昨晩の「その時歴史が動いた」は、御木本幸吉だった。
世界で初めて真珠の養殖に成功した人である。
真珠は、アコヤ貝が貝の中に入ってきた異物から自らを守ろうと出す分泌液が固まってできたものである。
御木本幸吉が養殖真珠を始める前は、たまたま入った異物(砂とか)が元となっていたために、真珠の形は疎らであった。
しかし、御木本幸吉は真円で球体の真珠を養殖することに成功したんである。
特権階級の女性だけが愛することができた真珠。
それを養殖を成功させることにより、多くの女性に愛されるものにした。
彼の執念は凄まじかった。
うどん屋から真珠研究者にリクナビNEXTしたものの、借金は嵩むし、愛妻うめは死んじゃうし、やっと養殖に成功したと思えば、ヨーロッパの宝石商からは「こんなの偽物だ!」と国際裁判にかけられるし…。
アンラッキーの連続だった彼だが、国際裁判に勝って、戦後は真珠王になれた。
めでたし、めでたし。
「その時」とは、国際裁判に勝てた日「1924年5月」。
御木本幸吉の偉大さもさることながら、VTRに流れていた真珠の美しさにうっとりしてしまった。
完璧な巻き、照り、…嗚呼、夢見心地。
欧米では、娘が生まれると真珠を一粒買い、誕生日ごとにまた一つまた一つ…と増やし、成人する頃にその真珠をネックレスにするという習慣があるらしい。
真珠1粒の大きさ8.5ミリ×20年…17センチにしかならないんだが…。
首回りってだいたい40センチぐらいはあるから、どんだけ買い足さなければいけないんだろ、とか思った。成人という概念が、欧米と日本では差があるのだろうか。
真珠は、痛みから自分を守ろうと流した貝の涙みたいなもの。
そして、御木本幸吉のバイタリティーが詰まっている。
美しくないはずがない。