イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

COMPAGNO

2009-08-10 22:52:06 | ニュース

出先の待ち時間のTVで、あれ、どこ系チャンネルだろう?『はぐれ刑事純情派』の再放送やってたからテレビ朝日系かな?お昼前のニュースで、もう酒井のりぴーの資料映像はたくさんだよ…と思っていたら、いきなり来ました「元・名子役マーク・レスターさん“マイケル娘の実父は私”」。

先般の葬儀でパパへのメッセージを披露し世界の涙をさそった11歳のパリスさんが、マイケル・ジャクソンさんの元・夫人デビー・ローさんと、マイケルではなくマーク・レスターさんが旧友のマイケルのために無償提供した“種”で誕生した子だと言いたいみたいなのですが、いまさらそんなことバラされても涙でパパにお別れ言ったお子さんの心情踏みつけだろうとか、“無償”提供したのが遺産の額聞いて惜しくなったんじゃねえかとかそんなことはどうでもよろしい。

『小さな恋のメロディ』『オリバー!』のマーク・レスターさん、健在でしたか。51歳ですって。マイケルと同じ1958年生まれだったのだ。活躍時期は近接していたのに、マイケルがハイトーンヴォイスの天才少年からメジャーなアーティストの軌道に乗った80年代、きれいに入れ替わるようにマーク・レスターのほうはぷっつり見かけなくなっていたので、精子提供するほどの交友があった自体クリビツテンギョウです。それにレスターさんってアメリカではなくイギリス国籍じゃなかったかな。最近はマイケルも、アメリカよりイギリスでの人気でもってたような話も聞いたから、接点はあってもおかしくないか。

それにしてもマイケル・ジャクソンって、エリザベス・テイラーとかブルック・シールズとか、マコーレー・カルキンとか“幼くして有名になり大人そこのけのマネーメイキングした”芸能人が本当に好きだったのね。私有地に“ネヴァーランド”と『ピーターパン』から取った命名をしているように、“永遠のジュヴナイル”“成熟も老いもしないチャイルドフッド”を愛していたことは確かなのでしょうが、それと同じくらい“(カネのため、大人家族を喜ばすためのショウビズに明け暮れ)失われた、還らない子供時代”という“イメージ”を終生愛惜し続けた人だったのだと思う。

レスターさんの今般のカムアウト(←真実ならばね)は、「オレにも親と名乗る権利がある」という含みがあるだけに、子供への愛とは別にどこか浅ましさが漂いますが、とにかく、生前、関わった誰かが何かを言うたびにもの悲しさがつのる人ですマイケル。

それにつけてもマーク・レスター51歳なあ。ラウンジのTVなので音声詳細は聞きとれず、絵だけ見ましたがちょっと鶴見辰吾さんをがっしりさせて英国版にしたみたいな感じでした。往年の人気子役で成人後は活躍しなかった人というと、忘れかけた頃に風聞する噂は大体ろくなものじゃありませんが、今回は犯罪じゃないしね。そんなに見る影もない老け込み方でもない。90年代にどこかの媒体の“あの人はいま”企画で、芸能界ではない堅気の世界で、結婚して子ももうけて真っ当に暮らしていると伝えられた記憶はかすかにあるかな。

『メロディ』や『オリバー!』よりは、学校の映画会で観た『野をかける白い馬のように』が印象深いですね。月河と同年代の女子仲間ではなく、むしろそのお母さんたちのほうが熱く「かわいー♪」連発でした。一緒に成長して行く同年代のファンより、大人観客から“「かわいー」攻め”に遭うと、演技者として芸能人として、大人になって行くのは確かに難しいかな。“大人になる”ということは“「かわいー」と言われなくなる”ことでもありますからね。

加藤清史郎くんもがんばれよ。“撤退する勇気”もときには必要だかんね。進学休業とか挟んでもいいから、尾美としのりさんみたいな俳優になってくれたほうが月河は嬉しいがな(その頃月河年いくつだ)。

『夏の秘密』51話。後半戦残り3週です。紀保(山田麻衣子さん)が延々“みのりの死の真相”と“芽生えたところでみずから断ち切ったはずの伊織(瀬川亮さん)への未練”に低回してここのところやや精彩を欠いているのに対し、周囲の脇役さんたちは設定1年経過で瞠目の変貌を遂げていて飽きさせませんよ。

