頑固爺の言いたい放題

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洗浄式便座

2014-07-16 14:13:15 | メモ帳

最近読んだ≪英国一家、日本を食べる≫という本に次のような一節があった。

 僕らが滞在した家(注 京都滞在中に借りていた家)はほぼすべてが古風な様式だったが、ただ一つアポロ13号よりも進んだ超小型演算装置が使われている場所があった。それは水洗トイレだ。…すぐになんでも触ってみたがるアスガー(注 6歳の息子)が、コントロールパネルについている、お尻をすっきりきれいにする洗浄ボタンの機能を調べ始めるのに時間はかからなかった。その後アスガーはこのトイレに夢中になり、京都にいた3週間、しばらく姿が見えないと思ったら、必ずといっていいほど、そこにいた―便座に座って、夢見るようなうっとりとした笑みを浮かべているのだ。

 この一家に限らず、日本に来た外国人旅行者は例外なく、洗浄式便座が気に入るらしい。それならば、帰国してから自宅用に購入しようとするはずだし、ホテルも導入するはずだ。しかし、去る6月にハワイに旅行したとき泊まったワイキキのロイヤルハワイアンホテルには洗浄式便座がなかった。昨年滞在したグアム島のハイアットホテルも同様。

 以前読んだマーケティングの教科書に次のような話が載っていた。

米国のある靴メーカーが発展途上国に二人のセールスマンを派遣した。その一人は帰国後「この国では皆裸足だ。莫大な需要が見込める」と報告し、他の一人は「この国ではみな裸足だ。まったく需要は見込めない」と報告した。

 つまり、需要予測は考え方次第というわけだ。では、靴の代わりに洗浄式便座を当てはめたらどうなるか。上に登場した英国人一家といい他の旅行者といい、価値を認めているのだから、外国には無限の需要あり、と考えていいだろう。ところが、実際には外国では洗浄式便座が普及している様子がない。メーカーの努力が足りないのではなかろうか。