頑固爺の言いたい放題

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昔ながらのおでん屋

2015-02-13 16:38:20 | メモ帳

銀座にやす幸というおでん屋がある。30年ほど前に何度か足を運んだが、その後は長らくアメリカいたこともあり、訪れる機会がなかった。暫くぶりに行ってみると、店のたたずまいといい、タネといい、京都風の薄味といい、昔と変わりないことに懐かしく、感激。それに、この店のタネはすべて手造りと自慢するだけあって、凝っている。とくに、ツミレとガンモドキが秀逸。

問題はお勘定だ。メニューにも、そしてホームページにも、単品の値段が書いてない。アルコールの値段もなし。家内と二人でひたすらおでんを注文し、お銚子を3本飲んで(家内はワインのハーフボトル)、お勘定は2万円ほど。

多分そんなところだろうと思っていたから、金額には大して驚かなかったが、違和感があったのはその勘定の出し方。手書きの数字を書いた小さな紙ペラを渡された。クレディットカードもだめ。値段を表示すると、店の格が落ちるのだろうか。

そういえば、昔もそうだった。しかし、当時はバブル真っ盛りだったし、女性がはべるクラブでも、ウン万ウン千円と書いた小さな紙を渡されるだけだったから、おでん屋で同じことをされても気にならなかったのだろう。小さな紙にチラと目をやり、「おう、そうかい」と鷹揚にうなずくのが粋とされる時代だった。しかし、世の中は大きく様変わりした。

やす幸の客は年配者ばかり。それも圧倒的に男性が多い。寿司屋にもこういう店があるが、これでは若い客は来ない。勘定書きを見るまでいくらなのか見当がつかないのでは、ましてやクレディットカードもだめでは、恐ろしくて来る気にならないだろう。経営者は店の将来性をどう考えているのか。

日本の伝統料理がこれからも人気を保ってほしいと願う立場からは、気がかりなことである。