大阪府の吉村洋文知事、松井一郎大阪市長、医療研究者らが会見で、殺菌効果のあるうがい薬の成分「ポビドンヨード」で、新型コロナウイルス感染症の治療効果が期待できることを確認した、と発表したらしい。
テレビ番組では、「ふつうのうがいをしたら5割陽性 ポピドンヨードでうがいをしたら2割陽性」と、テロップが踊る。
吉村知事らは、そのうがい薬を使うと、唾液のなかの新型コロナウイルスが減り、人にうつしにくくなる可能性があるとして、本格的な研究を進めるという。
こういうことは、彼らがろくでもない政治家たちだからといって、ただ当てこすっても仕方がない。本当のことを知りたい。
「人にうつしにくくなる」というところだけ、意味があるようには、思われる。
うがいをすること自体は良いことである。殺菌力の強いうがい薬を使えば効果があるというのは、そうなのかと思う。だが、それは、別に今年になって言い出すようなことではなく、ただの「常識」ではないのか。
うがい薬を作る会社の株価は急騰、都内の薬屋に人が殺到、店頭から製品が消えたそうだ。そもそも2月以降ずっとフル生産を続けており、そもそも品薄な状態で、今後の入荷は未定という。ネット通販サイトでも品切れ、価格が高騰しているらしい。
製薬会社のウェブサイトによると、ポビドンヨードはヨウ素の酸化作用を利用した抗微生物成分で、殺菌消毒剤の影響を受けにくいと言われている微生物や細菌に対しても効力を発揮するという。ただし広報担当は、新型コロナに対する効果については検証する予定はない、とコメント。
ただ、ここが問題なのだが、データとされている実験の数値は、新型コロナウイルス感染症の軽症患者に対して行ったもので、感染していない人の予防効果については不明のはずである。
感染症の症状が改善したという意味ではなく、治療薬としての効果についても不明と考えられる。うがい薬でうがいをすると口の中にいるウイルスが一瞬いなくなったとしても、「体内からウイルスが消えるわけではない」。
京都大学による、全国18地域・約390名規模の調査でも、ヨード液には明確な予防効果が認められなかったという。
大切なことは、唾液でのPCR検査、抗原検査を受ける前にそのうがい薬を使用することで、「体内からウイルスが消えるわけではない」にも関わらず「偽陰性」を期待する動きを取り、きちんとした検出が出来なくなる場合があることだ。
検査の結果が不正確になるのだ。
現に、「大阪府立病院機構大阪はびきの医療センター」の松山センター長は、「うがいをしたあと、1時間程度でウイルスの量が再び増えるケースもある」と言っている。
だとすると、そのうがい薬で「陽性判定になるのを回避できる」という目的に使われる可能性も出てくるように、とれる。
吉村知事は「コロナが治るとは言えないが、これまで呼びかけていたつばの飛び交う空間で感染が広がるのを少しでも抑えることが期待できる」という言い方に変えて誤魔化したりはしている。
だが、吉村知事は「、ただただ、数値としての陽性者数を、減らしたいのだろう。
逆に、彼が本気で「ポピドンヨードがウィルスに効いている」と思い込んでいるとしたら、やはりこの人は政治家以前に、理性と常識の面で、信用できない、と考えるべきだろう。
アメリカのトランプ大統領は「消毒液のようなものを体内に注射してはどうか」と提案したと聞く。彼も突拍子のないことを言って、トランプにあやかろうとしたのかもしれない。
コロナウイルスはアルコール(70%以上)に弱いことがわかっているというから、70%以上のアルコールが売れていて、酒造会社も「飲めるアルコール」を売っているという話もあった。
もしも酒好きだとしても、七十度はごめんである。ただ「強い酒が効く」と言われても、困る。
情報は錯綜していて、国立感染症研究所や日本学校歯科医会等の資料も取り沙汰され、ポピドンヨードやリステリンは、新型コロナウイルスに効果があり、感染リスクを下げるという情報も、出回っては、いる。
リステリン。
私も使っているリステリンは、歯のためで、「喉うがい」には使わないはずのものだから、喉のウイルスには効かないような気がするが⋯⋯。
私も使っているリステリンは、歯のためで、「喉うがい」には使わないはずのものだから、喉のウイルスには効かないような気がするが⋯⋯。
ちなみに、写真の製品には、ポピドンヨードは含まれていないそうだ(だからネットで買えるのである)。念のため。