先週は月曜から金曜まで一週間の広州出張。出張中は連日ディナーに招待いただく。中国の食事も大概のものは経験させてもらった。冬虫夏草もイナゴもヘーキ。毎回同じセリフを言って自分を納得させているのだ。折角のもてなしを台無しにしないよう上辺は平静を装う。しかし、今回は新たな強敵が出現した。それは直径25cmほどの薄めの素焼き鉢にオーブンで焼かれた卵とじ。食材そのままの姿の料理が多いなか安堵をおぼえる。鉢には匙が添えられていた。適量をすくって自分の皿に取る。玉子を箸で割ると何やら長いものが絡まっていた。よく見ればそれは大きなゴカイだった。ゴカイとは釣り餌で使う「青イソメ」(青ケブ)。海釣りに凝っていた頃、1パック500円ほどで買い求め、釣り針に差しては投げていたアレだ。そのゴカイが姿もそのままに卵に絡まっていた。自分の皿にとってしまった責任もあり覚悟をきめていただく。ゴカイ自体に香りや風味はなく味は出汁卵のもの。食感はヘナヘナで太めの柔らかいエノキ茸のよう。帰国後に調べて判ったのは「炖禾虫」というれっきとした広東料理だった。広東料理はゲテモノ料理が多いとの説明に納得。確かに店先には生きたシマヘビやワニの尻尾のブツ切り、バケツにはゲンゴロウが泳ぎ白鳥の丸焼きが吊るされている。もしや店で放し飼いされている痩せた犬は大丈夫なのかしら。帰りの飛行機で「孤独のグルメ」を観て疲れた心を落ち着かせた。
「炖禾虫」レシピ
「炖禾虫」レシピ
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