これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

お皿は語る

2016年04月07日 21時22分07秒 | エッセイ
 日本商工会議所の簿記検定2級は結構難しい。
 大学2年の娘は、経営学科ということもあり、絶対合格するんだと宣言して臨んだが……。
 1回目は2015年の2月だった。独学で受験すると張り切っていた割には、1月になっても問題集が新品のままでピカピカしている。範囲が広いのに大丈夫だろうかと心配していたら、1か月前にようやく机に向かい始めた。
「うーん、ダメだ。全然わからない」
 当然、検定試験は惨敗。ネットで得点を確認することすらしなかった。
「詳しいから明日から勉強して、6月の検定を受けるよ。受験料は自分で払うから」
 検定料はネット手数料を含めて5278円。バイトもしていない大学生には痛いはずだ。今度こそ、しっかり勉強するだろうと思っていたのに、問題集を開いたのはたったの1日で、あとは遊んでばかりいた。
 また、ひと月前に勉強を再開し、「何だこの問題は」を連発する始末。結果は63点で不合格だった。
「なかなかサイトにつながらなくて、やっと見られたと思ったら、あと7点で落ちてた……」
「勉強しないんだから当然でしょ。もう受けるのやめたら?」
「やだ、あと7点だもん。今度こそいける気がするから、11月にまた受ける」
 しかし、このときは、試験勉強を始めたのが何と3週間前。67点で落ちた。
 高校時代の一夜漬け感覚が抜けないのだろうか。いい加減、私もあきれ果てた。こづかいを何に使おうと自由だが、そんなに商工会議所を儲けさせることはない。
「何回同じ失敗を繰り返すつもり? もうやめなよ」
「ううん、また2月に受ける。これで最後にするから、今度こそ今度こそ!」
 娘は、しつこかった。もとい、あきらめなかった。いや、あきらめが悪かった。
 矯正中の歯をギリギリと噛みしめて、できた問題、できなかった問題を確認し、苦手分野を放置したツケが回ったのだと分析した。
 正直いって、こんなに粘る子だとは思わなかった。これまでは、うまくいかなければすぐに投げ出すし、できるようになると飽きてしまう。まさか、4回もネチネチネバネバと挑戦し続けるとは。
 さすがに過去を反省したのだろう。2カ月前から毎日の予定を決めて、スマホを触りたくても我慢、眠くなっても我慢で、計画通りに学習した。できなかった問題は二回三回チャレンジし、遊びに誘われても断っていた。おかげで、85点で合格できたものだから、娘はどうしたらいいかわからないくらい喜んでいた。
「やった、やった~!」
「よかったね、おめでとう!」
 私もうれしかった。努力が報われたことはもちろん、子どもから「あきらめないで頑張れば、夢が叶う」と教わった気がしたからだ。
 合格証書の交付は4月5日から。早速、娘と一緒に取りに行った。帰りに、スペアリブでお祝いディナーを楽しんだ。
 デザートに、ちょっとしたサプライズをしかける。



「あっ、何これ。合格おめでとうだって。すごい!」
 お店のサービスで、記念プレートを作ってくれるのだ。これはまた、別の趣があってうれしい。
 実は、先月、24回目の結婚記念日に家族でランチをしたら、ここでもサプライズがあった。



 口で「おめでとう」と言ってもらえると、思わず笑顔がこぼれるものだ。
 お皿に「おめでとう」と描いてあると、胸にハートマークが飛び込んでくるような衝撃があって、幸せがポロリと落ちてくる。
 お祝いっていいな。


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コメント (8)
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