伊織との結婚がととのいつつあるフキ(小橋めぐみさん)への大逆転を胸に秘め、大手の何者かの意をうけて、ひそかに近郊の地上げを画策する、いまは宅建主任にして不動産仲介業のバカ…じゃなく若社長雄介(橋爪遼さん)、姉フキが実家を再興させ仲間はずれの割り切れなさから雄介に気持ちを寄せて行くセリ(田野アサミさん)、紀保の伊織との再接近を奇貨として再び龍一(内浦純一さん)に猛アタックをかける杏子(松田沙紀さん)に続いて、その杏子にひと目惚れしちゃった元・引きこもりの柏木(坂田俊さん)のキャラチェンジが群を抜いてものすごいことになっています。

つい1年前は「人と話すのが苦手」とこぼしていたのに、杏子が訪ねてくるや、オマエどこのウェイターよ?ってくらい無駄に愛想はいいテンションは高い。杏子に自己紹介するのに、いまにも「木ヘンにホワイト」とか言い出しそう。

しまいには伊織に「(夕顔荘が建て替えになるなら)マンションでも買おうと思って」「プロポーズするにしても、いまどき博士号で嫁さん来てくれるほど世の中甘くありませんから、やはり不動産かなと」…不器用理系くんだとばかり思っていた柏木ってば、いつの間にそんな現実的世間知を。“肩書きより不動産”に行くあたりはやはり定住稲作農耕文化の、農家のせがれの土着的DNAかな。

柏木さんが杏子さんに気持ちがあると気づいたときのフキの表情が、いつものことながら小橋さん確かな表現力。自分は伊織と“もうボールがカップに落ちる音を聞くだけ”と思っているので、自社の従業員である柏木の恋路を応援するのも、“雇い主として、上司夫人として当然の役回り”、そして“強く思い続ければ夢は叶う、私は叶えた先輩よ”というイタい思い上がりが火花のように放射する。本当にフキは深読みが楽しいキャラです。

それに比べて紀保は、いまちょっと鬱が入っている思考状態とは言え、伊織とこっそりカフェで待ち合わせし杏子への疑惑を打ち明けてみのりの部屋再捜索を願うにしても、「俺たちはもう次の季節に向かって歩き始めてる、一年かかってやっと自分の人生を取り戻したんだ、いまさら過去に戻ろうとは思わない」と拒まれたときの表情など、そこまでとげとげしくせんでも…と思ってしまいますね。いま少し、伊織から見てとりつく島のある表情を見せるとドラマ自体もぐっと色っぽくなるのに。

でも、紀保のこういう良家令嬢らしい“女”使いの稚拙さ生硬さがこのドラマの味になっていると言えなくもない。最終話まで3週“しか”ないと思うべきか、3週“も”あると思うべきか。

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面倒カフェ

2009-08-09 22:55:21 | お笑い

『爆笑トライアウト』(72455~)、『オンエアバトル』の二軍的性格でスタートしたこの番組も、ようやくこの番組単体として楽しめる地合いができつつあるように思います。『オンバト』未オンエア組限定という顔触れのフレッシュさと、オンバト本戦より2分短い3分以内という制限がもたらすネタ個々のテンポ感と密度も相俟って、レベルが低いとか玉石混淆といった意味での“二軍戦”にとどまらない、本戦とはひと味違ったライブ感の、新鮮なネタ番組になってきた。

 今週は特に、TV視聴での印象がわりと直球で会場審査の玉入り具合と一致したほうではないでしょうか。観ていて「これはキタでしょう」と思った組に、そのまま玉が入った。

井下好井(いのしたよしい)は529kbの数字通り出色の安定感。ちょっと前回のあきげんと似た肌合いの芸ですね。大爆笑はないんだけど、演じがこなれていてボケの間隔にリズムがあり、結果的に隙間なく笑える。色白のボケ好井の女役喋りの、異常なまでの手慣れっぷりも目を惹きました。

ただどれくらいのキャリアのある組かわかりませんが、ますだおかだ・品川庄司・イシバシハザマ式に本名を並べたコンビ名が、字ヅラは簡単なようで、スッと読みにくいですな。その分、覚えてもらうと忘れられにくいかもしれないけど。

