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CLASSIC ROCKを聴こう! PLUS

1960年から1980年代のロックを紹介していきます。またPLUSと言うことで、ロック以外の話題も!

ジョン・メイヤーは何処に向かうのか

2015年08月16日 | AMERICAN ROCK/POPS
2001年、ROOM FOR SQUAREを引っさげてデビューし、売上で4Xプラチナを記録した。

ハスキーとまでいかないが、スモーキー・ボイスとでも言ったらいいのか、少し霧かかったような声で、ポップ寄りのジャズ・シンガーのようにスムーズ歌う。その歌唱に素晴らしいギター・ソロが絡み、さらに若くてハンサムな容姿で一躍スターとなった。

それから12年と時は過ぎ、2013年の出したPARADISE VALLEYが彼の最新アルバムである。前作から少し路線が変わり、ポップやブルースからルーツ・ミュージックに重点が置かれたようだ。喉の手術をした影響なのか、以前のファルセット気味の高音での歌唱はなくなり、また曲調もスローやミディアムなテンポが増えた。

この変化をいったいどう捉えればいいのか?  デビュー当時のファンにとっては、彼の新しい音は、地味で物足りなく聴こえたのだろうか? このアルバムの売り上げは、ファーストの売り上げ4Xプラチナの約十分の一になった。初期の音に惹かれ、それをこのアルバムに期待したファンがいなくなってしまったのだろうか?

しかしながら、売り上げが大幅に落ちたからといって、そのアルバムの出来が悪いとは必ずしも言い切れない。メジャー・デビューから10年以上経っているのである。その間に得られた何らかの経験や教訓などが、彼の音楽における方向性に影響を与えたのかもしれない。

このアルバムからは、デビュー当時に有った黄色い声援は想像できない。 音楽的には異なるが、マーク・ノップラーの最近のソロ・アルバムと同じように落ち着いた雰囲気であるし、アルバム全体で約40分と無駄に曲を長くせずコンパクトにまとめたのは、私としては非常に好感が持てるのである。

ミュージシャンに取って、コマーシャル的に成功することは、音楽で生計立てていくためには非常に重要なことであるが、常時コマーシャリズムに従って、売れ筋の同じような曲ばかりを作ることを“よし”としない時もあると思う。

似たような例として、1972年に“魔法の黄色い靴”でデビューしたチューリップというバンドは、2枚のオリジナル・アルバムと数枚のシングルを出したのだが、思うように売れず、最後のトライとして1973年に“心の旅”というシングルにバンド生命を賭け、これが大ヒットして首の皮がつながった。

“夏色の思い出”と“銀の指輪”という、姫野達也の甘いボーカルを全面に出した“心の旅”と同じようなコンセプトのシングル、そしてベスト・アルバムを矢継ぎ早に出し、人気を一気に固めることに成功した。

スウィート・ポップ路線を含む、コンピ・アルバム、チューリップ・ベスト

その当時のライブ盤を聴くと、その反動としてコンサートでは黄色い声が飛び交いチューリップはアイドル・バンド化した。もちろん人気が出て、レコードが多く売れるに越したことはないが、アイドル・バンド扱いには、彼らも違和感を感じたのだろうか?

1974年発売のTAKE OFFと言うアルバムから、一連のスウィート・ポップ路線から外れた、ビートルズのLONG AND WINDING ROADのようなしっとり落ち着いた“青春の影”をシングル・カットした。チューリップは、当時アルバムからあまりシングル・カットをしないような主義だったみたいだが、この時は、プロデューサーの反対を押し切ってまでアルバムからこの曲をシングルとして出し、自己主張したのである。

スウィート・ポップ路線から脱却? 歌詞の内容は、アダルト・コンテンポラリーの路線。サウンド的にはポール・マッカートニーのような曲や、バッド・フィンガーのようなハード・ポップ路線。

話は戻って、ジョン・メイヤーのPARADISE VALLEYは、あくまで2013年の時点において彼が表現したかった音楽だったと思われ、彼にとって 通過点であり最終の目的地ではないと思う。

クラッシック・ロック・ファンとしては、レイナード・スキナードが以前にカバーしたJ.J. CALEのCALL ME THE BREEZEを軽やかにカバーし自分のものにしている所に特に惹かれる。スタイルが多少変わろうとも、自身の音楽に付いてきてくれるファンには、“今後とも是非よろしく”と言っているようなカバーである。

いつ出るのかは判らないが、次のアルバムでは、彼はどのような音楽を作り出すのか非常に興味深く感じる。

John Mayer - Call Me The Breeze