「TAKESHIS’」
原題:TAKESHIS’
2005年 日本 107分
■監督:
北野武
■出演:
ビートたけし
京野ことみ
岸本加世子
大杉漣
寺島進
渡辺哲
美輪明宏
●あらすじ
2005年のベネチア映画祭でサプライズ出品という特別待遇で大きな話題を集めた北野武監督作。
芸能界で成功を収めたタレント“ビートたけし”と、冴えない中年男“北野”が出会い、
いつしか両者の世界が重なり合い混沌としていくさまを斬新なタッチで描き出す。
大物タレントとして多忙でリッチな毎日を送るビートたけし。
一方、そんなたけしにそっくりな売れない役者・北野は、
しがないコンビニの店員をしてなんとか生計を立てる日々。
ある日、北野は偶然にもビートたけしと出会い、やがて、たけしが演じる映画の世界へと迷い込んでいくのだった…。
(TSUTAYA DISCASより)
★感想など
結構面白かったよ、これ。但し『個人的には』と付けるべきか。
ようは互いのたけしが見ている夢の入れ子構造。そこまで複雑ではない。
そこよりも、何故こういった内容の映画を作ったのかに興味が沸いて楽しく観ていた。
前作は「座頭市」という娯楽作を作り上げ、大ヒットを達成した。
その次回作としてこれ。
素直な感想を言うと、前作はマーケティングをメインで作ったから。
そうは言っても、随所に自分らしさと言うか、たけしじゃなきゃ作れない「座頭市」になっているのも凄いが。
そして今回は他人を極力気にせず、自分の部分をメインに出して作っている感じ。
但しそんな風に作った作品を、他人がどう見るかもちゃんと意識して作られていると思う。
他者も自分も客観的に見ることができ、他者が自分の言動をどう捉えるのかと言うことが分かっている。
他者の期待にあわせることも出来る。そうなると自分を消す部分の方が多くなる。
代わりに自分を出すと、それを他者がどう見るか、どう思うか、どう影響するのかも分かりつつ
加減しながら自分を出していく。自分を演じていく。
たけしの天才部分はその部分にのみ興味があって、色々やっていくのではないかと思った。
色々やっていく中で他人から評価されていることについては、それ程興味を持っていない。
むしろ他人が自分のどこを評価して天才だとか言ってきているのかについては、すでに把握しているだろう。
それを踏まえて期待に応えていかなくてはいけない時がほとんどだが、たまにはその期待がうっとうしい時もある。
そんな時の作品に思えてしょうがなかったなあ。
観てないけど、松本人志の映画が酷評されているのは、自分を天才だと思っていて(自覚ではない)
それを他人から言わせたい人の結果と、本作を観て思ったなあ。
まあ松本人志を笑いの天才と思ったことは一度も無いので、彼の映画を観たいとは少しも思わないんだけどね。
いーつか、いっぽど観るものが無くなったら観てみようかな。
その前に北野武の他の映画が観たくなったけどね。