今回唯一のピンエントリーということだけでも目立った我人祥太(がじんしょうた)が2497kbを叩き出し井下好井とともに本戦挑戦権獲得。こいつチョットずるいよね。「その後 彼の姿を見た者は無い…」で退場されたら、意地でももう一回出させたくなるじゃないかと。2ネタめの「手ブレ」でかなりツカんだものの、1ネタごとのオルゴール音でテンションがいちいち途切れるし、あからさまにかつてのヒロシを思い出す一発屋臭芬々な芸風ですが、一度くらい『オンバト』で反応を見てみたいとは思う。芸名の“祥太”は本名かな。“臥薪嘗胆(がしんしょうたん)”からの造語かしら。

3位以下は、今回、ボケ役の“リキみ系ヘン顔”が目立ちました。445kb3位と、惜しいっちゃ惜しかったしゃもじは、2人揃って冒頭、ツッコミに関してはネタ中ずっと、声が通らなかった。中盤からオチまでアンパンマンネタというのもどうなのか。ドラゴンボールなど、老舗どころのアニメやコミックはよく若手の諸君がネタにするけれど、読んでない、知らない人も大勢いるわけだし、プロのネタ作りとして志が低過ぎやしないか。

ヘン顔はしなかったけどグーとパーももろにアニメネタでしたが、設定がバカバカしすぎて逆に志の低さは感じませんでしたね。ドラえもんとゲゲゲの鬼太郎、どっちも“言われないとわからない”コスプレの微妙さ、おまけに揃って関西弁というのが妙に脱力で笑えましたが、293kbと低評価。

ガルウイングはボケの「思い出したぁー!」が、ヘン顔つきでチカラ入ってるにもかかわらず、いちいち、わざわざネタの流れを断ち切ってしまう。「スイカじゃなくて気のセイカ」「郵政民営化の波」など、ボケ単体ではそこそこキレはあるので、ボケがリフレインされるたびにちゃんと笑いを増幅していくような構成を考えたほうがいい。やはりこうして考えると、『オンバト』本戦ベテラン常連のパンクブーブーギャロップは一枚も二枚も上だということがわかりますね。

ビートルホークも同様。ボケ2発めの「DVDレコーダー」でかなりツカんだと思ったのに、3発め以降エスカレートしていかず、逆に汎用性を欠きショボくなってしまった。「普通に帰ったからな……ビビッたじゃねーか!」は結構キテたのに、そこまでのレールが上昇曲線を描いていないので大爆笑にならない。ピーク3分以内と言えども、3分以内だからこそ、やはりクライマックス→オチの流れを作れないと弱い。

ヘン顔系の中では、さらば青春の光が頭ひとつ抜け出ていたと思いますが、やはり視聴者投票1位を獲得して本戦出場権。いちいちズレてる教師役のボケがクチがっぱーん開けて激昂する可笑しさよりも何よりも、生徒役のツッコミの、淡々としつつも要所でキレのいい機能ぶりが、アタマひとつの勝因だと思います。今回、“ボケのヘン顔押し”で敗退した組は、軒並みツッコミが精彩を欠いた。

 ビーフケーキガリベンズ劇団イワサキマキオは、それぞれちょっとずつ長所はあるんだけど、ひと言で言って“自分らの世界に入り過ぎ”。しかもなおかつ、その世界に観客を引き込む握力や牽引力が弱い。

最近、オンバト本戦でもこのトライアウトでも、漫才に比べてコント勢にいまひとつ強力な新顔が出ない傾向が続いていますが、お芝居やドラマが、脚本さえ良ければ必ずおもしろくなるわけではないように、コントは漫才にはないハードルがある。まずいきなり着想の斬新さ大胆さが要求されるし、“地”のキャラに頼らない演技力、装置やコスチュームのセンスも必要。歴代のオンバトチャンピオンを振り返っても、コント押しで上り詰めたのはアンジャッシュだけでした。

いまオンバト本戦の常連上位に生き残っているコント勢と言えば、ラバーガールななめ45°フラミンゴノンスモーキン辺りかな。東京03は卒業しちゃったし。そろそろフレッシュなコント職人の登場も待たれるところです。

