毎年、天皇誕生日にクリスマス会を行っている。
今年も、両親や姉夫婦、妹一家を呼んで、にぎやかに過ごすことにした。
しかし、料理が得意でない私にとって、10人もの食事の準備は一苦労だ。お寿司を取るとはいえ、それだけではすまされない。さて、何にしよう?
そうだ、知床鶏の網焼きを作ろう!
クリスマスらしく、チキンは外せない。
プラス、生協のカタログから、冷凍のカニグラタン、カニ爪フライを大量に注文しておいた。あとは、温野菜と汁物を作ればいいだろう。
いざ、冷凍食品が到着すると、私も夫も仰天した。思いのほか嵩張り、かなり場所を取るのだ。すでにある食品をギュウギュウに詰め、やっとの思いで収納した。小さなものは下のほうに埋まってしまい、「ちょっくらベーコンを」と思っても、グラタン・フライを全部取り出し、根気強く掘り出さないと、到底たどり着けない。
また、ベーコンを使ったあとは、元通りにしないと扉が閉まらない。なかなか面倒だ。
しかも、30秒以上扉を開けておくと、冷蔵庫が「ピーピー」と怒り出す。ベーコンを出すときにも「ピーピー」、しまうときにも「ピーピー」と叱られ、いい加減ウンザリしてしまった。
そんなこんなで、当日を迎えたときの喜びはひとしおだ。
「やっと、邪魔っけなグラタンとフライを片付けられるわっ!」と、朝からウキウキした。
さて、当日は、朝から飲み物を冷やさなければならない。
シャンパンやワインなどのアルコールは、姉が持ってくることになっている。私は子供用のシャンメリー、ジュース、ウーロン茶、麦茶のほかに、アップルタイザーとグレープタイザーを用意した。
去年はグレープタイザーが人気で、ドライバーの義弟やアルコールに弱い両親が競うように飲み、あっという間に6本全部がなくなった。
今年はグレープタイザーに加えて、アップルタイザーも6本準備し、野菜庫を占拠して冷やしていた。
「こんにちは~!」
昼過ぎ、時間通りにやってきた妹は、持ち寄りのケーキ以外にも袋を持っている。
「これ、冷蔵庫に入るかな?」
それは、義弟のノンアルコールビール6缶だった。
「ゲッ」と思ったが、いったん野菜を取り出し、上下を入れ替えれば入らないこともない。ビールを下にして、上には玉ねぎを重ねて押し込めた。
やがて、姉もやってきた。
「赤はいいけど、白とシャンパンは冷やしておかないとね」
ワインを2本渡され困惑したが、こちらのほうはポケットに何とかスペースが確保できた。今や、ものがひしめき合い、大混雑の冷蔵庫となっている。
しかし、苦労の甲斐あって、料理の評判はまずまずだ。
ワインを1~2杯飲んだあと、両親はソフトドリンクに切り替える。そろそろタイザーの出番かと思い、腰を上げたときだった。
「ミキは、飲みかけのコーラにする」
娘が、気の抜け始めたペットボトルを持ってきた。この子はコーラが好きなのだ。
「じゃあ、バアちゃんもコーラにしようかな」
母も、空のグラスにコーラを催促し始めた。連鎖反応か、父まで飲みたがり、タイザーにはまったくリクエストがない。義弟はノンアルコールビール2缶目を開けている。
ちょっと、ちょっと、減らないじゃない!!
これはまったくの想定外だ。ワインはなくなったが、グレープタイザー6本とアップルタイザー6本は、いつまでたっても手付かずのままだった。
時間だけが過ぎていき、クライマックスのデザートへと突入した。こうなると、ますます清涼飲料水の出番はない。
「コーヒーがいい」
「私は紅茶」
ああ、残念……。今年は、タイザーが売れ残ってしまったか。
「ごちそうさま。今度はお正月だね」
夕方、親族は帰っていった。さて、後片付けをしなくては。
あふれんばかりの野菜庫を開けると、グレープタイザーとアップルタイザーが、待ちくたびれたように顔を出した。これを別の場所に移さなければ……。
玉ねぎをどかしたとき、私はギョッと驚いた。
ノンアルコールビール、忘れていったよ~!!
