学校も、会社も新人が入ってきて、五月の連休も過ぎ、浮き立った感が次第に収まり、本格的に通常の流れに移ろうかというところだろう。
しかし、そんなところで置いてきぼりを食ったり、なかなか周囲に馴染めない者もいる。
そんな時は、学校(クラブ・部)や会社の目的をよく説いたうえで、自分でそれにキャッチアップするよう努力するよう命じて、しばらく静観するのが良い。
間違っても、首根っこひっ捕まえて引きずり回すようなことはしないことだ。
そんなことをしたら、今の若い人はたちまち逃げ出してしまう。
現代は、人間の成長の速度がいささか遅くなったのだ。
だから、オカブは18歳成人には反対である。
日曜の朝に早起きどぶ浚え 素閑
溝浚え藪蚊の朝日に照らされて 素閑
溝浚えしばらく叔父に居候 素閑
大ひなる溝浚えかな入日前 素閑
溝浚え清水の湧くを見入りけり 素閑
はしかの子熱のうたたか溝浚え 素閑
焼き結び溝浚えの日の振る舞ひや 素閑
村役のむじなに似たり溝浚え 素閑
裾あげて佳人の速足溝浚え 素閑
南西の雲湧き出でて溝浚え 素閑
掻くごとに老ひの増すやら溝浚え 素閑
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エルさんが運動会の準備で忙しく、毎晩、深夜まで帰ってこない。
あの子は不思議と身体が丈夫なので持っているが、普通だったらとっくに過労死レベルである。
ただ自分から積極的に仕事に打ち込んでいるので安心して見て居られる。
今の若い人は大変である。
オカブの若い時期よりも組織の管理は厳しく、またぎりぎりまで成果を求められる。
そんな中でエルさんは世の中を泳ぎ渡っている。
ただ見守るしかない。
弟妹もなく妻の炊く豆の飯 素閑
天保のいにしえ説く僧豆の飯 素閑
豆飯や富士の湖畔の夕景色 素閑
豆飯や岩のかたへの筧かな 素閑
小百姓代々受け継ぐ豆の飯 素閑
西銀座ガラスのビルの豆御飯 素閑
浪々と流れて故郷豆の飯 素閑
五月にぞ生まれて一家の豆の飯 素閑
英霊の三倍生きたり豆の飯 素閑
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昨日は程よい過ごしやすさだと思ったのに今日は暑い。
まだ猛暑というほどでもないが、オカブはこの程度の暑さでも降参である。
日本の暑い夏は、それはそれで様々な風物があるのだが、それにしても、その暑さには耐えられない。
至って無風流な野暮天である。
神殿を覆ふ黒き葉蜜豆や 素閑
良縁と思へど気迷ふ蜜豆や 素閑
早々に売り家の張り紙蜜豆や 素閑
去来の碑蜜豆食ひて由来知る 素閑
掛巣啼き蜜豆冷えて草しとね 素閑
芳名録書きていとまし蜜豆や 素閑
昼終わり鉋の音の蜜豆や 素閑
訪問着蜜豆ありて衣桁かけ 素閑
蜜豆や人を罵る場とならず 素閑
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暑い。ここまでくると猛暑である。
暑い中で、あれこれややこしく考える。
無駄な妄想である。
例えば言葉の本質とは、外延とは、内包とはとは何か?
これを下敷きに「平和」「人権」「平等」とは何か?
そんなことが頭を巡る。
どうでもよいことである。
「小人閑居して不善を成す」である。
やまひ得て妻のふたとせ麦の飯 素閑
竹垣に豆腐売るこへ麦飯や 素閑
墨染にあざやかうつる麦の飯 素閑
おおきなる男正座の麦の飯 素閑
狂乱のアリア消え入り麦の飯 素閑
莫妄想妄想募る麦の飯 素閑
縞木綿維納の娘や麦の飯 素閑
あしたにぞ麦飯匂ふ軒の端 素閑
農鳥を眺むる里や麦の飯 素閑
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このところ近辺に不幸が重なる。
旧友の無事息災が気になる。
陶樵山人は元気でいるだろうか?カワウソ君は病を乗り切っただろうか?
そうこうしているうちに、こちらが参りそうだ。
どうも体調が悪い。
どうにも頼りなく、不快な日々が続く。
厄年は当分来ないが、もう何時くたばってもよろしいということか?
