「シン・ウルトラマン」
2022年 日本 112分
■監督:
樋口真嗣
■出演:
斎藤工
長澤まさみ
有岡大貴
早見あかり
田中哲司
西島秀俊
山本耕史
嶋田久作
●あらすじ
次々と巨大不明生物「禍威獣(カイジュウ)」があらわれ、その存在が日常となった日本。
通常兵器は全く役に立たず、限界を迎える日本政府は、禍威獣対策のスペシャリストを集結し、
【禍威獣特設対策室専従班】通称【禍特対(カトクタイ)】を設立。
班長・田村君男、作戦立案担当官・神永新二、非粒子物理学者・滝明久、汎用生物学者・船縁由美が選ばれ、任務に当たっていた。
禍威獣の危機がせまる中、大気圏外から突如あらわれた銀色の巨人。
禍特対には、巨人対策のために分析官・浅見弘子が新たに配属され、神永とバディを組むことに。
浅見による報告書に書かれていたのは…
【ウルトラマン(仮称)、正体不明】
(Amazon Prime Videoより)
★感想など
賛否両論が渦巻く。と言うより否定の声を多く聞くなかで鑑賞してみたが、正直微妙だね。
まあコンセプトは「ウルトラマン」を「シン・ゴジラ」のフォーマットにのせてみる。
この試みは悪くないと思う。
何せ本ブログで紹介している映画は99%興味が無いであろううちのかみさんが、本作は観たいと言っていたくらいだから。
だが感想はつまらなくて途中で観るの止めたらしい。
まあそれも分かる。
恐らくだけど「シン・ゴジラ」から流れてきた普通の人は、「シン・ゴジラ」も含めて
”最新作”とか”話題作”とかそういったキーワードで観てるような気がする。
内容も、もし現代の日本にゴジラが現れたらどうなるかのシミュレーション映画。そういった視点で楽しんだのではないだろうか。
そして「シン・ゴジラ」はそれに十分応えられるような映画であった。
一方「シン・ウルトラマン」はどうかと言うと、これがなんか違う。
一言で言うと本作は「ウルトラマン」なんだから、役者にもっと熱量が欲しかった。って感じかな。
出てくる人たちが全員無表情で状況説明しかしない。
ウルトラマンに空高く投げられても無表情な長澤まさみ。
そして何より感情のないロボットの演技にしか見えない主人公のハヤタ隊員。
これが絶望的にダメだった。
あとウルトラマンも全然皆から憧れられてなく、ヒーロー映画になってないのも如何ともしがたい。
これで本作はどこで盛り上がれと言うのか、ちっとも分からない。
それでいて庵野秀明の脚本は、やれ「禍威獣(カイジュウ)」とか「禍特対(カトクタイ)」とか
勝手な当て字をして喜んでいる辺りが、いかにもオタクっぽくて嫌だ。
演出・出てくる怪獣・音楽など、元祖「ウルトラマン」からのオマージュは凄いんだが、これが映画的な面白さに昇華されていない。
こう考えると先日の「キル・ビル Vo.1」がいかに上手にオタクっぽく作ってるかが相対的に分かるってもんだね。
とまあ酷評だらけに見えるが、怪獣の描写とかは良かったよ。
特に冒頭の山間部に怪獣が登場してくるシーンは、「三大怪獣 地球最大の決戦」を思い出せる感じだった。
あれって狙って作ったのかなあ?