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太陽がいっぱいだ

2009-08-08 18:02:37 | ニュース

人間、自覚なく無意味な行動してしまうことってのはあるもんです。

 昨日の記事で、亡くなった大原麗子さんの二度の結婚離婚歴について「若干頭髪に不安はあるが依然TVでご活躍の二枚目俳優さんと、お騒がせありつつも人気実力揺るがぬ大物演歌歌手さん」と書いたのは、別にこのお二方が差し障りのある人物だからというわけではなく、大原さんに関してだけ集中するように書きたかったから他の固有名詞は極力節約しようと思って伏せただけだったのですが、大原さんのたぶんTVドラマでは最後のご出演になったと思われる作品のタイトルでしっかり「渡瀬恒彦さんとの“元・夫婦”共演」って書いちゃってるのな。伏せた意味がどこにあったんだ。

そもそも『十津川警部シリーズ』ってだけでもう8割がた見当つくんだから、伏せっぱなしでよかったのに。ちなみに演歌歌手のほうはもちろん森進一さんです。こちらは大原さんと離婚後、森昌子さんと再婚、のちやはり離婚されていますね。

ああ固有名詞出しは気持ちいい。

さて、今日(8日)放送分ではついに多部未華子さんが極短パンで羽根背負ってサンバ踊るまでにオーバードライブしちゃったNHK『つばさ』、いろいろある残念ポイントの中で最大と思われるのは、たぶん西城秀樹さんの“動けなさ”でしょうね。

今週(3日~8日)は特に斎藤ヒロリンの“川越以前”の過去話が多かったため、西城さんが毎夏後楽園球場でライブを披露していた頃のように腰振って脚上げてアクションしてくれないまでも、せめて巻き舌仕様の台詞がもたつかない程度にクチやカラダが切れていたら、いまの数倍、客を引けるドラマになっていたでしょうに。

脳梗塞からの奇跡的リカバリーから56年は経つでしょうか。このへんがいっぱいいっぱいかなという程度の出番数、アップ場面数におさえて西城さんの登場分が構成されているのは痛いほどわかるのですが、彼のピーク時を知っている側からすると、「もっと使える、輝ける人だったのに」と別な意味でイタいのです。

NHKの当該公式サイトには、“つばさファミリー紹介”という人物紹介ページがあり、ざっと見ただけでも、一般的な朝ドラ適齢世代の女性が「あ、あの人が出てるなら見てみよう」と視聴動機にしそうな一番手は西城さんだったはず。

朝ドラのならいで、ドラマ界準新人が充てられるヒロイン役や相手役は別格として、中村梅雀さんの器用な演技力を堪能したいとか、働く元ママドル松本明子さんに元気をもらいたいとか、普通なら木戸銭払わなきゃ鑑賞できないイッセー尾形さんの至宝ひとり芝居がタダで拝めるかもとか思って観始めた人も皆無ではないでしょうが、西城さんが潜在的に“持つ”客数の比ではないはずです。

 『だんだん』でつくづく思ったのですが、“ひと時代前の婦女子に一世を風靡したフェロモン系スター”を朝ドラの脇に起用するなら、誰が見ても「うわぁ、変わってないねえ」「相変わらずカッコいいわぁ」と思ってもらえる時期に間、髪を入れずに起用しないと、TVの向こう側もこちら側も居心地悪くなるだけですね。『だんだん』では吉田栄作さんが映って何か台詞を言うたびに、大袈裟に言えば全国のお茶の間女性視聴者がガツンと前のめりになる“音が聞こえる”ようだった。西城さんもせめて90年代前半の起用だったらなぁ…ってそうなるとちびまる子ちゃんのEDの頃になっちゃうか。

……いや、西城さんのヒロリン、決してカッコ悪いわけじゃないんだけど、54歳高畑淳子さんと熱い(同志の)ハグしたり、アイドル番組では全然後輩だった太川陽介さんをアマゾンの奥地(と見せかけて青森)に逃がしたりでは、ピーク時を知る者としてはポカーンを通り越して、ほとんど心が折れるじゃないかと。『だんだん』で吉田さんの“若気のあやまち、でも本気のマジ大恋愛”の相手が石田ひかりさんだったぐらいのナイスマッチングはないのかなと。

