世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

巣立ち

2009年04月08日 21時59分05秒 | Weblog
午後、新卒たちが各店舗に旅立っていった。

桜の降る中。

決して心象描写ではなく、実際に散り始めの桜の中を彼らは巣立っていった。

制服の試着の時に、仲良くなった新卒の子たちがいた。
関西から来ている子たちだ。

以前、無計画に大阪に行ったとき、泊まる場所が無かった私は、健康サウナで一泊したことがあった。
サウナの喫煙所でのおばちゃんたちの会話がそのまんま漫才だったのを思い出すぐらい、その子たちの会話はやはり関西独特で面白かった。
別に聞き耳を立てていたわけではないんだが、つい笑ってしまった私。

「普段からこんな会話しとるんですよ」
と言っていた。

「母に送りたいので、制服姿で写メを撮ってください」
とせがまれて、こっそりと撮影してあげた。

今日の巣立ちの際、もう一度、関西たちの子たちとすれ違った。

桜の降る中を走ってきた。

「もう一度、〇〇主任(私)に会いたかったです。2ヶ月後の研修でもまた会いたいです。明日から制服着て頑張ります!」
と聞きなれないイントネーションで話す彼女たち。


違う。
違うのよ。
私なんて。
全然ダメなの。
包装できないしレジもマトモに教えられなかったの。
研修の講師なんて、嫌々やってたの。
「なんで私が?」って、いつも腹の底で思っていたの。
そういう女なの。
ごめんね。


彼女たちのまっすぐな瞳を直視できず、ちょっと涙ぐみそうになった。

握手をしてさよならをした。

夕方。
書類を作成する傍ら、
「関西組の新幹線は大阪に到着しただろうか」
と、気になった。


桜はもうすぐ散ってしまう。
でも、私の胸の中には枯れない花が確実に咲いたもよう。
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