飲んでくれないばかりか、逆に増やされてしまった……。
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
今年も、両親や姉夫婦、妹一家を呼んで、にぎやかに過ごすことにした。
しかし、料理が得意でない私にとって、10人もの食事の準備は一苦労だ。お寿司を取るとはいえ、それだけではすまされない。さて、何にしよう?
そうだ、知床鶏の網焼きを作ろう!
クリスマスらしく、チキンは外せない。
プラス、生協のカタログから、冷凍のカニグラタン、カニ爪フライを大量に注文しておいた。あとは、温野菜と汁物を作ればいいだろう。
いざ、冷凍食品が到着すると、私も夫も仰天した。思いのほか嵩張り、かなり場所を取るのだ。すでにある食品をギュウギュウに詰め、やっとの思いで収納した。小さなものは下のほうに埋まってしまい、「ちょっくらベーコンを」と思っても、グラタン・フライを全部取り出し、根気強く掘り出さないと、到底たどり着けない。
また、ベーコンを使ったあとは、元通りにしないと扉が閉まらない。なかなか面倒だ。
しかも、30秒以上扉を開けておくと、冷蔵庫が「ピーピー」と怒り出す。ベーコンを出すときにも「ピーピー」、しまうときにも「ピーピー」と叱られ、いい加減ウンザリしてしまった。
そんなこんなで、当日を迎えたときの喜びはひとしおだ。
「やっと、邪魔っけなグラタンとフライを片付けられるわっ!」と、朝からウキウキした。
さて、当日は、朝から飲み物を冷やさなければならない。
シャンパンやワインなどのアルコールは、姉が持ってくることになっている。私は子供用のシャンメリー、ジュース、ウーロン茶、麦茶のほかに、アップルタイザーとグレープタイザーを用意した。
去年はグレープタイザーが人気で、ドライバーの義弟やアルコールに弱い両親が競うように飲み、あっという間に6本全部がなくなった。
今年はグレープタイザーに加えて、アップルタイザーも6本準備し、野菜庫を占拠して冷やしていた。
「こんにちは~!」
昼過ぎ、時間通りにやってきた妹は、持ち寄りのケーキ以外にも袋を持っている。
「これ、冷蔵庫に入るかな?」
それは、義弟のノンアルコールビール6缶だった。
「ゲッ」と思ったが、いったん野菜を取り出し、上下を入れ替えれば入らないこともない。ビールを下にして、上には玉ねぎを重ねて押し込めた。
やがて、姉もやってきた。
「赤はいいけど、白とシャンパンは冷やしておかないとね」
ワインを2本渡され困惑したが、こちらのほうはポケットに何とかスペースが確保できた。今や、ものがひしめき合い、大混雑の冷蔵庫となっている。
しかし、苦労の甲斐あって、料理の評判はまずまずだ。
ワインを1~2杯飲んだあと、両親はソフトドリンクに切り替える。そろそろタイザーの出番かと思い、腰を上げたときだった。
「ミキは、飲みかけのコーラにする」
娘が、気の抜け始めたペットボトルを持ってきた。この子はコーラが好きなのだ。
「じゃあ、バアちゃんもコーラにしようかな」
母も、空のグラスにコーラを催促し始めた。連鎖反応か、父まで飲みたがり、タイザーにはまったくリクエストがない。義弟はノンアルコールビール2缶目を開けている。
ちょっと、ちょっと、減らないじゃない!!
これはまったくの想定外だ。ワインはなくなったが、グレープタイザー6本とアップルタイザー6本は、いつまでたっても手付かずのままだった。
時間だけが過ぎていき、クライマックスのデザートへと突入した。こうなると、ますます清涼飲料水の出番はない。
「コーヒーがいい」
「私は紅茶」
ああ、残念……。今年は、タイザーが売れ残ってしまったか。
「ごちそうさま。今度はお正月だね」
夕方、親族は帰っていった。さて、後片付けをしなくては。
あふれんばかりの野菜庫を開けると、グレープタイザーとアップルタイザーが、待ちくたびれたように顔を出した。これを別の場所に移さなければ……。
玉ねぎをどかしたとき、私はギョッと驚いた。
ノンアルコールビール、忘れていったよ~!!
飲んでくれないばかりか、逆に増やされてしまった……。
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)