だいぶ日にちが過ぎてしまいましたが『爆笑オンエアバトル・セミファイナルBブロックin多賀城』(14日24:10~)、今シーズンもあと2ラウンドと残り少なくなってきたこともあって、今回はちょっと問題意識を持って再生視聴してみました。
出場は演順にオジンオズボーン、風藤松原、上々軍団、タイムマシーン3号、ハマカーン、我が家、流れ星、東京03、Bコース、トータルテンボスの10組。
いずれもシーズン中少なくとも2回はオンエアを見ている人たちばかり。そこで“いつもより(orいつもにまして)おもしろかった、笑えた”組と“いつもに比べてつまらなかった、精彩なかった”組とに、万難を排して分けてみました。
ベター組はオジンオオジオズズボーン、上々軍団、流れ星、東京03。
“逆ベター”組はハマカーン、Bコース、トータルテンボス。
可もなく不可もなしが風藤松原、タイムマシーン3号、我が家。
で、合格ファイナル進出が得点順にタイムマシーン3号、オジンオズボーン、流れ星、トータルテンボス、Bコースという結果になりました。
オジオズ890kbと流れ星886kbは、何といっても出だし掴みが抜群だった。特に流れ星は、“室井滋”のチョイスで客席に「へぇー」まで言わせましたからね。ここで本人たちがグンと乗って行った。この出来を維持できれば、セミ前のちゅうえいのコメント「いちばんチャンピオンらしくないチャンピオン」も視野に入ってくる。
オジオズの“千の風ルパンⅢ世ヴァージョン”はこれに比べるとちょっと発想が幼稚めだったけど、篠宮の音程節回し、声の出がいつもに比べて冴えていたため高松の“笑顔→男前→AKB48”へのノリツッコミも一気に上昇カーブに乗っていけた。公開収録での掴みの重要さを改めて思い知らしめました。宮城県多賀城市、地図で見ると塩竃の近くですが、カマボコは名産地なのかな。
風藤松原562kbは「じゃちょっとテンション上げてやりまーす…いやーこないだっさー!!」「おーどないしたんやー!!」で、思ったほど客席が急カーブで湧かなかった、これに尽きると思う。一度上げを見せると、今後のラウンドも上げがルーティーンのひとつになり、“‘地’と見せて、テンション低いのも実は戦術のうちなんだよ”をカムアウトしてしまうわけで、ある意味勝負をかけたネタだったはずですが、、これでセミ通過してしまったら、「テンション上げが“アリ”」をデフォルトにしてファイナルを戦わなければならなくなったわけだから、ここ敗退でかえって今後がラクになったと考えるべきなのかもしれない。
上々軍団も同じく562kbで結果だけ見れば低調ではありましたが、(あえて言う)たとえフロックにしても満kb出した誇りをバネに自信持って演れていたのが大きいと思います。ナース絡みで前順風藤松原、歌ネタでオジンオズボーンと、同じ組・近い演順でなければまかり間違ってファイナル進出まであったかもしれませんが、「英語わかんないんなら無理すんな!」のオチに典型的に現れていたように、「ドゥーワチャワナファゲン、フォーユー」「雰囲気だけだろ」のオジオズが合格なら、「上々は芸風雰囲気かぶるから要らない」と判断されても仕方がない。
タイムマシーン3号は、“いつもより良かった”と思う人もいるかもしれない。コンビニバイト面接ネタ一本でも途中で飽きさせずまとまっていたと思いますが、1018kbは前週のセミA in出雲での三拍子同様“顔点”“名前点”が大きかった。
ハマカーンのお祭り好きネタはむしろ流れ星が演ったほうが合うたぐいのネタだったと思う。悪いときは悪いなりにまとめてくるのがこの人たちの強みだと思ったのですが、逆にそのために、最高おもしろい全開のときどんなんだったか?が思いだせなくなってしまった。やはり、たとえば今セミ不出場組で言えばノンスモーキンの「ジャンケンで抱きしめーてジャンケンで離さないで」、ギャロップの「父さんの故郷ジャマイカ」のように、一見忘れられなくなるパフォが、たとえ他回はチョボチョボだったとしても、セミ敗退が決まったいまとなっては、1回は欲しかったところ。
注目のトリオ3組の中では、月河個人では久々に、ここ数ヶ月で視聴した全お笑い番組の中でいちばん東京03に爆笑しました。リプレイして見るたびにその都度笑えるネタも昨今珍しいよ。いつもは振り回され被害者担当の飯塚がどんどんエスカレートしていく自体に爽快感があったし、終盤の「○○か!」「○○だよ!」の応酬も(“カップラーメン”というモチーフ選択すらひょっとして?)この番組の勝ち抜け組タカアンドトシのパロディーっぽくて痛快だった。4分20秒ほどの中で、基本設定を見せ個々のキャラを見せ、「それがどうして可笑しくなっていくのか」の過程を見せる、「自分がTVで見たかったお笑いとはこういうものだったんだ」をピンポイントでズバ突かれた感。
その東京03が742kb6位敗退となった時点で、残りのBコース802kbと我が家714kbでは“動きの多さ派手さ”で勝負あったか。パッと見でドタバタとわかるドタバタという席を占めるとしたら、今セミのメンツではBコースしかいないですからね。我が家もネタとしては悪くなかったと思うけれど、個々のボケ・個々のツッコミが、どうも笑い曲線を上昇させていかずブツ切れにしてしまうほうが多い。
さてトータルテンボス。“同じネタを練って練って演り返して良くなるタイプかも”とは前に書きましたが、まさかM‐1最終決戦とまったく同ネタで来るとは。宮城ならM‐1視聴率は関西ほどではないと踏んだのかな。「…旅行代理店の店員っぽいって言われるんだよねー」と大村が切りだした瞬間、会場が軽く凍ったように聞こえた。藤田の「上回ってんじゃねーか5人ぐらい妄想じゃねーか」でどうにか“笑っていいんだな”モードに戻ったけど、壊れがエキサイトしていく「いーんですかー!?」リフレインが制限時間の関係でそっくりオミットされていたし、途中のノリもM‐1での出来に比べて全然モタついていて、818kbはタイ3、三拍子以上に“顔名前点”。ファイナルでのネタへのハードルを自ら高くした点で度胸アッパレと言っておきましょう。
このセミBを見て、いちばん最終ラウンドに推したかった東京03が消えてしまったからというわけではないけれど、ここらで個人的に『オンバト』という番組自体への姿勢を考え直さなければいけないとも思いました。おもしろいネタやおもしろい芸人たちを単純に鑑賞して笑ってスカッとするためには、この番組は向いていない。
「これがover500kbで、アレが380kbってあり得ない」「この人たちのこの程度のネタがオンエアで、あの人たちがオフエアってことは、あの人たちどんなネタでどんだけやらかしちゃったんだ」などにいちいち引っかかって、オンエア分だけを純粋に笑うのが、毎週真剣に見ていれば見ているほどむつかしく、逆にフラストレーティングになってくる。
順位や得点差に引っかかることそれ自体を“お笑いに付随する娯楽”として消費できる精神状態にこちらが居ないと、オンバトウォッチャーは続けられないかもしれません。