70年代後半~80年代初期に活躍し、『レッツゴーヤング』で共演したことあるぐらいの女性アイドルで“原型のとどめ具合”が西城さんと釣り合う人を誰か相手役に連れて来られなかったものでしょうか。女優さんでもいいや。早乙女愛さんを出してくれたら、月河ほとんど号泣ですよ。

なおかつ、アイドルとして輝きピークの頃の西城さんは、歌唱力やリズム感が本格的で“あればあるほど”B級っぽくなる、稀有な持ち味の人でもありました。植民地的と言うか、米軍キャンプ仕込みっぽいと言うか、プレスリーのバッタもん的なひらひらキラキラした衣装でガリガリの胸はだけるのが似合う、良い意味でキッチュなんですな。

『つばさ』は西城さんのそういう個性に、“気づいているんだけれど活かせていない”。母のような娘と娘のような母とか、子持ち世代が軒並みオトナになりきれていないなど、呑み込むのにノドにつかえるモチーフが多いドラマで、唯一“カッ飛んで突き抜け切れそう”な要素が西城さん参入だったのに、惜しいことです。

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麗しのひと

2009-08-07 20:10:35 | ニュース

大原麗子さん。月河周囲では高齢家族・非高齢家族ともに、熱烈なファンではないけれども親近感のある年代です。高齢組にとっては“セクシーヴォイスのおきゃんな町っ子お姐ちゃん”あるいは“『男はつらいよ』シリーズ出色のマドンナ”、非高齢組は“可愛らしさのある大人の女性”というイメージのようです。この中間世代なら、何と言っても“六本木野獣会”でしょうね。

男性と女性とで分ければ、「すこし愛して、ながーーく愛して。」のウィスキーCMのイメージ通り、やはり男性のファンが多かったのかもしれませんが、未視聴ながら89年のNHK大河ドラマ『春日局』ではタイトルロールを演じているし、老若男女に好感度だったと言っていいでしょう。

二度の離婚を経験され(←現在もTVドラマでご活躍の、若干頭髪に不安はあるものの依然二枚目な俳優さんと、お騒がせはありつつも人気実力揺るがぬ大物演歌歌手さんです)、独身でご自宅でひっそり亡くなり二週間後に警察通報で発見…という部分に関しては、月河は不思議とさほどかわいそう感は抱きません。

死ぬとき“家族に看取られて安らかに”がそんなに、別格に幸せなことだと思わないからかもしれない。家族とともに暮らすことで被るやりきれない苦痛や不自由や悩みが山ほどあるのに、死ぬ間際だけ“家族とともに”が絶対的幸福であるかのように言われるのは非常に理不尽です。

経済的に窮迫し食い詰めての孤独死ならば、かわいそうというより悲惨ですがそういうわけでもない。二度結婚されてもお子さんもなかったことだし、庶民的な役や情の深い女性の役を演じてもどこか風のように生活臭のないのが持ち味で、そもそも“家庭”“家族”に縁があまりない、執着もしない人でもあったのでしょう。芸能や芸術の才に人並み優れ、成功した人には特によくあることで、子や孫・曾孫何十人もにわいわい囲まれて何の才能もなく世の片隅で凡々庸々と生きて死ぬ人とどっちがどれくらい幸せかなんて、考えるのも愚な話です。

お気の毒だなと思うのは50代前半の、まだまだ色気も女らしさもじゅうぶんに備え、年輪を経た大人の役を、余裕を持って演じることができる、俳優としていまの日本のドラマ・映画界でいちばん必要とされる年代で難病に倒れられたことですね。若い頃美貌やセクシーさを謳われた、特に女の俳優さんが、中高年になられて老け役老けづくりで露出し続けることを好まず、出演を減らしたり休業されたりすることを月河は大いに歓迎していますが、健康が万全でオファーもあるのに“俳優業以外の自分の時間を持ちたい”と自由意志で一線を退いて、退いたなりのプライベートライフを楽しまれていたのではなく、やむなく闘病に明け暮れる事実上の逼塞状態では不本意な晩年(62歳で“晩年”になってしまったことも含めて)だったことでしょう。

