これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

読書感想文なら任せなさい

2009年03月01日 20時56分02秒 | エッセイ
 小学6年の娘が、昨年の誕生日プレゼントにねだったものは、あさのあつこ著『THE MANZAI』だった。
「前に図書館で読んだとき、すごく面白かったから、全部欲しいんだよね」
 日頃から読書の習慣がなく、テレビばかりを見ている子なので、ちょっと感動した。文庫本4冊を手にして大喜びだ。あっという間に読みきり、読書感想文を書くと張り切っていた。
 しかし……。
「何かうまく書けないから、お母さん見て」
 まだ4行程度しか埋まっていない原稿用紙片手に、私を頼ってきた。

「この本は、心のきずを負った歩が転校してきて漫才をする話です。
 友達はいいなと思いました。
 歩と秋本の漫才は面白いと思いました」

 なんじゃ、こりゃ。 

 文と文の関連はないし、感想が羅列されただけになっている。
 親としてはここが腕の見せどころ。適切なアドバイスをして、作文の書き方を教えなければならない。
「思いました、って言葉をつかい過ぎ。考えました、感じましたとか、違う言葉で表現しないと」
「どうして歩が心に傷を負っているのか、説明しないとわからないよ」
「一番心に残ったのはどの漫才? 本文を引用すれば、どのくらい面白かったのかが伝わるよ」
「友達はいいなと思いましたは、最後に持ってきたほうがいいね」
 何とか字数を増やすことばかりを考えていた娘も、描写や構成を丁寧に行えば、自然に字数が多くなると気づいたようだ。原稿用紙3枚をびっしりと埋め、得意げに見せてきた。
「いい感想文ができたね。これなら、読んだ人が面白そうな本だと思うよ」
 ほめられ、自信満々で感想文を提出したらしい。
 しかし、後日、思いがけないことに発展してしまった。
「お母さん、こないだの読書感想文なんだけど、先生がよく書けているから区のコンクールに出すかもしれないって言ってたよ」
 私は仰天した。

 しまった! 口出ししすぎたかな?

 ズルしたようで良心がとがめる。最初の段階の、稚拙な感想文が脳裏をかすめた。

 が、一週間ほどして、娘から報告があった。
「こないだの読書感想文なんだけど、結局、1組の人が代表になったって。『THE MANZAI』はまだ終わってないから、完結している本で書いた人を優先したんだって」
 口をとがらせて、ちょっと悔しそうだったが、私は逆にホッとした。

 ああ、よかった……。

 その一方で、こうも思う。

 1組の子も、親に教わっていたりして……。



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コメント (24)
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