CLASSIC ROCKを聴こう! PLUS

1960年から1980年代のロックを紹介していきます。またPLUSと言うことで、ロック以外の話題も!

最近のエルトン・ジョン

2016年03月02日 | ELTON JOHN
助手:博士! エルトン・ジョンの最新作、WOUNDERFUL CRAZY NIGHTってアルバム、もう聴きました?

博士:さっき買って来て聴いてみたよ。なんと、数えてみたらこのアルバムで32枚目のソロ・スタジオ・アルバムで、ライブ、サントラそしてコンピ盤全て入れれば膨大な数のアルバムを出したことになるのう。

ファースト・ソロのEMPTY SKYを1969年に出してから45年以上第一線で活動してきたのには恐れ入るわい。

日本では、EMPTY SKYは翌年の1970年に出されたのじゃが、その頃は、中坊で学校のクラブ活動に身を入れすぎて、エルトンなんて歌手全く知らなかったぞ。ただし、IT’S ME THAT YOU NEED(イエス・イッツ・ミー)はエルトンが歌っていたとは知らずにラジオで聞いたことがあったような…

わしの場合は、そのデビューから2-3年経った頃の後追いのファンじゃな。

助手:今回のアルバムはいかがでした?

博士:昔のようなノリの良いアルバムだと評価する人も数多くいるようだ。しかし、辛口と思われるかも知れないが、わし的にはアルバムの内容は、まあ及第点レベルじゃないかと考えるのじゃ。

年をとれば仕方のないことなのだが、残念ながらオナラの音を除いて、ほとんどの人の声は衰えてしまうのじゃ。

エルトンとて例外ではなく、ここ10年ほどに出たアルバムにおいては、70年代全盛期頃のファル・セットを含めた高い声は出なくなり、低音一辺倒の歌唱になってしまっておる。

アルバム、MADMAN ACROSS THE WATERの頃のポール・バックマスターの重苦しいストリングスに負けない熱唱、DANIELのサビの部分の裏声、SATURDAY NIGHT’S ALIGHT FOR FIGHTINGでのロック調シャウト、そしてアップ・テンポの楽曲などを、昔のクオリティーを期待するにはちょっと厳しいかのう。

そうなると、今出せる声量や音域に従って、自身が十分消化できるテンポの楽曲を作曲しそれを歌唱すると、どうしても似たり寄ったりになりがちじゃ。

だから最近の新譜のアルバムが出たとしても、曲のイントロを聴いただけで、どのような感じの曲になるか、なんとなく推測出来てしまうのじゃよ。いい意味で期待を裏切るような事があまり無いのが残念といえば残念じゃよ。

助手:じゃあ、今回のCD制作に関して、なにかターゲット的なものが設定されているのですかね?

博士: 最近洋楽を聴くことに目覚めた中高生や20から30代の若い世代が挙ってこのCDを買うことは多分ないと思うのだが。

わしらが中高生の時は、若いエルトンがとびきりのバラッドやロック・ナンバーをガンガン歌っていたので、当然その世界に引き込まれたのじゃが…

助手:となると、70-80年代からエルトンのアルバムをずっと聴いてきた40代以降のファンに向けたものですね。まあ、長年ファンを続けてきた人ならば、エルトンが元気で新譜を出したり、ライブ活動をやってくれるのであれば、1986年のアルバムLEATHER JACKETSのような駄作でない限り、躊躇しないでこのCDを買っちゃうのではないかと言う事ですかね…

博士: デビューからLEATHER JACKETSも含めた殆どのアルバムを漏れなく購入してきた身としては、やっぱり往年の名曲に匹敵するような曲が入ってないかと、新譜が出ればつい期待をしてしまうのも事実じゃ。

いつかグッドバイ・イエロー・ブリック・ロードに匹敵する、誰もがその出来に唸ってしまうようなアルバム… もちろん過去の成功にしがみ付くことなく、いい作品を是非作って欲しいと思うのじゃよ。

助手:なるほど、なるほど。ファンの気持ちって結構複雑なんですね。

博士:“なるほど”は一回でよろしー だけど、エルトンの新譜は最低5回は聴いてほしいのう。

CCCDとデビッド・ボウイー

2016年03月02日 | Bowie, T.Rex, Hoople and Glam.