出演作で印象深いのは77年の横溝正史映画『獄門島』、あとやはり84年の宇野千代原作、市川崑監督『おはん』でしょうかね。どちらも共演石坂浩二さんなのは偶然でしょうが、後者は吉永小百合さんのタイトルロール・おはんと、石坂さんを奪い合うやり手の芸者おかよ役で、「男のいらないお人は、何処なと去(い)たらええ、うちは男がいるんや、男が欲しいのやという終盤の台詞は、ほぼ原作通りなのですが、演じるのが大原さんでなければまず言えない、脚本にも入れられない台詞だったと思います。

可愛らしさのあるオトナの女性と言っても、『おはん』で38歳、『獄門島』の77年にはまだ31歳だったわけです。2009年時点で38歳の女優さんといえば、それこそ不本意にもいま注目の酒井法子さんをはじめ、藤原紀香さん中島朋子さん檀れいさん木村多江さん和久井映見さん永作博美さん工藤夕貴さん吉本多香美さん牧瀬理穂さん高田万由子さん…などですが、当時の大原さんと引き比べると、大原さんはむしろ老成していた、と言って語弊があれば、女性として女優として成熟度が高かったと言うべきかも。

いま、たとえば藤原紀香さんを……いや待て、無理だな。うーん……そうだ、永作博美さんを、おかよ役に充てての『おはん』も、想定ならできなくはないでしょうが、ずいぶんとトーンの違う作品になるでしょう。当時は映画にせよドラマにせよ、劇中世界そのものがいまよりはるかに成熟した空気感でした。

高齢家族その2は、TVドラマとしてはたぶん最後のご出演であろう、04年暮れの放送『十津川警部シリーズ ~東北新幹線はやて殺人事件~』を、渡瀬恒彦さんとの“元・夫婦”共演というところに女性週刊誌的興味を持って、観たそうです。役柄的にどうこうより、大原さんの映る場面ごとに強烈に紗がかかったりライト飛ばしがきつかったりで、なんだか観てていろんな意味で気の毒になったと言っていましたね。別に面識はないし名誉を守ったりフォローしたりしてあげなければならない立場じゃないけれど、「いろんなことを割り引いてもかわいくて綺麗で、“ザ・女優”な感じは失せていなかった」とも。十津川シリーズは再放送で何本も観ているけれど、これは月河は未見だなあ。今般の訃報で追悼再放送はないかしら。『おはん』ももう一度、DVDでも再見したいですね。

死に際を見届けた人はいなかったわけですが、小康を得て突然に訪れた、苦痛のない最期だったと思いたい。ご冥福をお祈りします。今夜は全員SUNTORYレッドで黙祷。

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杏…は暑いですね

2009-08-06 23:49:30 | 昼ドラマ

有名人の薬物逮捕が続いたからというわけではないんですが、ときどき思うことがあるんです。

「なぜ覚せい剤や麻薬や幻覚剤は違法なのに、酒ならいいんだろうか」。

“服用量”や体質的個人差はあっても、用いた人の理性判断力を鈍らせ、昂奮させ攻撃性を増し、対人・社会規範を逸脱せしめ、時に自他の生命を危うくする犯罪をも誘発、連用するうちに断ちがたい習慣性、中毒のスパイラルにはまって、やがては心身の健康を、最終的には不可逆的に損なうという点では、ヤク・ハッパもアルコールも五十歩百歩、目糞鼻クソのような気がしないでもない。

月河も含めお酒の愛好者はこういう比較の段になると決まって「量を過ごせばそりゃ問題だけど、ほどほどの酒は気分を明るくして友達でも同僚でも親睦を深めるし、明日の仕事への活力にもなるんだからいいんだよ」とか何とかエクスキューズつけるけど、ヤクやハッパの愛好者だって「ほどほどタシナメば気分が明るくなるし、アイディアややる気がわいてくるし、売り手に買い手、仲間との絆も大いに深まるぜ」と思っているかもしれない。

 違法か合法かは、まぁ素人的直感で言えば、人格を損なうほどの中毒に陥る速度と習慣性の抜き難さで線引きがされているのでしょうね。

それでも、“泡の出るalc.4.5%350ml缶”なんてぇお茶の間仕様の、小市民そのものな、ふにゃらけたやつを飲むときでも、「コレだってとことん飲んだら急性中毒で死ぬんだよな」と、ほどほどの緊張感を味のスパイスにすべく“危険な匂い”を敢えて思い出してみることはあります。