笛のねを氷貢ぐに併せたり 素閑
酔い痴れて夢にお伽や氷を供す 素閑
蘭麝の香氷供する主がえる 素閑
老病に臥して寝付けむ氷を供す 素閑
氷貢ぎ千の鳥居を潜り抜け 素閑
電熱灯妙に暑しや氷を供す 素閑
小太鼓の子供の列や氷を供す 素閑
初子宿し苦しかりけり氷を貢ぐ 素閑
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5月も半ばになった。
まだ、それほど暑くないのが有り難い。
暑さは本当に堪える。
夏が暑くなければ、これほど極楽なことはないのだが。
世はままならない。
夏蜜柑歩き疲れし旅の茶屋 素閑
前髪を切り揃えたる夏蜜柑 素閑
子の集い頭を数え夏蜜柑 素閑
夏蜜柑食いて顔をしかめたり 素閑
青々と山の続ける夏蜜柑 素閑
海凪ぎて白き砂丘や夏蜜柑 素閑
莫逆の友と食らえる夏蜜柑 素閑
山朱くなりて夕闇夏蜜柑 素閑
冷水に黄色ごろごろ夏蜜柑 素閑
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誇るものも何もない。
誰も何も褒めてくれない。
自業自得だから致し方ない。
身から出た錆である。
しかし何も誇りたくもない。
何も褒められようとも思わない。
偽らざる心境である。
筍や礼を欠かすに詫びもなし 素閑
筍やましらも蓑の雨模様 素閑
鍬取りて筍の泥落しけり 素閑
筍の一つの生きるしるべかな 素閑
村の子のおおひなる筍抱へたり 素閑
筍やさとに帰らぬ覚悟やら 素閑
水神の棲む池へりの筍や 素閑
格子戸の通り筍提げていく 素閑
川乱れ山毀たれて筍や 素閑
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母の日閑話休題。
男女共同参画とか雇用機会均等とか、世の中が喧しい。
しかし女性の最大の役割は「母」である。
こればかりは、世の男性は誰も女性に替わることはできない。
一方で、偉い人が、女性はもっと子供を産んでという。
これは理不尽だ。
女性が母として安心して子育てに専念できる社会を作るべきなのに、一方では、今や女性もフルタイムで働かなければならない風潮が世の中に蔓延している。
これはおかしい。
世の改革のあるべき方向性は女性の「母」としての地位の確立である。
母の日に荒夷で聴くメヌエット 素閑
すっかんぴん母の日外れ馬券なり 素閑
南無観世音菩薩とも母の日や 素閑
もう一本つけの酒増え母の日や 素閑
母の日や涙雨とぞなりにけり 素閑
江戸っ子の男ばかりや母の日か 素閑
両耳の柘榴の朱の母の日や 素閑
受け取って書留投げゆ母の日や 素閑
安酒場女給の告げし母の日や 素閑
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3月にかーたんが共演した芹澤佳通氏のデュオ・コンサートを駒込のソフィアザール・サロンで聴いてきた。
芹澤氏はミラノ大賞を受賞し今後の活躍が期待されるテノール。
なかなか聞きごたえのある名演だった。
散会後、ちょっとしたワインパーティーがあった。
そちらにもお邪魔し、しばし歓談。
山手線で新宿に出て、京王デパートの7階の食堂街で豆腐料理を食べた。
『吉座』という店である。
とうふ料理など最初は馬鹿にしていたが、その美味さに驚嘆。普段食っている豆腐の神髄を味わった心持!ってな具合である。
かーたんが「彩り籠ご膳」オカブが「豆腐づくしご膳」というのを頼んだ。
とにかく美味かった。
下北沢から帰宅した。
賑わひもそれほどでなし薄暑かな 素閑
週末の薄暑をまとふ歌の会 素閑
下町の通り薄暑のおどけ顔 素閑
大通り四辻のコンビニ薄暑かな 素閑
駆ける児はあれど薄暑の身に重し 素閑
祈祷書の重き聖堂薄暑かな 素閑
止まり木の小鳥動かず薄暑かな 素閑
薄暑なれ紺ブレザーを持て余し 素閑
うす緑黄緑薄暑街に出で 素閑
土あげて走る子豚の薄暑かな 素閑
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連休が過ぎても遊び癖から抜けきらない。
野山や畑の中でのんびりしたいなあ。
ゆっくり鮒でも釣りたいなあ。
贅沢な悩みである。
麦秋のうつろの天地昏き日や 素閑
皴乱る木綿の服や麦の秋 素閑
ビジネス街車列の続く麦の秋 素閑
朽ちていくものもあり生享け麦の秋 素閑
単線に籐の鞄や麦の秋 素閑
麦秋のむしろの座敷に野花かな 素閑
豊頬の僧のこころね麦の秋 素閑
麦の秋霊南坂の古煉瓦 素閑
丘の上綿毛の草や麦の秋 素閑
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