デビッド・ボウイーが亡くなって、来週で2カ月となる。時が過ぎ行くのはなんと早きこと。

久々に手に取った彼のアルバムが1978年のライブ盤“ステージ”。

基本的に、グラム時代を締め括った“ダイヤモンドの犬”以降のアルバム、ヤング・アメリカンからヒーローまでを中心とした選曲されているのだが、そこに唐突ではあるが“ジギー・スターダスト”からも5曲が披露され、ノスタルジックな味わいも楽しんでもらおうと言う構成になっている。

プラスティック・ソウルやベルリン時代からファンとなりコンサートに来た人もいるかも知れないが、当然昔からファンだった人もそこに来ていただろうと思うわけで、 やっぱりライブには馴染みの曲も必要と考えたのだろう。

昔、よく尖っていると言われたアーティストであれば、“古い曲はやらねーよ、新しいのを楽しんでってくれー”と我儘を言ってしまうのだが、さすがはボウイー、よく分かってらっしゃる。

オリジナルは2枚組のレコードとして発売され、景気付けという意味なのか、懐かしのジギーからの5曲が、一枚目のサイドー1、すなわちアルバムの頭にすべて収められている。実際のコンサートのセット・リスト通りにベルリン時代の楽曲からスタートするアルバム編集となると、全体的に暗く地味に聴こえるのではと危惧したのだろうか?

2005年にボーナス・トラックを付けリマスターされたCD2枚組が発売された。それは、コンサートのセット・リスト通りの収録に変更され、一曲目のインスト・ナンバーのワルシャワがクラッシックの序曲のように静かにゆっくりと進行し、コンサートが始まる。

やはりコンサート通りの進行で収録されたCDは臨場感があり、徐々に盛り上がっていく様子が伝わるのではないかと…

アルバム・チャートを見ると、全英5位を獲得したのだがアメリカでは44位と振るわなかった。

1974年に“ダイヤモンドの犬”のツアーの模様を収録した“デビッド、ライブ”が8位だったことから、どうもアメリカ人は派手なボウイーを好むようであり、ヨーロッパのリスナーとの嗜好の違いがチャート・アクションによく表れていて興味深い。

ちなみに、発売当時購入したのはEMIから出たヨーロッパ仕様のCDで、米盤(バージン・レーベル)に付属していたブックレットはなく、蛇腹式の特殊パッケージの裏表に写真や解説を載せている。



また、英EMI盤は当時悪名高かった、コピー・コントロール・CD(CCCD)での販売で、意図的に間違ったエラー訂正コードをCDのデーター内に埋め込み、従来のCDプレーヤーの読み取り補正を十分に機能させない仕組みとなっていた。(読み取りエラー仕向けてPCにリッピングさせない仕組み)

当方所有のPCではこのCCCDは問題なくアイチューンに取り込むことが出来たのだが、それらの音源のデーターが正確にリッピングされたかどうかは定かではない。

10数年前、違法ダウンロードによりCDの売り上げが落ち込むことを業界は恐れ、CCCDなるものが登場したが、今や16ビットのCDは時代遅れの規格で、さらにハイレゾ・ダウン・ロードでさえ手間になるとのことで、ストレージ不要のストリーミング配信が今後主流となるかもしれない時代へと突入した。

10年ひと昔とはよく言ったもので、当時の最新のコピー防止機能を持ったCCCDの登場なんて今は昔、ボウイーのこのアルバムを手に取ると、時が経つのはあっと言う間だと実感する。

“ステージ”ってアルバム、ついこの間買ったような気がするのだが…