「人間のカラダは害なものは拒否するようにできているから、死ぬ前に一応吐くけど」とか。

 もっとヒネクレた見方をすれば、ヤクハッパが非合法で、酒が合法なお茶の間商品とされたのは、結局“その製造取引販売を生業とする人の数の多さ”“その業者たちが持つ行政立法への影響力”の差ではないかなとも思います。ヤクハッパも医薬品としては大勢の業者さんの生業となっているでしょうけれど、嗜好品としての市場価値がどれだけの人間、及びそのご家族の生活や子弟の教育や老後を支えてきたか、現に支えているかという点では、“酒造業”“酒類卸販売業”の伝統と歴史には及ばないのではないでしょうか。

 タバコがこれだけ健康に害がある、重い病気のリスクを高める、寿命を縮める、環境を汚染する、まだ生まれてもいない胎児にも悪影響がある、といろんな媒体でクチを酸っぱくしてアナウンスされていても「そんなに百害あって一利ないなら、タバコの栽培製造取引をいっさい禁止し、地球上からタバコというものを根絶しましょう」という論調にはならないのは、何だかんだで“タバコに関わることで食っている人たち”の人数がすでに多すぎて、いきなり彼らを路頭に迷わせることはできないし、選挙における彼らの票も無視できないからだと思う。

結局人間社会において、人数が多く声の大きいものは、無くはならないし、大手を振ってまかり通り続けるのです。

 624日発売のTVブロス627日号巻頭特集「ああ気持ち悪い!他人のブログ」に、かつての(いまもか?)ネット界の寵児で、数々の“炎上”体験を持つホリエモンこと堀江貴文さんのインタヴューが載っており、堀江さん「いま“なぜ朝食には納豆なのか”という問題提起をしている」とのこと。

堀江さん「イソフラボンがどうとか栄養があるとか言うけど、カラダにいいものは他にもたくさんある」「歴史をたどって行くと、水戸の納豆業者が全国にマーケティングをしてね、どうやったら納豆が流行るのかってことを、バレンタインチョコ的に広めたんじゃないかと思うんですよ」とさすがは元・ネットコマースの雄だけあってそこそこ鋭く分析されていますよ。

日本は日本でも西日本の人はおしなべて食習慣に納豆がないし、九州は福岡生まれ、福岡育ちの堀江さん、媒体で「健康のため納豆推奨」の論調を見かけるたび“こんなに美味しくないものがなぜこんなにメジャーで良いぞ良いぞと喧伝され、みんなそれに乗って買って食べてるのだろう?”と疑問に思っておられた様子。堀江さんの思考としては自然に“マーケティング”の潜在暗躍に思い至ったのでしょう。

“炎上”体験豊富な堀江さん、「子供の頃は納豆なんて食えなかったけど、いまは明太子を混ぜるとうまいと思える(←さすが福岡人)程度には食べれる」とフォローしてますが、インタヴューを「もっと栄養のあるモノってあると思うんですよ!」で〆ておられますね。とにかく、世間的賛否や合法/非合法の区分根拠には、サイエンスや合理ではなくすぐれて人文的な、アナログなナニモノかがあるということです。

『夏の秘密』49話。このところ杏子(松田沙紀さん)の動きがますます半径を拡げ、アグレッシヴに闊達になってきましたね。ビジネスパートナーとして、修業時代をともにした戦友としても、表向き紀保(山田麻衣子さん)の信頼を得ているだけに、翻弄される龍一(内浦純一さん)は巻き込まれ被害者のよう。紀保と龍一を引き離そうとなぜか策動を繰り返していましたが、48話で「…死んだ女よりも もっと哀れなのは 忘れられた女です」というマリー・ローランサンの詩を紀保に引用して聞かせていました。ローランサンと言えば画家、詩人として、あるいはギヨーム・アポリネールとのそれこそ“同志”的関係でも文学史上有名ですが、結婚経験者でもあるにもかかわらず本質的に“女性が好き”な女性だったことでも有名です。やはり杏子は本質としてそっち系の人なのかな。

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