Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

ポピドンヨードのうがい薬で「体内からウイルスが消えるわけではない」にも関わらず、「偽陰性」を期待するのは、間違いだ

2020-08-04 | Weblog
大阪府の吉村洋文知事、松井一郎大阪市長、医療研究者らが会見で、殺菌効果のあるうがい薬の成分「ポビドンヨード」で、新型コロナウイルス感染症の治療効果が期待できることを確認した、と発表したらしい。
テレビ番組では、「ふつうのうがいをしたら5割陽性 ポピドンヨードでうがいをしたら2割陽性」と、テロップが踊る。
吉村知事らは、そのうがい薬を使うと、唾液のなかの新型コロナウイルスが減り、人にうつしにくくなる可能性があるとして、本格的な研究を進めるという。

こういうことは、彼らがろくでもない政治家たちだからといって、ただ当てこすっても仕方がない。本当のことを知りたい。
「人にうつしにくくなる」というところだけ、意味があるようには、思われる。
うがいをすること自体は良いことである。殺菌力の強いうがい薬を使えば効果があるというのは、そうなのかと思う。だが、それは、別に今年になって言い出すようなことではなく、ただの「常識」ではないのか。

うがい薬を作る会社の株価は急騰、都内の薬屋に人が殺到、店頭から製品が消えたそうだ。そもそも2月以降ずっとフル生産を続けており、そもそも品薄な状態で、今後の入荷は未定という。ネット通販サイトでも品切れ、価格が高騰しているらしい。

製薬会社のウェブサイトによると、ポビドンヨードはヨウ素の酸化作用を利用した抗微生物成分で、殺菌消毒剤の影響を受けにくいと言われている微生物や細菌に対しても効力を発揮するという。ただし広報担当は、新型コロナに対する効果については検証する予定はない、とコメント。

ただ、ここが問題なのだが、データとされている実験の数値は、新型コロナウイルス感染症の軽症患者に対して行ったもので、感染していない人の予防効果については不明のはずである。
感染症の症状が改善したという意味ではなく、治療薬としての効果についても不明と考えられる。うがい薬でうがいをすると口の中にいるウイルスが一瞬いなくなったとしても、「体内からウイルスが消えるわけではない」。
京都大学による、全国18地域・約390名規模の調査でも、ヨード液には明確な予防効果が認められなかったという。

大切なことは、唾液でのPCR検査、抗原検査を受ける前にそのうがい薬を使用することで、「体内からウイルスが消えるわけではない」にも関わらず「偽陰性」を期待する動きを取り、きちんとした検出が出来なくなる場合があることだ。

検査の結果が不正確になるのだ。

現に、「大阪府立病院機構大阪はびきの医療センター」の松山センター長は、「うがいをしたあと、1時間程度でウイルスの量が再び増えるケースもある」と言っている。

だとすると、そのうがい薬で「陽性判定になるのを回避できる」という目的に使われる可能性も出てくるように、とれる。

吉村知事は「コロナが治るとは言えないが、これまで呼びかけていたつばの飛び交う空間で感染が広がるのを少しでも抑えることが期待できる」という言い方に変えて誤魔化したりはしている。

だが、吉村知事は「、ただただ、数値としての陽性者数を、減らしたいのだろう。

逆に、彼が本気で「ポピドンヨードがウィルスに効いている」と思い込んでいるとしたら、やはりこの人は政治家以前に、理性と常識の面で、信用できない、と考えるべきだろう。
アメリカのトランプ大統領は「消毒液のようなものを体内に注射してはどうか」と提案したと聞く。彼も突拍子のないことを言って、トランプにあやかろうとしたのかもしれない。

コロナウイルスはアルコール(70%以上)に弱いことがわかっているというから、70%以上のアルコールが売れていて、酒造会社も「飲めるアルコール」を売っているという話もあった。
もしも酒好きだとしても、七十度はごめんである。ただ「強い酒が効く」と言われても、困る。

