになり、出血した。

そんなことを繰り返して現在に至るのですが、
先日歯医者がいうには、
「きれいな歯ぐきです」
ということだった。
でも、むかしの歯周病のせいで、
私の歯ぐきは“後退”してしまった。
歯の上のほうに上がってしまったのです。
私は虫歯になった前歯3本をかぶせてあるのですが、
歯ぐきが上がったせいで、
その義歯と歯ぐきに2ミリほど隙間があいてしまった。
これをしみじみ見ると醜いのです。
普段は唇に隠れて見えないけど、
けっこう気にしていた。

今日、歯医者に行った。
最初に女性のひとが歯の汚れを取った。
先週もしてくれたが、これけっこう歯にしみてつらい。
それが終わって男の先生が治療を始めた。
何をするともいわない。
けっこうな長い時間、
私の前歯をいろいろやっていた。
毎度のことですが、
私は治療している間眠ってしまう。
バカみたいに熟睡する。
ここは床屋じゃないんだ、とは思うのだが、
私はひとに何かされてるのが好きなんだな。

終わって、先生が手鏡を渡してくれた。
「ちょっと色が合わないんですが、
 保険の範囲内でやりましたので…」
という。
見ると、前歯の義歯と歯ぐきの隙間が、
白いもので埋められていた。
少し歯の色と違うが、まんざらでもなかった。

もう患者は私ひとりしかいなかった。
“閉店時間”の午後7時になっていた。
50分は治療されていた。
治療費が、2,700円だった。
あの歯医者、ちょっと言葉が少ない。
もう少し患者に説明して欲しい。
私も訊けばいいのに、訊かない。
なんかそういうことは“野暮”なような気がして。
体のことなのだから野暮もへったくれもない。
そうは思うのだが、めんどくさい。

あの先生の名前も知らない。
いつもマスクをしているので顔も知らない。
短い会話と肌合いの関係だ。
でもこの“肌合い”ってのが重要だ。
あの歯医者に行くことを、
私はけっこう楽しみにしている。

コメント
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