63歳の妻と68歳の私は高卒で、双子の息子たちを育てて社会の底辺を歩いてきた。
私は現在、がんになり、治療のために仕事を辞め家にいる。
妻は東京の会社まで2時間かけて通勤している。
専業主婦に憧れ続けてきたあのひとがです。
そんな女房に私は、申し訳ないという気持ちでいっぱいです。
あのひとは、65歳になって年金が全部もらえるようになっても働くといっている。
私は女房に幸せになってもらいたいと心から思う。
今、私が5時45分に起きて台所を温風ヒーターで暖め、お湯を沸かしてコーヒーを淹れる。
6時に妻は起きてくる。
女房が6時40分に出勤してからゴミをまとめて、部屋を掃除する。
天気がいい日は布団を干し、洗濯機も回す。
しかし晩飯は、18時半に仕事から帰ってきた女房が作る。
私が作るより、あのひとが作ったほうが効率がいいのです。
女房に幸せになってもらいたいのですが、私はなかなかそれを実現できない。
そんなくすんだ毎日の女房に、先週ひとつのメールが送信されてきた。
昨年の夏、女房があるテレビ番組に応募メールを書いていた。
一次審査に通ったので、写真を送ってくれ、というメールだった。
私は、女房に頼まれ写真を沢山撮り、それらから選んで33枚の写真を送った。
日曜日、番組スタッフからまたメールが来た。
「写真をありがとうございます。これから会議をして決めます」
それだけで彼女はもう、たいへんだった。
といってもまだ番組に採用され、テレビ番組に出られるわけではなかった。
それが今日の午後、女房のスマホに番組スタッフからメールが届いた。
「あなたの企画を、番組で取り上げることに決まりました」と。
もう、女房は大よろこびです。
あんなによろこぶあのひとを見ることは、このところなかった。
来週のある日、番組スタッフがうちに来るという。
もう、女房はサイコーに幸せという状態だった。
そんな彼女を見ていて、つくづくよかったなと私は思った。
私の力では、女房をあんなに幸せにはできないでしょう。
今のところ、どんな番組かは書きません。
放送日が決まりましたら、ここに書きたいと思います。