情報は錯綜していて、国立感染症研究所や日本学校歯科医会等の資料も取り沙汰され、ポピドンヨードやリステリンは、新型コロナウイルスに効果があり、感染リスクを下げるという情報も、出回っては、いる。

リステリン。
私も使っているリステリンは、歯のためで、「喉うがい」には使わないはずのものだから、喉のウイルスには効かないような気がするが⋯⋯。

ちなみに、写真の製品には、ポピドンヨードは含まれていないそうだ(だからネットで買えるのである)。念のため。

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半年前にはロビーコンサートが可能だった

2020-08-04 | Weblog
半年前、二月上旬、台本・演出で参加した、こんにゃく座オペラ『イワンのばか』を、開幕した。
この頃には、まだ、ロビーコンサートが可能だった。
観客と、うた役者・奏者たちが、入り乱れた。
本篇開演前の楽しい宴だった。
こういうことが、できていた。

こんな半年後を、あの頃には想像できていなかったのである。


みんなで「オペラの未来」を!こんにゃく座活動継続支援プロジェクト
https://camp-fire.jp/projects/view/299699?fbclid=IwAR3rWKGoDT9NetqXKXt2jIpauMKVUAMfjTWAn8y3w8S0vPPT5aDEmZit7Rg
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今でもあの街は、存在している 〜 自主観察期間を終えて 〜

2020-08-04 | Weblog
一昨日、以下のようなメールを『天神さまのほそみち』関係者に送った。

『天神さまのほそみち』公演に参加くださいました関係者の皆様。
公演につきましては、たいへんお疲れ様でした。
おかげさまで、御覧になった方からの評判も良く、私は読んでいませんが、読売演劇大賞の前半期を振り返っての座談会でも話題にはなっていたそうです。
公演が終わって、二週間となりました。
いってみれば、「14日間の観察期間」を終了するタイミングです。
とりあえず、関係者のどなたからもその後の発症や感染の報告はありません。
これでようやく、なんとかこのコロナ禍期、無事に公演を終えたと言うことができるのだと思います。(何かあるようでしたら、遠慮なく教えてください)
公演に際しましては、本当にお世話になりました。皆さん、本当にありがとうございました。
梅雨明け、猛暑の折、ご自愛ください。

⋯⋯で、とくに関係者から発症や感染の報告はなかった。
劇団員には道具等の返し作業があった公演終了翌日から数えての「15日め」も、無事に経過した。
関係者の誰からも、お客様からも、感染者を出さずに終えられた。

これでようやく「公演終了」ということになる。
本当に、おわった。
事業・イベント全体としての、千秋楽である。

ご来場下さった皆様、ありがとうございました。
そして、関係者の皆様、お疲れ様でした。


振り返ってみると、三月末、国際合作『安らかな眠りを、あなたに YASUKUNI』の上演を終え帰国したタイの演劇人メンバーたちは、自国に帰ってから14日間の隔離期間を、かなり厳密に守り、本当に家を一歩も出なかったようだった。
まあ、庭や、周囲の自然があって開放的なはずなので、日本でそうするよりは、ましだったろうけれど。その日を過ぎて、「私たちはまったく健康です、今日、自由になれます」と、連絡があった。
私たちも、いま、自由な気分かというと、そうでもない。
コロナ禍下の状況は悪化している。
私も、この半月、岡山に行ったのと、立石涼子さんにお別れに行った以外は、ほぼ隔離状態にあったが、かといって、これから外をどんどん動き回るというつもりもない。
事態は何も変わっていないのだ。


さて、思い起こしてみると、『天神さまのほそみち』は、街についての演劇だった。
境内で、どこから、いつの時代から来たとも知れない者たちが、露店を開いていた、あの街。
劇場に来てくださった方には、理解していただけると思う。
あの街は、あの75分の間、確実に存在していたし、お客様も、私たちも、そこにいた。

公演は終わったけれど、今でもあの街は、どこかにある。
それが演劇という現象の、想像力なのだ。


撮影・姫田蘭。
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