今日は私の誕生日だ。
中一の娘から「プレゼントは何がいい?」と聞かれ、しばし考え込んだ。予算は1000円以内という。欲しいものは予算をオーバーしているし、予算内で買えそうなものは思いつかない。
去年は紺のハイソックスをもらった。これは冬の必需品だから重宝する。娘からプレゼントされたものだと、とりわけ暖かく感じる。今年はハイソックス以外がよいが、なかなか決まらない。
娘は、らちが明かないと見て「じゃあ、一緒にお店に行って決めてよ」と言った。
子供のとき、母の誕生日にあげたプレゼントを思い出した。
母は年齢の割には大人げないので、ずい分気をつかったものだ。
ブラウスやセーターなどの衣類は気に入る確率が高く、「高かったでしょう。ありがとうね」と大喜びする。しかし、大事にしまっておくだけで、全然着てもらえない。
マグカップや湯飲み茶碗などの陶器は、「うちにいっぱいあるのに、どうしてこんなもの買ってくるのよッ!」と叱り飛ばされる。そして、押し入れ収監の刑となる。
思い余って「お母さんは何が欲しいの?」と聞けば、「何もいらないよ。無駄なお金をつかわなくていいからね」と答える。真に受けて、プレゼントを用意しないでいると、姉や妹を相手に「砂希は何もくれなかった……」と陰口を叩く。
悪気があるわけではなく、母は気分屋なのだ。そのときの感情でものを言うから振り回され、母に愛されていないのではと感じたこともあった。
夕方、娘のミキと一緒に駅ビルに行った。ここには、可愛い雑貨の店がいくつか入っており、何か見つかりそうだ。ローラ・アシュレイの石鹸皿、鯛焼きやドーナツの箸置き、クラシックな写真立て……。目を引くものがたくさんあり、かえって迷ってしまった。
「決まった?」
「ううん、まだ」
どれもこれも可愛いのだが、決定力に欠けている。暗くなってきたし、そろそろ選ばないといけない時間である。
そういえば、「小さめの手提げがあるといいな」と感じたことがあった。ちょっとスーパーまで、郵便局まで、というときに使える小ぶりのバッグはないだろうか?
「お母さん、こっちにバッグがあるよ」
「どれどれ」
ゴンドラに目をやると、真っ先に視界に飛び込んできたバッグがあった。フェルト地のハンドメイドで、何色ものアップリケが賑やかだ。私は、ひと目見て気に入った。
「あ、これいいじゃん!」
商品を手に取り値札を確認すると、「1525円」と書いてあった……。
ダメだ、予算オーバー!!
私がガッカリしていると、ミキが財布を取り出し言った。
「ちょっと待って。今いくらあるか確かめるから」
ミキは所持金を確認すると、顔を上げた。
「大丈夫、2000円あるから買えるよ。これでいいのね?」
かくして、私はお気に入りのバッグを手に入れたのだった。
誕生日は、生まれた本人が祝福を受ける日ではなく、母親に感謝する日だという説もある。
私は丸々と肥えた赤子だったせいか、出産時、母はひどく出血したらしい。母子手帳にも、出血量1050ml多量と記録されている。
幼いときは、母の愛情を疑ったこともあったが、命がけで産んだ子供が可愛くないはずもない。自分が母になって、それはよくわかった。
今ならば、素直に言える。
お母さん、私を生んでくれてありがとう。
楽しんでいただけましたか? クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
中一の娘から「プレゼントは何がいい?」と聞かれ、しばし考え込んだ。予算は1000円以内という。欲しいものは予算をオーバーしているし、予算内で買えそうなものは思いつかない。
去年は紺のハイソックスをもらった。これは冬の必需品だから重宝する。娘からプレゼントされたものだと、とりわけ暖かく感じる。今年はハイソックス以外がよいが、なかなか決まらない。
娘は、らちが明かないと見て「じゃあ、一緒にお店に行って決めてよ」と言った。
子供のとき、母の誕生日にあげたプレゼントを思い出した。
母は年齢の割には大人げないので、ずい分気をつかったものだ。
ブラウスやセーターなどの衣類は気に入る確率が高く、「高かったでしょう。ありがとうね」と大喜びする。しかし、大事にしまっておくだけで、全然着てもらえない。
マグカップや湯飲み茶碗などの陶器は、「うちにいっぱいあるのに、どうしてこんなもの買ってくるのよッ!」と叱り飛ばされる。そして、押し入れ収監の刑となる。
思い余って「お母さんは何が欲しいの?」と聞けば、「何もいらないよ。無駄なお金をつかわなくていいからね」と答える。真に受けて、プレゼントを用意しないでいると、姉や妹を相手に「砂希は何もくれなかった……」と陰口を叩く。
悪気があるわけではなく、母は気分屋なのだ。そのときの感情でものを言うから振り回され、母に愛されていないのではと感じたこともあった。
夕方、娘のミキと一緒に駅ビルに行った。ここには、可愛い雑貨の店がいくつか入っており、何か見つかりそうだ。ローラ・アシュレイの石鹸皿、鯛焼きやドーナツの箸置き、クラシックな写真立て……。目を引くものがたくさんあり、かえって迷ってしまった。
「決まった?」
「ううん、まだ」
どれもこれも可愛いのだが、決定力に欠けている。暗くなってきたし、そろそろ選ばないといけない時間である。
そういえば、「小さめの手提げがあるといいな」と感じたことがあった。ちょっとスーパーまで、郵便局まで、というときに使える小ぶりのバッグはないだろうか?
「お母さん、こっちにバッグがあるよ」
「どれどれ」
ゴンドラに目をやると、真っ先に視界に飛び込んできたバッグがあった。フェルト地のハンドメイドで、何色ものアップリケが賑やかだ。私は、ひと目見て気に入った。
「あ、これいいじゃん!」
商品を手に取り値札を確認すると、「1525円」と書いてあった……。
ダメだ、予算オーバー!!
私がガッカリしていると、ミキが財布を取り出し言った。
「ちょっと待って。今いくらあるか確かめるから」
ミキは所持金を確認すると、顔を上げた。
「大丈夫、2000円あるから買えるよ。これでいいのね?」
かくして、私はお気に入りのバッグを手に入れたのだった。
誕生日は、生まれた本人が祝福を受ける日ではなく、母親に感謝する日だという説もある。
私は丸々と肥えた赤子だったせいか、出産時、母はひどく出血したらしい。母子手帳にも、出血量1050ml多量と記録されている。
幼いときは、母の愛情を疑ったこともあったが、命がけで産んだ子供が可愛くないはずもない。自分が母になって、それはよくわかった。
今ならば、素直に言える。
お母さん、私を生んでくれてありがとう。
楽しんでいただけましたか? クリックしてくださるとウレシイです♪
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)