★トランプさんの話で騒がしかったが、今度は金正男が毒殺されてそんな話で持ちきりである。昨日は、アメリカのダムが決壊するかも知れないというニュースを紹介したが、こんなニュースは『大したニュース』ではないと錯覚してしまうような感じである。
そんな中で、東芝が7000億円の損失で『債務超過』に陥ったという大ニュースも流れたのだが、周囲が大きなニュースばかりなので、その注目度も割引されてしまうようである。
『東芝』は どんな会社なのか?
松下・ソニー・シャープ・東芝などなど我が国の一世を風靡した『弱電業界』の優良会社の一角だとは思っていたのに、そんな『弱電業界』がこのところ盤石ではなくなってきているのである。
なぜ、そんなことになってしまうのだろうか?
これらの大企業をここまで持ってきたのは『Top経営者』たちの素晴らしさがあったのだと思うが、昨今の低迷は、逆に『サラリーマン経営者』ばかりで全然『経営者らしくない』ことが原因なのだと思っている。
どこかの企業で3代の社長が、会社の経営数値を誤魔化したという、まさに『サラリーマン経営者』そのモノということがあったのだが、アレが東芝だったのである。
超一流企業で、立派な学歴もありアタマもいいと思われる方たちなのに、その経営スタンスはその辺の一般サラリーマンと変わらないというか『基本的なご自身の経営哲学』をお持ちでないのだと思う。ご自身の担当期間だけいい数字を残そうとされるのが問題なのである。
★あの時点では、それぞれの社長の任期中の経営数値をちょっと『黒字化』するために触っただけという認識だったが、今回の7000億円という赤字の額は、各期の経営数値を並べてみると、『桁が違う』のである。
★ネットの中に何かないかな? と思って調べていたらこんな記事に出会ったのである。
世間を騒がせている東芝の粉飾決算問題。
これによって歴代3社長が辞任するという事態となりましたね。このNEWSの衝撃は日本国内だけでなく、海外でも大きな波紋となっています。メディアでは「社長辞任」とか「粉飾決算発覚」みたいなことばかりで中々全容を掴むことが難しいですよね。
今回はこの東芝問題についてわかりやすく説明していきたいと思います。
東芝問題とは?
この問題は2015年の4月に表に出てきました。実際には内部通報で2月に発覚していました。その内容は「2009年6月~2013年6月に始まったとみられる東芝の営業利益のかさ上げで、最大2000億円規模に膨らむ可能性が出ていた」というものです。これは俗にいう不正会計の可能性ですね。不正会計とはその名の通り、実際の利益とは異なった金額で会計されていたいというものです。収支を偽装するというもので粉飾決算という表現をすることも多いですね。典型的なものは損益計算書の経常損益を意図的に操作して、企業の経営成績を隠蔽し実態より良く見せることが目的とされます。東芝もこの不正会計を行っていたということで調査を開始しました。そして、7月20日に調査書が公表されました。2014年3月期までの営業利益の水増しは1700億円を超える規模になると見られています。さらに最終的な損失額は全体で3000億円規模にまで達します。
そもそも不正会計をする背景には「赤字決算は信用不安を招き、営業上不利になることが多い」ことが影響しています。こういった事態をさけるために行われるのですが、投資家からしたら大迷惑ですよね。投資家は会社が開示した有価証券届出書などは正しいという前提で投資しています。
デメリットは”判明した際の社会的信頼が著しく低下すること”でしょう。
この会計問題ですが、3代に渡る経営トップが責任を問われる異例の事態となりました。そう、つまりは3人の社長が不正会計に関わっていたということですね。経営陣が「チャレンジ」と呼ばれる高めの利益目標を設定して、これを必ず達成するようプレッシャーを与えていたと言われています。組織ぐるみでの隠蔽といえますね。ただし、東芝は刑事事件化の可能性は低いとみられています。市場を欺こうとする悪意がなかったからです。大量の赤字を抱えながら嘘をついていたわけではなく、東芝は不正会計が行われなくても黒字だったとみられています。営業利益も1兆円とみられており、騙そうという目的はなかったと判断されています。
★この記事が書かれたのは、いつだったか3人の社長さんがアタマを下げたころのことだと思う。多分その時にも現在と同じような7000億円の赤字になるような事態にすでになっていたのだと思うのだが、そのことには触れられていないのである。
実態はそうであっても、多分その時点でトップの人たちはその事実を掴んでいなかったというか、そこまで『報告がされていなかった』のではなかったのか?結構、大企業のトップまで、『ホントの実態報告』が行かないことも多いのである。
大なり小なりサラリーマン経営者が経営する大企業の中にはこんな体質は眠っていて、それが表に出て急に予想が狂ったりするのは珍しいことではないのである。『資金繰り』を実際にやらない事業部経営などではこんなことになり勝ちなのだが・・・管理損益でアタマのいい人が『陥りやすい』盲点だと思っている。
今回の対策もこのままでは『倒産』だからとにかく『資金を集めなければ』存続しないのだが、銀行は融資するとは言っているが、半導体事業の一部株式の売却益で自己資本を拡充する方向だという。ひょっとすると有望事業の『半導体事業』そのモノが出て行ってしまうことになるかも知れないのである。
『経営者の経営責任』なのだが、まさかこんなことになるとは思っておらなかったのだとは思うが、これは大変な事態なのである。
★私自身は、末端の販社が実際の経営に当たる二輪業界の中にいたので、若い頃からずっと会社経営ばかりをやってきた。確かに台数も追っかけたが、それ以上に、バランスシートの中身がよくなることばかりを目指してきて、ずっとそれは実現できていたのである。『無借金経営が実現』していたし、総資本は年に4回転も回転していたレベルだったのである。
経営を担当する以上、単なる期間損益の黒字などだけではなくて、『従業員の生活・人生』を左右することにもなるので、自らの実績だけでなく確りした経営理念を持ってほしいものである。
つい先日、かって川重の社長をしていた田崎雅元さんと長電話をしたのだが、
彼が川重の社長をした時期は、なかなかムツカシイ時期だった。ちょっと背伸びして無配が続いた川重だったが、田崎さんの時代に結構中味を綺麗にして、確か関係会社を含めて全グループが黒字になったりした。田崎さん、技術屋のくせにバランスシートがよく解るのである。赤字で苦しんだ当時のアメリカの販売会社KMCを黒字にした時の経験が生きたのだと思う。結構ドライで『造船を子会社に分社』したりしたのでいろんな雑音も出るのだが、『中身をいい方向に立て直した』と私自身は思っている。
そんな昔話をしていたのだが、なかなか大会社の経営はトップに『ちゃんとした想い』がないと、東芝でもこんなことになってしまうのである。かって川崎重工業の屋台骨を長く支えた『造船』が今はムツカシイとか、世の中の変化は激しいのでその経営もムツカシイのだが、先日田崎さんとの雑談で出た『あまり高い数値目標』を『サラリーマン経営者に与えるとダメ』だなというのは真理である。
『高い数値目標』を立てることは簡単なのだが、落とし穴もある。それを確りと受け止められる経営者がなかなかいないのが現実で、東芝の悲劇は間違いなく、高い数値目標を追っかけた結果 なのである。
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