「地獄」
1960年 日本 101分
■監督:
中川信夫
■出演:
天知茂
沼田曜一
中村虎彦
三ツ矢歌子
嵐寛寿郎
●あらすじ
“地獄”を特撮を駆使して描いた猟奇絵巻。
前途洋々たる青年・清水四郎の周囲で、次々と不幸な出来事が出現。
やがて彼を含め、全ての関係者が死んでしまう。
そして死後、彼は地獄に落された人々を目の当たりにする……。
(TSUTAYA DISCASより)
★感想など
子供の頃は、地獄と言うものが結構身近な存在であった。
悪さすると地獄に落ちるよと大人から脅されるのは常套句だったし、
地獄大百科みたいな子供向けの本も多数発売されていて
その本には閻魔大王とか極卒の姿とか、八大地獄の紹介とかが定番だったなあ。
そしてその定番通りに作られたであろう映画が本作だ。
人は悪い事をしたら地獄に落ちる。そして地獄とは三途の川を渡って閻魔大王様の裁きを受け
八大地獄のどれかにて刑を受けると。
何でそんな映画を観ようと思ったのかと言うと、主演が天知茂だから。
しかも新東宝作品とのことで、これまた興味倍増。
新東宝の映画って、当時の言葉を借りれば”通俗長編”と言った趣きで、
江戸川乱歩とか横溝正史とかで育った私には、堪らなく魅力的なんだよねえ!
さらに地獄の映画を調べてみると、同名タイトルで3本もあるらしいじゃないか!
こうなったら全部観てしまえ!
「地獄」映画三連発じゃあ!
と意気込んだのが、実はお盆の前辺り。
お盆に地獄の映画を観るとは、自分どうかしてるんじゃないかとも思ったが、観始めてみたら
仕事が地獄のようになり、この2週間全然映画を観ることもできなかった。
最後の地獄映画を観終わったのが、ようやく昨日だったことを考えると、
ここ二週間の仕事地獄は、地獄なんて映画を観ていたからかもしれないとか思ってしまった。
とまあそんな事はさておき、まず一本目となる本作。
まず地獄の描写は大変素晴らしい!
この特撮は、昭和35年当時ではかなり衝撃的だったと思われる。
それくらいきちんと地獄を描こうとしてる感じがする。
ただストーリー展開の方はちょっとダルくて、主演の天地茂が学生役と言うのもちょっと見えないが
何より彼は全く悪くないのに、自分は地獄に落ちるべきみたいに自分で自分を責めていく展開がちょっと話の筋にあってない。
そんな風に話が展開していき、美しく可憐な三ツ矢歌子含め、中盤で登場人物が全員死亡する事態に発展。
ちなみにこの全員と言うのは、多分40~50人くらいの規模である。
そしてクライマックスは登場人物全員が地獄の責め苦にあう描写で、話を盛り上げる。
まあ製作年度からも、昔からある地獄のイメージをそのまんま実写化したかのような内容は
地獄映画のスタンダードと位置付けて良いのではないか。