昨日まで、イギリス・フランスツアーに行ってきた。
目的のひとつに、美術鑑賞がある。
「お母さん、ミキはルノワールの『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』が観たいの」
高2の娘にせがまれて、まずはオルセーに行ってみた。
「オルセーは写真撮影禁止です。でも、係員のいないところでは、みんな結構撮っていますよ」
添乗員さんからはこんなアドバイスをもらったが、娘は真面目だ。
「ダメダメ。撮影禁止だったら我慢でしょ。しっかり目に焼き付けておくからいい」
ここの入場料は9ユーロだが、夕方4時半からは6.50ユーロになる。主婦の悲しい性で、ついその時間帯を狙ってしまった。
「下から行こう」
ミレーの落穂拾い、マネの「草上の昼食」、ゴッホの「オーヴェルの教会」・「自画像」などを観る。
「あれ? ゴーギャンの『タヒチの女』がないよ」
「貸し出し中じゃね?」
「かな」
すべてが揃っているとは限らない。見つからないものは諦め、限られた時間を有効に使う。ドガもたくさんあった。
「じゃあ、いよいよルノワールだね」
この美術館は2011年に大改装をしたようで、るるぶと少々配置が違っている。印象派は、上の階のようなので、4階のギャラリーを見てみた。
「あっ、ルソーがある!」
4階には、「蛇使いの女」があった。
そして、お目当てのルノワールは、5階に集められていた。
「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」には、何人もの人が群がりため息をついている。
「すごい!」
娘も満足したようで、ポストカードを買っていた。
翌日はルーブルだ。
こちらは、フラッシュなしでの写真撮影が可能だ。オルセーよりも人が多かった。
「ルーブルはスリの多い場所ですから、荷物には十分気をつけてください」
添乗員が、一オクターブ低い声で警告する。気を引き締めて、館内に入った。
マグダラのマリア。
ミケランジェロの彫刻「奴隷」。
ラファエロ「美しき女庭師」。
「じゃあ、次はいよいよ『モナ・リザ』です。ルーブルで一番スリの多い場所ですから、パッと撮影して、3秒以内にカバンに手を戻してください」
さすがに、ここの人出は半端ではなかった。何十人もの観客が小さな絵の前に押し寄せるものだから、落ち着いて見られるはずもない。絵の前は通勤時間帯の山手線車内と化し、押し合いへし合いしながらジリジリと進んだ。どうにか写真を撮り、少ない酸素を奪い合っていたら、すこぶる気分が悪くなった。
「ウエ~」
「気持ち悪ぅ」
ガラス越しの彼女の姿は、これが精いっぱいである。
サモトラケのニケ。
こちらも知名度の高い「ミロのヴィーナス」。
最後は「ハムラビ法典」で締めくくる。
「ここは宮殿でしたからね。内装も素晴らしいですよ」
なんと豪華な……!
ひとときの夢に酔ったような世界であった。
出口ではたと現実に帰り、バッグの中を見る。
財布も中身も無事だった。
こんな素敵な美術館で、スリという悪行を働く人の気持ちはわからない。
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
目的のひとつに、美術鑑賞がある。
「お母さん、ミキはルノワールの『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』が観たいの」
高2の娘にせがまれて、まずはオルセーに行ってみた。
「オルセーは写真撮影禁止です。でも、係員のいないところでは、みんな結構撮っていますよ」
添乗員さんからはこんなアドバイスをもらったが、娘は真面目だ。
「ダメダメ。撮影禁止だったら我慢でしょ。しっかり目に焼き付けておくからいい」
ここの入場料は9ユーロだが、夕方4時半からは6.50ユーロになる。主婦の悲しい性で、ついその時間帯を狙ってしまった。
「下から行こう」
ミレーの落穂拾い、マネの「草上の昼食」、ゴッホの「オーヴェルの教会」・「自画像」などを観る。
「あれ? ゴーギャンの『タヒチの女』がないよ」
「貸し出し中じゃね?」
「かな」
すべてが揃っているとは限らない。見つからないものは諦め、限られた時間を有効に使う。ドガもたくさんあった。
「じゃあ、いよいよルノワールだね」
この美術館は2011年に大改装をしたようで、るるぶと少々配置が違っている。印象派は、上の階のようなので、4階のギャラリーを見てみた。
「あっ、ルソーがある!」
4階には、「蛇使いの女」があった。
そして、お目当てのルノワールは、5階に集められていた。
「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」には、何人もの人が群がりため息をついている。
「すごい!」
娘も満足したようで、ポストカードを買っていた。
翌日はルーブルだ。
こちらは、フラッシュなしでの写真撮影が可能だ。オルセーよりも人が多かった。
「ルーブルはスリの多い場所ですから、荷物には十分気をつけてください」
添乗員が、一オクターブ低い声で警告する。気を引き締めて、館内に入った。
マグダラのマリア。
ミケランジェロの彫刻「奴隷」。
ラファエロ「美しき女庭師」。
「じゃあ、次はいよいよ『モナ・リザ』です。ルーブルで一番スリの多い場所ですから、パッと撮影して、3秒以内にカバンに手を戻してください」
さすがに、ここの人出は半端ではなかった。何十人もの観客が小さな絵の前に押し寄せるものだから、落ち着いて見られるはずもない。絵の前は通勤時間帯の山手線車内と化し、押し合いへし合いしながらジリジリと進んだ。どうにか写真を撮り、少ない酸素を奪い合っていたら、すこぶる気分が悪くなった。
「ウエ~」
「気持ち悪ぅ」
ガラス越しの彼女の姿は、これが精いっぱいである。
サモトラケのニケ。
こちらも知名度の高い「ミロのヴィーナス」。
最後は「ハムラビ法典」で締めくくる。
「ここは宮殿でしたからね。内装も素晴らしいですよ」
なんと豪華な……!
ひとときの夢に酔ったような世界であった。
出口ではたと現実に帰り、バッグの中を見る。
財布も中身も無事だった。
こんな素敵な美術館で、スリという悪行を働く人の気持ちはわからない。
↑
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)