これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

山となりぬる

2010年04月18日 20時04分57秒 | エッセイ
 このところ、雨が続いていたが、今日は久しぶりに晴れた。
 わが家は共働きだったので、部屋干しグッズが欠かせない。家を建てるとき、天井から部屋干し用の竿が吊るせるよう、金具を取り付けてもらった。さらに、除湿機を稼働させ、リビングを乾燥室に変身させるのが常である。
 もっとも、乾燥機があれば、もっと楽なのかもしれない。でも、今さらそんなスペースはないから無理だ。除湿機さえあれば、朝洗った洗濯物でも、夜にはパリパリに乾く。雨の日は、除湿機に頼るのが当たり前だった。
 その除湿機が、ここのところ不調だ。
 わが家の除湿機はナショナル製で、平成4年に購入したものである。



 中には、容量1リットルほどのタンクがあり、除湿した水分をためるようになっている。6時間もすれば満水となり、おもしろいくらいに乾燥する。
 でも、最近では、8時間稼働しても満水にならないし、洗濯物に部屋干し独特の臭いがつくようになった。明らかに性能が落ちている。長年使っているから、もう寿命なのだろうか。
 諦めムードで放置していたが、今日、掃除をしているときに、ふと思い出した。

 そういえば、この除湿機、エアフィルターがついていたんだっけ……。

 フタを開け、エアフィルターを勢いよく引き出すと、ボトリとホコリの塊が落ちてきた。

 ゲゲゲゲ~~~ッ!!!!!

 なんと、フィルターには、灰色のホコリが山盛りになっていた。



「どえりゃー、汚いがや!」
「こりゃ、あかんわ」
「ぜんぜん、掃除しねえがらだ~」
 と、普段使わない言葉が錯綜するくらい、私は驚いた。
 最後に掃除をしたのはいつだったろう。おそらく、この10年間はしていない。
「恋ぞつもりて淵となりぬる」と詠んだ陽成院を真似て、「塵も積もれば山となりぬる」がピッタリの状況だ。気づかなかったとはいえ、ここまでホコリをためるのは、並大抵の業ではない。初めて目にする光景に、私は感動すらおぼえた。

 掃除機で、たまりにたまったホコリを吸い取った。シート状になったホコリが、スポンジのように固まって剥がれ、ノズルに吸い込まれていく。ゴソッ、ゴソッと消えていく様は、一種の爽快感に似たものがあった。
 
 うーん、気持ちいい……。

 すっかり美しくなったフィルターを、除湿機に戻した。
 はたして、性能は回復しているのだろうか。
 ああ、雨の降る日が待ち遠しい……。




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コメント (12)
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