一番好きな服は何かと問われれば、パジャマと答えるかもしれない。
お風呂あがりにパジャマを着て、ぐっすり眠り、朝は出かける直前まで着替えない。パジャマのままでお弁当を作り、朝食をとる。一日8時間は着ているから、人生の3分の1をパジャマで過ごすことになる。
ゆったりとしたデザインで、肌触りのいいところが魅力だ。下着をつけないから、開放感は抜群である。仕事のない日は、9時10時まで、パジャマでいることもある。
しかし、家族には、いい迷惑らしい。夫も娘も、起きたら真っ先に着替えるタイプだから、いつまでもパジャマでウロウロしていることはない。
日曜日の朝、インターフォンが鳴り、宅配便が来た。
「ミキ、出てちょうだい。お母さんはパジャマだから」
「ムキーッ! 何で着替えないのよッ!」という具合だ。しかも、私あての荷物ばかりなので、ますますひんしゅくを買う。
昨日は、こんなことがあった。
娘が部活に出かけた直後、箸箱を入れ忘れたことに気づいた。お弁当があっても、箸がなければ困るだろう。いつも、100m先の友人宅に寄るので、急げば間に合うかもしれない。
私は箸箱をつかみ、夫に渡した。
「お願い、これ持っていって!」
「俺が!?」
「だって私、パジャマだもん。さあ、早く早く」
夫は、わけがわからないという顔をしたが、逆らわずに、のしのしと歩き始めた。本当は走ってほしかったのだが、デブなりに急いでいる様子である。外は、台風12号の影響で、強い風が吹いている。雨がやんでいたのは幸いだった。
はたして、間に合っただろうか?
5分後、夫が戻ってきた。手には箸箱が握られたままだ。
「もういなかった……」
「あー、残念!」
「風が強かった……」
「ありがとね。あとは何とかするからいいよ」
「無理やり、運動させられた……」
夫はかなり不満そうだが、いちいちかまっていられない。受話器を取り上げ、中学校に電話をかける。運よく、顧問の先生が出てくれた。
「すみません、今日はお箸を入れ忘れたので、あとで持っていきたいのですが、何時頃どこに行けばよろしいでしょうか」
「ああ、お箸ですか。もしよろしければ、私の割り箸がありますから、それを渡しましょうか」
「えっ、いいんですか!」
「いいです、いいです」
「助かりました。よろしくお願いしま~す!」
ニンマリとして受話器を置くと、夫が横目で見ていた。
「ずるい……」
家族に迷惑をかけるのも、だんだん心苦しくなってきた。
誰か、起きたらすぐに着替えたくなるような、すてきな部屋着を買ってくれないかしら。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/18/b2b19eb2db2595e3407c99e2498c999f.png)
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
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ゆったりとしたデザインで、肌触りのいいところが魅力だ。下着をつけないから、開放感は抜群である。仕事のない日は、9時10時まで、パジャマでいることもある。
しかし、家族には、いい迷惑らしい。夫も娘も、起きたら真っ先に着替えるタイプだから、いつまでもパジャマでウロウロしていることはない。
日曜日の朝、インターフォンが鳴り、宅配便が来た。
「ミキ、出てちょうだい。お母さんはパジャマだから」
「ムキーッ! 何で着替えないのよッ!」という具合だ。しかも、私あての荷物ばかりなので、ますますひんしゅくを買う。
昨日は、こんなことがあった。
娘が部活に出かけた直後、箸箱を入れ忘れたことに気づいた。お弁当があっても、箸がなければ困るだろう。いつも、100m先の友人宅に寄るので、急げば間に合うかもしれない。
私は箸箱をつかみ、夫に渡した。
「お願い、これ持っていって!」
「俺が!?」
「だって私、パジャマだもん。さあ、早く早く」
夫は、わけがわからないという顔をしたが、逆らわずに、のしのしと歩き始めた。本当は走ってほしかったのだが、デブなりに急いでいる様子である。外は、台風12号の影響で、強い風が吹いている。雨がやんでいたのは幸いだった。
はたして、間に合っただろうか?
5分後、夫が戻ってきた。手には箸箱が握られたままだ。
「もういなかった……」
「あー、残念!」
「風が強かった……」
「ありがとね。あとは何とかするからいいよ」
「無理やり、運動させられた……」
夫はかなり不満そうだが、いちいちかまっていられない。受話器を取り上げ、中学校に電話をかける。運よく、顧問の先生が出てくれた。
「すみません、今日はお箸を入れ忘れたので、あとで持っていきたいのですが、何時頃どこに行けばよろしいでしょうか」
「ああ、お箸ですか。もしよろしければ、私の割り箸がありますから、それを渡しましょうか」
「えっ、いいんですか!」
「いいです、いいです」
「助かりました。よろしくお願いしま~す!」
ニンマリとして受話器を置くと、夫が横目で見ていた。
「ずるい……」
家族に迷惑をかけるのも、だんだん心苦しくなってきた。
誰か、起きたらすぐに着替えたくなるような、すてきな部屋着を買ってくれないかしら。
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