今回は、ちょっとだけ怖い話です。
苦手な方は、無理なさらないでくださいね。
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箱根旅行のあとから、妹の周りで奇妙なことが起き始めたそうだ。
「肩が重くて脂汗が出るんだよね。電化製品のスイッチが勝手に入ったりするし、何か変」
おやおや。
妹は霊感体質のようだ。たとえば、秩父にドライブしたとき、橋を渡るところで具合が悪くなった。体中が重くなり、呼吸が苦しくて動けない。そこは、大血川といって、平将門の妻や家来が自害して果て、川の水が血に染まった場所だったらしい。もしや、箱根でも余計なものを拾ってきたのかもしれない。
だが、決して怖がっているわけではなかった。
「スリープ状態のパソコンが動き出したり、寝ていたらいつの間にか寝室の電気がついていたりで、電気代がかかるのよ。まったくもう」
……怪奇現象よりも、電気代が優先するとは頼もしい。
同じ姉妹でも、私にはそんな経験がない。せいぜい金縛りに遭うくらいだ。
「こっちは何ともないよ。気をつけてね」
軽いメールを返して、それで終わりのつもりでいた。
しかし、意外なことに、こちらにも来たのである。
昨夜は23時半頃床に就いた。ぐっすり眠り、同僚と待ち合わせをする夢を見た。私は同い年の彼女と、話題の展示を見に行く約束をしていて、待ち合わせ場所に向かうところだった。ちょうど、反対からも彼女が歩いてきて、お互いに気づき手を振った。
「こんにちは~」
じゃあ、行きましょうかと言おうとしたとたん、右側から学生服を着た男の子が飛び出してきた。知らない顔だが、体も小さく中学生のようだ。
「あのう、ちょっといいですか」
話しかけてきたので、彼に注意を向けたとき、同僚の金切り声が聞こえた。
「砂希さん、ダメ! その子は……」
続きを聞く前に、男の子が私の右手を強くつかんだ。急に真っ暗になり、ハッと目が覚める。
夢の続きなのだろうか。現実の世界も暗闇で、右半身が金縛りにあったようで動かない。男の子の姿を借りた何かが、私の右腕をつかんでいるのである。つかまれた場所が、ひんやりとして冷たい。
こういうときは、お腹に力を入れて、大きな声を出すといいらしい。幸い、左半身の自由は利くし声も出る。助走をつけるように息を吸って、私は大声で叫んだ。
「行け~~~ッ!!!」
一瞬で金縛りが解ける。右半身はまだ冷たかったけれど、おかしな力から解放されて軽くなった。邪悪なものではなかったようで、あっけなかった。
でも、金縛りが解けたあとは、すぐに眠れるものではない。ドアの開閉音から、娘がまだ起きていることに気づいた。布団から出て、娘に話を聞いてもらいたくなった。
「ねえ、出たよ」
「えっ、まさか!」
「そう、そのまさか。金縛りにあったの。でも、もういなくなったから大丈夫」
「やだやだ、怖いよ~」
娘は私が寝たあと、一人で暗闇にいることに耐えられず、部屋に塩を持ち込んだらしい。以前、塩には浄化作用があり、お浄めに使うのだと教えたことをおぼえていたのだろう。
朝になってもなかなか起きてこないので、部屋まで様子を見に行ったら、皿に盛られた塩が目に入った。
うわあ、こんなに使って。
皿を回収し、塩を容器に戻す。戻した塩は、野菜スープや焼きそばに使ってしまった。
主婦は、オバケよりも無駄が嫌いなのかもしれない。
それとも、私と妹だけ?
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
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箱根旅行のあとから、妹の周りで奇妙なことが起き始めたそうだ。
「肩が重くて脂汗が出るんだよね。電化製品のスイッチが勝手に入ったりするし、何か変」
おやおや。
妹は霊感体質のようだ。たとえば、秩父にドライブしたとき、橋を渡るところで具合が悪くなった。体中が重くなり、呼吸が苦しくて動けない。そこは、大血川といって、平将門の妻や家来が自害して果て、川の水が血に染まった場所だったらしい。もしや、箱根でも余計なものを拾ってきたのかもしれない。
だが、決して怖がっているわけではなかった。
「スリープ状態のパソコンが動き出したり、寝ていたらいつの間にか寝室の電気がついていたりで、電気代がかかるのよ。まったくもう」
……怪奇現象よりも、電気代が優先するとは頼もしい。
同じ姉妹でも、私にはそんな経験がない。せいぜい金縛りに遭うくらいだ。
「こっちは何ともないよ。気をつけてね」
軽いメールを返して、それで終わりのつもりでいた。
しかし、意外なことに、こちらにも来たのである。
昨夜は23時半頃床に就いた。ぐっすり眠り、同僚と待ち合わせをする夢を見た。私は同い年の彼女と、話題の展示を見に行く約束をしていて、待ち合わせ場所に向かうところだった。ちょうど、反対からも彼女が歩いてきて、お互いに気づき手を振った。
「こんにちは~」
じゃあ、行きましょうかと言おうとしたとたん、右側から学生服を着た男の子が飛び出してきた。知らない顔だが、体も小さく中学生のようだ。
「あのう、ちょっといいですか」
話しかけてきたので、彼に注意を向けたとき、同僚の金切り声が聞こえた。
「砂希さん、ダメ! その子は……」
続きを聞く前に、男の子が私の右手を強くつかんだ。急に真っ暗になり、ハッと目が覚める。
夢の続きなのだろうか。現実の世界も暗闇で、右半身が金縛りにあったようで動かない。男の子の姿を借りた何かが、私の右腕をつかんでいるのである。つかまれた場所が、ひんやりとして冷たい。
こういうときは、お腹に力を入れて、大きな声を出すといいらしい。幸い、左半身の自由は利くし声も出る。助走をつけるように息を吸って、私は大声で叫んだ。
「行け~~~ッ!!!」
一瞬で金縛りが解ける。右半身はまだ冷たかったけれど、おかしな力から解放されて軽くなった。邪悪なものではなかったようで、あっけなかった。
でも、金縛りが解けたあとは、すぐに眠れるものではない。ドアの開閉音から、娘がまだ起きていることに気づいた。布団から出て、娘に話を聞いてもらいたくなった。
「ねえ、出たよ」
「えっ、まさか!」
「そう、そのまさか。金縛りにあったの。でも、もういなくなったから大丈夫」
「やだやだ、怖いよ~」
娘は私が寝たあと、一人で暗闇にいることに耐えられず、部屋に塩を持ち込んだらしい。以前、塩には浄化作用があり、お浄めに使うのだと教えたことをおぼえていたのだろう。
朝になってもなかなか起きてこないので、部屋まで様子を見に行ったら、皿に盛られた塩が目に入った。
うわあ、こんなに使って。
皿を回収し、塩を容器に戻す。戻した塩は、野菜スープや焼きそばに使ってしまった。
主婦は、オバケよりも無駄が嫌いなのかもしれない。
それとも、私と妹だけ?
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